県内経済の動向


■ 11 月 概 況 ■


 県内経済は、製造業では、主力の電気機械を中心にパソコン・携帯電話関連部品が好調を持続しており、一部ではフル稼働が続いているところもある。また、他の多くの業種で前年同月の生産水準を上回ってきており、生産は回復に向かいつつある。建設業では、依然として民需が低迷する中、公共工事の発注に一服感があり、手持ち工事量は充分であるものの、年明け以降の工事量に対する懸念が広がっている。小売業では、衣料品を除いては底堅い動きを示しているものの、消費全体を押し上げるまでには至っていない。県内経済は、生産面では生産水準が増加に転じた業種が広がり、回復に向かいつつあるが、消費面では底堅い動きこそ示しているものの力強さを欠いており、全体として、回復の兆しはあるものの、なお横ばいが続いている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲8.5から▲10.6、現在の資金繰りは▲16.0から▲21.9、3ヶ月先の業況見通しは▲30.0から▲30.6となり、3ヶ月前との業況比較で4ヶ月、3ヶ月先の業況見通しで6ヶ月連続して前月より悪化している。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.6%増、同10.5%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲19.0から▲16.4となった。春先から好調が続いていた木材木製品で対前年比での増加ペースが鈍化しているが、多くの業種で生産水準が前年を上回ってきている。さらに主力の電気機械などでは、パソコン・携帯電話関連部品を中心に高水準の生産が続いており、一部ではフル稼働となっている。こうした中には増産投資の動きや、臨時雇用により生産増加に対応しているところも出てきている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比3.2%増、同17.3%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲56.3から▲43.8となった。公共事業の発注については一服の感があり、土木工事を中心として手持ち工事量は十分なところが多いものの、昨年来の発注物件の中には完工工事も出てきている中、年明け以降の工事量に対する懸念が広がっている。一方、民需については依然として物件が少ない中、受注競争が厳しい状況が続いている。
 小売業では、売上額は前年同月比6.8%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲38.3から▲51.6となった。家電品の売上が再びマイナスに転じ、すべての業種で前年同月の売上を下回ったが、衣料品を除いては概ね昨年並みの売上となっている。総じて個人消費は底堅い動きを示しているものの、力強さを欠いたままである。
 一方、有効求人倍率は、0.49倍と依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状態が続いている。

 県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業222社)

全業種 DI値の推移


多くの業種で生産額が前年比プラスに

1. 食料品
「酒造では依然として生産額の減少が続く」

 生産額は前年同月比3.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲35.3から▲29.4となった。
 酒造は、引き続き飲食店需要の減少や発泡酒人気などによる日本酒需要の減少のため、生産額の減少が続いている。パン・菓子類は、概ね横ばいが続いている。食肉加工では、個別品目により生産・受注の増減が見られる。うどん類はお歳暮ギフトに動きが見られ、やや改善に推移している。

2.繊維・衣服
「依然として生産額の減少が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.1%の減、同4.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲26.7から▲31.3となった。
 スポーツウェアでは、春先用の生産に入っているが、取引先の受注動向等により明暗が出ている。紳士服では、依然として生産額の減少が続く中、工場の集約等生産体制の見直しをするところも出ている。婦人服では、小売の動向を見ながらの短納期・小ロットの受注が増えているほか、単価の低下等により利益率が低下しているところが多いが、生産水準は前年並みとなっている。

3.木材・木製品
「製材、合板関係とも生産増が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.2%の増、同29.4%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲20.0から▲25.0となった。
 合板は、生産額の増加が続いているが、単価が低迷しており、先行きは不透明となっている。一般製材やプレカット材、集成材等については、首都圏などでの住宅着工の増加に伴う生産・受注の増加が続いている。

4.鉄鋼業
「水道管関係は堅調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.6%の増、同6.9%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲40.0で前月と変化なかった。
 水道管関係では、好調な公共工事を受けて、堅調な動きを示している。一方で、鋳物関連では、依然として厳しい状況が続いている。

5.金属製品
「公共工事関連での生産が増加」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.0%の減、同12.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲30.0から10.0となった。
 橋梁・鉄骨等土木建築工事関連では、公共工事関連の生産が好調であったことから、生産額の増加が続いている。アルミサッシ、シャッター等建具関連では、一部民間ビル物件に動きが出てきている。電気機器用品関連では、短納期・小ロットの受注が多く、厳しい状況が続いている。

6.一般機械
「生産が大幅増加」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比53.1%の増、同2.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲36.4から▲27.3となった。
 一般産業機械では、個々の企業により好不調が分かれているが、木材加工機械での生産増加により前年比で大幅増加となった。また、公共工事関連機械でも、好調な生産が続いている。

7.電気機械
「一部ではフル稼働が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比13.8%の増、同13.5%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは7.4から0.0となった。
 液晶ディスプレイは、14〜15インチ大型モニターが引き続き好調で、繁忙状態が続いている。こうした中で増産体制が整ってきたほか、市況も持ち直している。コンデンサ類やダイオード等の電子部品もパソコン・携帯電話・ゲーム機用を中心にフル稼働状態が続いている。特に携帯電話用については、各社の予想を上回る受注状況となっており、先行きについても明るい見通しを持っている。電子回路関係でも、パソコン関連機器用を中心に好調を持続しているほか、光ファイバー関連部品の生産も好調である。

8.輸送機械
「概ね前年並みの生産水準」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.1%の増、同0.9%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0で前月と変化なかった。
 パワステポンプ関連では、概ね前年並みの生産水準となっているが、先行きについてはグループ企業の生産体制見直しにより好転するとしている。シート関連、ブレーキ関連、エンジン・ミッション関連等では、個々に好不調の部門があるものの、全体としては概ね前年並みとなっている。県内に関連企業の多い日産自動車のリバイバルプランについては、具体的な対応策の検討に入っているところも多い。

9.精密機械
「携帯電話関連部品では増産投資の動き」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.3%の増、同10.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2から▲11.1となった。
 時計類は、価格競争が厳しい中で生産額が減少した。はかり類は、ヒット商品の体脂肪計付き体重計がライバル企業の参入にもかかわらず、好調を持続している。光学レンズ関連では、受注が回復傾向にあり、景況は好転している。液晶等携帯電話関連部品は、受注・生産共に好調でフル稼働の状況にあり、生産設備を増強する動きもある。


手持ち工事は充分なものの、工事量の先行きに懸念

「工事量の先行きに懸念」
 受注額、完工高は前年同月比3.2%の増、同 17.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲56.3から▲43.8となった。
 公共工事の受注に関しては、昨年度後半からの高水準の発注がここにきて一段落している。また、受注競争が厳しく、公共工事を受注できたところとできなかったところとの明暗の差が大きい。こうした中、手持ち工事量が十分なところの中にも、昨年度以降の受注工事の中には完工を迎える物件も出てきており、年明け以降の人員体制の見直しの動きも出ている。一方で、一般住宅を中心とする企業の中は、勢いがなくなったと指摘するところがある。それ以外の民需では、依然として物件が少ない中、受注競争が厳しくなっている。


衣料品を除いては底堅い動き

1.衣料品
「全体として低調な動き」

 売上高は前年同月比20.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.0から▲56.3となった。
 紳士服では、スーツ類の売上減少が続いており、依然として厳しい状況が続いている。婦人服では、個別店舗により見方が分かれているが、全体的には概ね前年同月並の売上額となっている。呉服では、依然として消費者マインドが低迷しており、低調な動きを示している。

2.身回品
「概ね前年並み」

 売上高は前年同月比2.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲36.4から▲41.7となった。
 日用雑貨では、冬物やギフト商品が動き出したことなどにより前年並みの売上となっている。カバン類も前年並みとなっている。時計・眼鏡・貴金属では、眼鏡が順調だったことなどにより売上増加となっている。

3.飲食料品
「売上減少が続くが堅調な動き」

 売上高は前年同月比3.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲50.0から▲47.6となった。
 スーパーでは、飲食料品を中心に引き続き堅調な動きを示しているが、県内資本・県外資本に関わらず、出店競争が厳しくなっており、個別店舗ではそうした出店の有無が大きな影響を与えている。酒類では、飲食店向けなど日本酒を中心とするところでは依然として売上減少が続いている。菓子類では、贈答品が堅調であったと指摘するところがある。

4.家電品
「売上額が再び減少に転じる」

 売上高は前年同月比8.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲38.5から▲61.5となった。
 家電品は、依然としてパソコン・携帯電話関連の販売は好調だが、暖房器具やテレビなどは低調で、売上は再び減少に転じた。年末のボーナス商戦前のため、消費者の動きは低調であった。

■県内経済動向調査集計結果11月■

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