県内経済の動向


■ 12 月 概 況 ■


 県内経済は、製造業では、主力の電気機械を中心にパソコン・携帯電話関連部品が好調を持続しており、フル稼働のところも多い。また、他の多くの業種で前年同月の生産水準を上回ってきており、生産は回復に向かいつつある。建設業では、依然として民需が低迷する中、公共工事の発注が一段落している。こうした中で大型工事案件を抱えている地域とそうでない地域との間の差が広がっている。小売業では、衣料品を除いては底堅い動きを示しているものの、消費全体を押し上げるまでには至っていない。県内経済は、生産面では生産水準が増加に転じた業種が広がり、回復に向かいつつあるが、消費面では底堅い動きこそ示しているものの力強さを欠いており、全体として、回復の兆しはあるものの、なお横ばいが続いている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲10.6から▲9.8、現在の資金繰りは▲21.9から▲14.4、3ヶ月先の業況見通しは▲30.6から▲18.6となり、このところ下がり続けていたDI値が幾分持ち直している。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.9%増、同9.9%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲16.4から▲7.3となった。春先から好調が続いていた木材木製品で対前年比での増加ペースが鈍化しているが、多くの業種で生産水準が前年を上回るようになってきている。特に電気機械を中心として、パソコン・携帯電話関連部品で高水準の生産が続いており、フル稼働のところも多い。こうした中で、増産投資や臨時雇用により生産増加に対応しているところも出てきている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比25.3%減、同9.3%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲43.8から▲25.0となった。公共工事の発注が一段落している中で、大型工事案件を抱える地域とそうでない地域との間で先行きの見方について明暗の差が広がっている。一方、民需については依然として物件が少ない中、受注競争が厳しい状況が続いている。
 小売業では、売上額は前年同月比3.1%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲51.6から▲38.3となった。家電品と身回品の売上が再びプラスに転じるなど、衣料品を除いては概ね前年並みの売上となっている。総じて個人消費は底堅い動きを示しているものの、力強さを欠いたままである。
 地域別に見ると、好調な電子部品製造や建設業での大規模工事案件を抱える地域とそうでない地域との間での景況感の差が広がっている。特に、電子部品製造業が好調で、公共土木工事の大型案件も抱える由利地域では、生産面での回復感が消費面にも反映してきている。
 一方、有効求人倍率は、0.49倍と依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状態が続いている。

 県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業222社)

全業種 DI値の推移


パソコン・携帯電話関連部品でフル稼働が続く

1. 食料品
「お歳暮用は前年並みを確保」

 生産額は前年同月比1.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲29.4から▲33.3となった。
 酒造は最需要期であったが、贈答品向けで概ね前年並みの売上を確保したものの、先行きについては日本酒需要の逓減傾向のため厳しい見方をしている。パン・菓子類は、概ね横ばいが続いている。食肉加工では、お歳暮向けは低調であったが、ベンダー向けなどでは堅調であった。うどん類はお歳暮用に動きが見られたほか、先行きについてもやや改善と見ている。

2.繊維・衣服
「依然として生産額の減少が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.8%の減、同10.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲31.3で前月と変化なかった。
 スポーツウェアでは、春先用の生産に入っているが、発注先の海外移転等により、受注減となっている。紳士服では、依然として生産額の減少が続いている。婦人服では、暖冬により冬物衣料のスポット受注が少なかったものの、生産水準は前年並みとなっている。ただ、短納期・小ロット化や単価の低下等により、利益率が低下しているところが多い。

3.木材・木製品
「合板関係の生産増は一服」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.3%の増、同11.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.0から10.0となった。
 合板は、生産額の増加が続いているものの、前年同月比の増加率は落ち着いてきている。また単価の低迷や流通在庫の増加により、先行きは不透明となっている。一般製材やプレカット材、集成材等については、首都圏などでの住宅着工の増加に伴う生産・受注の増加が続いているが、一般製材の中には、需要の落ち込みを指摘する向きも出てきた。また、4月から施行される「住宅品質確保法」に伴い、より厳しい品質基準を満たすための設備投資が必要とされるのではとの懸念も出ている。

4.鉄鋼業
「水道管関係は堅調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.3%の増、同4.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲40.0から▲20.0となった。
 水道管関係では、好調な公共工事を受けて、堅調な動きを示している。一方で、鋳物関連では、依然として厳しい状況が続いている。

5.金属製品
「建具関連では一部民間ビル物件に動き」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比13.4%の増、同70.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは10.0から0.0となった。
 橋梁・鉄骨等土木建築工事関連では、公共工事関連の生産が好調であったことから、生産額の増加が続いている。アルミサッシ、シャッター等建具関連では、一部民間ビル物件に動きが出てきている。電気機器用品関連では、短納期・小ロットの受注が多いものの、生産水準は前年を上回ってきている。

6.一般機械
「生産・受注の回復を指摘する向きがある」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比22.1%の減、同2.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲27.3から0.0となった。
 一般産業機械では、個々の企業により好不調が分かれているものの、生産・受注の回復傾向を指摘するところが多くなっている。一方で、公共工事関連機械で、前年の反動減により大きく生産額が落ち込んだところがあるため、全体の生産額はマイナスとなった。

7.電気機械
「パソコン・携帯電話関連部品を中心にフル稼働が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.9%の増、同14.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から7.4となった。
 液晶ディスプレイは、14〜15インチ大型モニターが引き続き好調で、繁忙状態が続いている。こうした中で増産体制も整ってきている。コンデンサ類やダイオード等の電子部品もパソコン・携帯電話・ゲーム機用を中心にフル稼働状態が続いている。特に携帯電話用については、各社の予想を上回る受注状況となっており、先行きについても明るい見通しを持っている。一部で懸念されたY2K対策での在庫積み増しに伴う年明け以降の反動減については、杞憂に終わったようである。こうした中で、今期の決算について、最高水準となるとの見通しの企業も出ている。電子回路関係でも、パソコン関連機器用を中心に好調を持続しているほか、光ファイバー関連部品の生産も好調である。

8.輸送機械
「概ね前年並みの生産水準」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.1%の増、同0.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0で前月と変化なかった。
 パワステポンプ関連では、概ね前年並みの生産水準となっているが、先行きについてはグループ企業の生産体制見直しにより好転するとしている。シート関連、ブレーキ関連、エンジン・ミッション関連等では、個々に好不調の部門があるものの、全体としては概ね前年並みとなっている。県内に関連企業の多い日産自動車のリバイバルプランについては、具体的な対応策の検討に入っているところも多い。

9.精密機械
「携帯電話関連部品の好調が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.4%の増、同7.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲11.1となった。
 液晶等携帯電話関連部品は、受注・生産ともに好調でフル稼働の状況にあり、生産設備を増強する動きもある。はかり類では、体脂肪計付き体重計を中心に好調を持続している。光学レンズ関連では、受注が好調で、フル生産のところも出ている。


公共工事量の地域差により明暗

「公共工事量の地域差により明暗」
 受注額、完工高は前年同月比25.3%の減、同 9.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲43.8から▲25.0となった。
 公共工事に関しては、昨年度後半からの高水準の発注がここにきて一段落している。工事の進捗状況は暖冬により順調であり、3月工期のものについては余裕のある工程となっている。こうした中で、地域により大型工事案件を抱えているところと、そうでないところとの明暗の差が大きくなっている。特に、日沿道関連工事や芋川災害復旧事業等を抱える由利地域では、各社とも先行きについては明るい見通しを持っているが、それ以外の地域では、補正予算に係る発注に対する期待はあるものの、次年度については厳しい見方をしているところが多い。一方で、一般住宅を中心とする企業については、冬場で受注が一段落しているが、この1年余りでの需要の先食いを懸念しているところがある。それ以外の民需では、依然として物件が少ない中、受注競争が厳しくなっている。


衣料品を除いては底堅い動き

1.衣料品
「全体として低調な動き」

 売上高は前年同月比8.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲56.3から▲26.7となった。
 紳士服では、スーツ類の不振が続いており、依然として厳しい状況が続いている。婦人服では、暖冬の影響によりコートなど単価の高い商品の動きが悪かったが、客数の増加を指摘する向きもあり、全体的には概ね前年同月並の売上額となっている。呉服では、依然として消費者マインドが低迷しており、低調な動きを示している。

2.身回品
「概ね前年並み」

 売上高は前年同月比16.4%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲41.7から▲25.0となった。
 日用雑貨では、年末にかけて反射式ストーブや乾電池などのY2K関連商品の売上により前年を上回るところがあったが、暖冬の影響により冬物商品の動きが低調となっている。カバン類や時計・貴金属などでは、催事の開催によって大幅な売上増加となったところがあるが、それ以外では前年並みとなっている。

3.飲食料品
「売上減少が続くが堅調な動き」

 売上高は前年同月比4.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲47.6から▲55.0となった。
 スーパーでは、飲食料品を中心に引き続き堅調な動きを示しているが、県内資本・県外資本に関わらず、出店競争が厳しくなっており、個別にはそうした競合店舗の動向が大きな影響を与えている。酒類では、飲食店向けなどの日本酒を中心とするところでは依然として売上減少が続いている。

4.家電品
「概ね前年並みの売上」

 売上高は前年同月比0.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲61.5から▲38.5となった。
 家電品は、依然としてパソコン・携帯電話関連の販売は好調なものの、主力のテレビの動きが鈍いほか、暖冬により暖房器具が低調であった。こうした中で、ボーナス期にあわせた催事の開催などにより売上を確保したところもあり、全体では前年並みの売上となっている。

■県内経済動向調査集計結果12月■

バックナンバー集へ戻る