■  概  ■  況  ■


 県内経済は、製造業では、主力の電気機械を中心にパソコン・携帯電話関連部品が好調を持続しており、フル稼働のところも多い。また、他の多くの業種で前年同月の生産水準を上回ってきており、生産は回復に向かいつつある。建設業では、依然として民需が低迷する中、公共工事の発注が一段落している。こうした中で大型工事案件を抱えている地域とそうでない地域との間の差が広がっている。小売業では、衣料品を除いては底堅い動きを示しているものの、消費全体を押し上げるまでには至っていない。県内経済は、生産面では多くの業種で生産額が増加しており、回復に向かいつつあるが、消費面では底堅い動きこそ示しているものの力強さを欠いており、全体として、回復の兆しはあるものの、なお横ばいが続いている。

 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲9.8から▲38.7、現在の資金繰りは▲14.4から▲24.5、3ヶ月先の業況見通しは▲18.6から▲12.7となり、3ヶ月前との業況比較では一年程前の水準まで低下したものの、3ヶ月先の見通しでは昨年央の水準まで回復してきている。

 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.0%増、同11.4%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲7.3から▲4.9となった。春先から好調が続いていた木材木製品で一年ぶりに前年同月の生産水準を下回るに至ったほか、食料品や繊維・衣服などでも3ヶ月前との業況比較でDI値が大きく低下したが、その他の業種の生産水準は前年を上回っている。特に電気機械を中心として、パソコン・携帯電話関連部品で高水準の生産が続いており、フル稼働のところも多い。これらの中には、増産投資のほか残業や休日出勤、さらには臨時雇用により生産増加に対応しているところも出てきている。

 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比0.9%減、同1.3%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.0から▲12.9となった。公共工事の発注が一段落している中で、大型工事案件を抱える地域とそうでない地域との間で先行きの見方について明暗の差が広がっている。一方、民需については依然として物件が少ない中、受注競争が厳しい状況が続いている。

 小売業では、売上額は前年同月比5.9%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲38.3から▲28.8となった。衣料品を除いては、多くの店舗で概ね前年並みの売上となっているものの、個別には競合店舗の出店の有無に大きな影響を受けている。総じて個人消費は底堅い動きを示しているものの、力強さを欠いたままである。

 地域別に見ると、好調な電子部品製造や建設業での大規模工事案件を抱える地域とそうでない地域との間での景況感の差が広がっている。特に、電子部品製造業が好調で、公共土木工事の大型案件も抱える由利地域では、生産面での回復感が消費面にも反映してきている。

 一方、有効求人倍率は、0.54倍と依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状態が続いている。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。
県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。

(対象企業222社)


パソコン・携帯電話関連部品でフル稼働が続


1 食料品

「酒造では厳しい状況が続く」

 生産額は前年同月比5.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲33.3から▲5.9となった。

 酒造は日本酒需要の逓減傾向のため厳しい状況が続いている。パン・菓子類は、概ね横ばいが続いている。食肉加工では、定番商品などは低迷しているが、ベンダー向けなどは好調であった。うどん類は個別商品毎に格差が出ている。

2 繊維・衣服

「依然として生産額の減少が続く

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.5%の減、同8.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲31.3から▲37.5となった。

 スポーツウェアでは、春先用の生産に入っているが、概ね前年並みの受注を確保している。紳士服では、依然として生産額の減少が続いている。婦人服では、生産水準は概ね前年並みとなっているものの、短納期・小ロット化や単価の低下等により、利益率が低下しているところが多い。

3 木材・木製品

「一年ぶりに生産額が減少」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.4%の減、同4.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは10.0から5.0となった。

 このところ生産水準の上昇が続いていた合板は、約一年振りに生産額が前年同月比で減少に転じた。4月から施行される「住宅品質確保法」の影響で輸入合板の動きが鈍化するものと予想されているが、まだ具体的な影響は出ていない。一般製材や集成材等についても、昨年末頃から売上が前年を下回るところが多く、先行きに対する懸念が広がっている。また、「住宅品質確保法」施行に伴い、製材の乾燥設備などの設備投資が求められるのではとの懸念も出ている。

 

4 鉄鋼業

「水道管関係は堅調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.7%の増、同2.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲20.0から0.0となった。

 水道管関係では、好調な公共工事を受けて、堅調な動きを示している。一方で、鋳物関連では、依然として厳しい状況が続いている。

 

5 金属製品

「建具関連では一部民間ビル物件に動き」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比52.8%の増、同11.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から▲10.0となった。

 橋梁・鉄骨等土木建築工事関連では、公共工事関連の生産が好調であったことから、生産額の増加が続いている。アルミサッシ、シャッター等建具関連では、一部民間ビル物件に動きが出てきている。電気機器用品関連では、短納期・小ロットの受注が多いものの、生産水準は前年を上回ってきている。

 

6 一般機械

「先行きに対する懸念が出ている」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比20.4%の増、同12.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から▲18.2となった。

 一般産業機械・公共工事関連機械共に、全体として生産額は前年同月を上回ってきているものの、先行きについては懸念を示すところが出てきている。

 

7 電気機械

「パソコン・携帯電話関連部品を中心にフル稼働が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比22.6%の増、同20.7%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは7.4から18.5となった。

 液晶ディスプレイは、14〜15インチ大型モニターが引き続き好調で、繁忙状態が続いている。コンデンサ類やダイオード等の電子部品もパソコン・携帯電話・ゲーム機用を中心にフル稼働状態が続いている。特に携帯電話用については、先行きについて強気の見通しを持つところが多くなっている。こうした中で、生産体制の面では、各社とも残業や休日出勤、アルバイトやパートにより対応しており、正規雇用の増加までには至っていない。さらに、電子回路関係でも、パソコン関連機器用を中心に好調を持続しているほか、光ファイバー関連部品の生産も好調である。 

 

8 輸送機械

「概ね前年並みの生産水準」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.9%の増、同0.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から▲14.3となった。

 パワステポンプ関連では、概ね前年並みの生産水準となっている。シート関連、ブレーキ関連、エンジン・ミッション関連等では、個々に好不調の部門があるものの、全体としては概ね前年並みとなっている。県内に関連企業の多い日産自動車のリバイバルプランについては、具体的な対応策の検討に入っているところも多い。

 

9 精密機械

「携帯電話関連部品の好調が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.2%の増、同7.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲11.1で前月と変化なかった。

 液晶等携帯電話関連部品は、受注・生産ともに好調でフル稼働の状況にあり、生産設備を増強する動きもある。はかり類では、体脂肪計付き体重計を中心に好調を持続している。光学レンズ関連では、国内・海外向け共に受注が好調で、フル稼働のところも出ている。

 


公共工事量の地域差により明暗


 受注額、完工高は前年同月比0.9%の減、同 1.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.0から▲12.9となった。

 公共工事に関しては、このところ受注が前年同月を下回る水準で推移しているが、手持工事の進捗状況は暖冬により順調であり、3月工期のものについては余裕のある工程となっている。こうした中で、地域により大型工事案件を抱えているところと、そうでないところとの明暗の差が大きくなっている。特に、日沿道関連工事や芋川災害復旧事業等を抱える由利地域では、各社とも先行きについては明るい見通しを持っているが、それ以外の地域では、補正予算関連工事に対する期待はあるものの、次年度については厳しい見方をしているところが多い。また、次年度から導入が予定されている県の入札機会の拡大による競争の激化に対する懸念を持つところも出ている。一方で、一般住宅を中心とする企業については、冬場で受注が一段ところが

ある。それ以外の民需では、依然として物件が少ない中、受注競争が厳しくなっている。


衣料品を除いては底堅い動き


1 衣料品

「依然として低調な動き」

 売上高は前年同月比10.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲26.7から▲46.7となった。

 紳士服では、暖冬によりジャンパー・コート類が不振となり、依然として厳しい状況が続いている。婦人服では、冬物セールにより売上を確保したところもあるものの、全体としては暖冬の影響によりコート類の動きが悪かったため、売上額としては前年同月を下回っている。呉服では、依然として消費者マインドが低迷しており、低調な動きを示している。

 

2 身回品

「概ね前年並み」

 売上高は前年同月比4.5%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.0で前月と変化なかった。

 日用雑貨では、暖冬の影響により冬物商品の動きが低調となっている。カバン類や時計・貴金属などでは、個別店舗により好不調があるものの、全体的には前年並みとなっている。

 

3 飲食料品

「売上減少が続くが堅調な動き」

 売上高は前年同月比7.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲55.0から▲21.1となった。

 スーパーでは、飲食料品を中心に引き続き堅調な動きを示しているが、県内資本・県外資本に関わらず、出店競争が厳しくなっており、個別にはそうした競合店舗の動向が大きな影響を与えている。酒類では、飲食店向けなどの日本酒を中心とするところでは依然として売上減少が続いている。

 

4 家電品

「概ね前年並みの売上」    

 売上高は前年同月比6.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲38.5から▲23.1となった。

 家電品は、依然としてパソコン・携帯電話関連の販売は好調なものの、主力のテレビの動きが鈍いほか、暖冬により暖房器具が低調であった。こうした中で、企画セールの開催などにより売上を確保したところもあり、全体では前年を上回る売上額となっている。

 

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