県内経済動向調査結果(4月)

    製造業:新車の駆け込み需要により輸送機械の受注増加
建設業:一般住宅は次回公庫募集期の動向に注目
 小売業:家電品は駆け込み需要の反動が大きく影響

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業218社)



概  況


 県経済は、製造業においては、主力の電気機械が好調なほか、輸送機械や精密機械も受注が増加基調となっている。個人消費では、消費税率アップ前の駆け込み需要の反動などから、各業種とも売り上げが伸び悩んだ。全体としては、緩やかな回復傾向が続いている。全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は8.5から−11.4、現在の資金繰りは0.0から−3.2、3ヶ月先の業況見通しは−19.3から−3.2となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年比9.3%増、同7.4%増。3ヶ月先の業況見通しDIは−15.1から−1.6となった。電気機械では、CD-ROM部品が新製品の需要増加に伴い、フル稼働状態となっている。輸送機械では、パワーステアリングで自動車メーカーの在庫が新車の駆け込み需要により減少し、その補填のための受注が入った。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年比34.7%減、同77.5%増。3ヶ月先の業況見通しDIは19.4から31.3となった。土木工事は公共工事の発注が少なく、受注額が減少したところが多かった。建築工事においては、一般住宅の受注が減少傾向となっており、次回の公庫募集期の動向が注目される。
 小売業では、売上額は前年比7.8%減。3ヶ月先の業況見通しDIは−16.8から−23.1となった。消費税率アップの影響から各業種とも伸び悩んだが、とりわけ、家電品は前月に大型製品を中心に売り上げを伸ばした分、その反動が大きく、売り上げが大幅に落ち込んだ。
 有効求人倍率は、0.86から0.87となった。

 
DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

製造業の動向

1. 食料品
「駆け込み需要の反動から酒類落ち込む」

 生産額は前年比8.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは6.3から5.9となった。
 米菓は通常品、贈答品ともに伸び悩んだ。ハム・ソーセージ類は新製品の製造が始まっているものの、前年並の生産額に達していない。酒類は駆け込み需要の反動から大幅に落ち込んだ。
 うどんは消費税率アップの影響は直接感じられず、引き続き安定して推移する見通し。

2.繊維・衣服
「ジーパン市場の動き鈍く、見込み受注カット」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比2.1%の減、同4.5%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−23.1から−12.5となった。
 婦人スーツは受注減少、低工賃により低迷している。ジーパンは市場の動きが鈍く、親会社の在庫がだぶついてきたため、見込み受注がカットされた。スポーツ衣料は受注が少ないため秋冬物の生産を前倒し的に開始した。

3.木材・木製品
「集成材は円安による原木の値上がりに苦慮」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比4.1%の減、同3.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−55.0から−40.0となった。
 合板は消費税率アップ後は厳しい局面が予想されていたが、まだ顕著な落ち込みは見られない。
   北洋材は住宅建築の追い風もおさまり、通常ベースに戻った。外国産材主体の集成材は円安による原木の値上がりに苦慮している。

4.鉄鋼業
「鋳鋼は受注増加も、利益的にいま一歩」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比6.9%の増、同1.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−16.7から−14.3となった。
 鋳鋼は円安の影響もあり、海外向けの受注が増加しているが、利益的にはいま一歩。鋳物は駆け込み需要の反動から受注が減少。建設機械部品は小口受注を集めて前年を上回ったが、好調とまでは言い難い状況。

5.金属製品
「携帯電話用部品で新機種移行前の大量受注」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比17.4%の増、同17.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−18.2から−11.1となった。
 携帯電話用部品は新機種移行前の大量受注が入り、好調に推移。コンクリート用型枠は公共工事による需要期が終わり、今後は厳しい見通し。アルミサッシは受注が増加したものの、ビル建築等の回復が遅れており、見通しは不透明。

6.一般機械
「木材機械は円安により海外からの受注増加」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比10.9%の増、同3.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から7.1となった。
 木材機械は円安により海外からの受注が増加している。金型機械も海外向けを中心に引き続き順調に推移。印刷機械は印刷業界の回復に伴って、受注も上向いてきている。スプレーガンはコストダウン効果から安定した状況。

7.電気機械
「CD−ROM部品は新製品需要の増加からフル稼働状態」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比15.2%の増、同9.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−4.2から12.5となった。
 自動車用組電線はこれまでの好調な自動車販売に支えられ、堅調に推移。CD−ROM部品は新製品需要の増加によりフル稼働の状態。アルミ電解コンデンサは小型タイプの受注が増加傾向。半導体ダイオードは受注がやや鈍化しているが、回復の兆しが出てきている。

8.輸送機械
「新車の駆け込み需要によりパワーステアリングの受注増加」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比9.4%の増、同10.4%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−16.7から33.3となった。
 パワーステアリングは自動車メーカーの在庫が新車の駆け込み需要により減少し、その補填のための受注が入った。自動車用シートは昨年下期に本社から移管された部品の受注が依然好調で、今後もこの状態が続くと見ている。

9.精密機械
「はかりで新製品の生産・開発が活発化」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比15.6%の増、同18.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から33.3となった。
 腕時計類は国際規格に認証され、その効果に期待がかかる。はかり類は新製品が発売され、生産額を大幅に伸ばしたほか、更なる製品開発も行っている。光学レンズ類は液晶パネル向けが先行き不透明となっているものの、カメラ用や医療機器用が好調。


建設業の動向

「一般住宅は次回公庫募集期の動向に注目」
 受注額、完工高はそれぞれ前年比34.7%の減、同77.5%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは19.4から31.3となった。
 土木工事では、公共事業の発注が少なかった中で、空港関連工事により受注額を伸ばしたところがあった。
 一般住宅は受注残を抱え、ある程度の完工高をあげているものの、受注は減少傾向となっており、次回の公庫募集期の動向が注目される。


小売業の動向

1.衣料品
「呉服・高級婦人服は駆け込み需要の反動大」

 売上額は前年比10.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−68.8から−38.9となった。
 呉服や高級婦人服は駆け込み需要の反動が大きく、大幅減となったところが多い。春・夏物の婦人服に動きがみられたところもあったが、消費税率アップによる消費者マインドの後退なども影響し、総じて売り上げは伸び悩んだ。

2.身回品
「カバン売り上げやや伸び悩む」

 売上額は前年比6.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−58.3から−33.3となった。
 カバンは駆け込み需要の反動からやや伸び悩んだ。今後、売り上げは安定してくるものと予想されるが、低水準での推移となる見込み。化粧品は前月にオープンした大型店の影響を大きく受けたところがあった。

3.飲食料品
「酒類はディスカウント店への流出加速を懸念」

 売上額は前年比5.6%の減。3ケ月先の業況見通しDIは−26.3から−28.6となった。
 酒類は売り上げの悪化が目立ち、今後はディスカウント店への流出がさらに加速するのではとの懸念もある。スーパーは大型店への対抗策として、土日を休みとし、平日に力点を置く営業方法をとっているところもある。

4.家電品
「駆け込み需要の反動大きく、売り上げ大幅減少」

 売上額は前年比15.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−40.0から14.3となった。
 前月に冷蔵庫、テレビ等大型製品を中心に駆け込み需要が見られた分、その反動が大きく、売り上げが大きく落ち込んだ。今後は、エアコン等の販売に期待がかかる。



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