県内経済動向調査結果(5月)

     製造業:自動車用シートは新事業所を立ち上げ増産体制
     建設業:一般住宅の公庫申し込みが大幅に減少
     小売業:冷蔵庫等の高額家電品の売り上げ落ち込む

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業219社)



概  況


 県経済は、製造業においては、主力の電気機械が好調なほか、輸送機械も受注が順調に推移している。個人消費では、消費税率アップ前の駆け込み需要の反動が引き続きみられ、特に家電品の売り上げが低迷している。全体としては、緩やかな回復傾向が続いている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は−11.4から−9.6、現在の資金繰りは−3.2から−13.2、3ヶ月先の業況見通しは−3.2から8.7となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年比8.1%増、同11.0%増。3ヶ月先の業況見通しDIは−1.6から9.0となった。電気機械では、CD−ROM関連製品がパソコン販売の増加に伴い、好調に推移している。輸送機械では、自動車用シートで新たに事業所を立ち上げ増産体制となっている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年比72.5%増、同48.5%増。3ヶ月先の業況見通しDIは31.3で変わらず。土木工事は公共工事の発注が少なく、受注額が減少したところが多かった中で、県外での大規模物件の受注獲得により受注額を大幅に伸ばしたところがあった。建築工事は一般住宅では5月期の公庫への申し込みが大幅減となっており、厳しい状況が予想される。
 小売業では、売上額は前年比5.6%減。3ヶ月先の業況見通しDIは−23.1から−3.1となった。消費税率アップの影響が続いており、各業種とも伸び悩んだ。特に冷蔵庫等の高額家電品を中心に売り上げが大幅に落ち込んだ。今後、6月以降のボーナス商戦に期待がかかる。
 有効求人倍率は、0.87から0.88となった。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。


製造業の動向

1. 食料品
「めん類は夏場の最需要期をむかえ回復傾向」

 生産額は前年比4.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは5.9から0.0となった。
 牛乳・乳製品は競合による単価ダウンにより売上、収益ともに前年を割り込んでいる。
 味噌・醤油はギフトセット向けの詰め合わせ等にも動きがでてきており、例年並の推移となった。めん類は夏場の最需要期をむかえ、今後の見通しも明るい。


2.繊維・衣服
「ジーパンは子供用商品のヒットにより受注増加」

生産額、受注額はそれぞれ前年比2.3%の増、同3.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−12.5から6.3となった。
 婦人スーツは夏物受注の減少により低迷している。ジーパンは子供用商品がヒットし受注が増加したため、増産体制に入った。ニット衣料は、秋冬物の受注が好調に推移しているため先行きは明るい。スポーツ衣料は大きな動きはなく前年並みに推移している。


3.木材・木製品
「木材全般で駆け込み需要による反動が顕著」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比3.2%の減、同6.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−40.0から0.0となった。
 今月は、木材全般で消費税率アップに伴う駆け込み需要の反動のため、徐々に受注が減少している。集成材等は、円安による原木の値上がりに苦慮している。


4.鉄鋼業
「鋳物は駆け込み需要の反動から受注減少」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比9.8%の増、同1.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−14.3から−28.6となった。
鋳鋼は海外向け受注が引き続き増加しているが、スポット的な傾向が強いため先行き不透明。鋳物は駆け込み需要の反動から受注が依然減少傾向にある。引抜管関連は前年並みの生産量を維持するものの、価格競争の激化が懸念される。


5.金属製品
「コンピューター型枠は伸び悩みの傾向」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比20.7%の減、同5.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−11.1から0.0となった。
 針金・鉄線類は公共工事の需要期により生産増加。建築用鉄骨製造は、受注・生産とも前年同月を大幅に下回る。コンピューター型枠は、取引先の海外シフト、海外製品との競合等といった懸念材料を抱え、伸び悩みの傾向。


6.一般機械
「印刷機械は印刷業界の回復に伴い受注も上向き」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比0.1%の減、同9.9%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは7.1から28.6となった。
 木材機械は円安により海外からの受注増加が続いている。金型機械も海外向けを中心に引き続き順調に推移。印刷機械は印刷業界の回復に伴って、受注も上向きを維持している。スプレーガンは生産額が前年並みに回復しており、コストダウン効果により安定した状況。


7.電気機械
「CD−ROM関連製品はパソコンの販売好調に伴い引き続きフル稼働の状態」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比17.2%の増、同22.1の増。3ヶ月先の業況見通しDIは12.5から25.0となった。
 CD−ROM関連製品は、パソコンの販売好調に伴い引き続きフル稼働の状態にある。チップコンデンサは、海外向けを中心に受注は増加傾向。アルミ電解コンデンサは前年に比べ生産額が大幅増加。液晶ディスプレイは、受注が安定した状況にあり、好調に推移している。


8.輸送機械
「自動車用シートは新事業所を立ち上げ増産体制」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比11.3%の増、同9.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは33.3から0.0となった。
 パワーステアリングはモデルチェンジによる新車販売の増加や円安傾向などから堅調に推移。自動車用シートは新たに事業所を立ち上げ増産体制となっているところがある。トラック架装は、冷凍車を中心に受注が増加。


9.精密機械
「はかりで新製品が依然好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比1.6%の減、同1.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは33.3から22.2となった。
 腕時計類は引き続き横ばいに推移しているものの単価が低下しており、依然先行き不透明。はかり類は新製品の売り上げ好調により、生産額を大幅に伸ばしている。光学レンズ類は、需要が順調に推移しており、今後の見通しも明るい。


建設業の動向

「一般住宅の公庫申し込みが大幅に減少」
 受注額、完工高はそれぞれ前年比72.5%の増、同48.5%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは31.3で変わらず。
 土木工事では、公共事業の発注が少なかった中で、県外での大規模物件の受注獲得により受注額を大幅に伸ばしたところがあった。一般住宅は受注残を抱え、ある程度の完工高をあげているものの、受注は減少傾向となっている。5月期の公庫募集への申し込みは前年同期比で大幅に減少しており、厳しい状況が予想される。


小売業の動向

1.衣料品
「衣料品は総じて低調基調」

 売上額は前年比5.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−38.9から−27.8となった。
 衣料品全体として、大型店への流客や通信販売の流行等により厳しい状況が続いている。呉服は「ゆかた」が近年は需要が伸びず厳しい状況にある。婦人服は夏物の動きが鈍く、消費税率アップの影響による買い控えにより低調に推移している。今後ボーナス商戦の動きに期待がかかる。


2.身回品
「カバン売り上げ大幅に落ち込む」

 売上額は前年比8.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−33.3から−8.3となった。
 カバンは駆け込み需要の反動から前年同月を大きく下回った。今後、低水準の状態が続く見通し。化粧品は消費税率アップによる影響がほとんど見られなくなってきており、堅調に推移した。眼鏡・貴金属は状況的には安定しているものの、大型店への流客が懸念される。


3.飲食料品
「酒類はディスカウント店等の出店により競争激化」

 売上額は前年比2.9%の減。3ケ月先の業況見通しDIは−28.6から9.5となった。
 酒類は売り上げの悪化が目立ち、ディスカウント店や大型ショッピングセンター等の出店により厳しい経営環境にあるところが多い。菓子はゴールデンウィークの帰省客の影響などから、好調に推移した。


4.家電品
「冷蔵庫等の高額商品の売り上げ落ち込む」

 売上額は前年比21.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは14.3で変わらず。
 消費税率アップの反動が引き続きみられ、特に冷蔵庫等の高額商品を中心に売り上げが大幅に落ち込んだ。エアコン等の季節商品の出足も鈍く、6月以降のボーナス商戦に期待がかかる。




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