県内経済動向調査結果(6月)


製造業:4輪・2輪部品は輸出関連が好調
建設業:土木工事は公共事業に徐々に動きがみられる
小売業:家電品は消費税率アップによる反動が長引く

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業219社)



概  況


 県経済は、製造業においては、主力の電気機械が引き続き好調なほか、輸送機械、精密機械も生産額・受注額が順調に推移している。個人消費では、消費税率アップ前の駆け込み需要の反動が小売業全体で引き続きみられ、特に家電品を中心に売り上げが低迷している。全体としては、先行きに不透明な部分があるものの、緩やかな回復傾向が続いている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は―9.6から―8.2、現在の資金繰りは―13.2から―11.9、3ヶ月先の業況見通しは8.7から―1.8となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年比11.8%増、同12.0%増。3ヶ月先の業況見通しDIは9.0から2.5となった。電気機械では、CD―ROM関連製品で新商品の需要が増加しており、引き続きフル稼働状態にある。液晶ディスプレイも好調に推移しており、工場の増設により増産体制に入る見込み。輸送機械では、4輪・2輪部品の輸出関連が好調となっている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年比9.3%減、同30.7%増。3ヶ月先の業況見通しDIは31.3から25.0となった。土木工事は公共工事が徐々に出てきており、建築工事では一般住宅受注の低迷を反映して低調となっているが、ともに地域により大きな差がある。
 小売業では、売上額は前年比7.2%減。3ヶ月先の業況見通しDIは―3.1から―23.1となった。飲食料品スーパーは同業者との競合などにより厳しい状況が続いている。家電品は、引き続きエアコン・大型テレビ等の高額商品を中心に消費税率アップによる反動が色濃く出ており、前年割れが続いている。
 有効求人倍率は、0.88から0.84となった。

 
DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

製造業の動向

1. 食料品
「酒類は消費者の嗜好の変化から景況は悪化傾向」

 生産額は前年比1.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から−11.8となった。
 酒類は消費者の嗜好の変化による需要の低迷から景況は悪化傾向にある。先行きも、消費者の動向をつかみきれず不透明感がある。
 ハム・ソーセージ類は原材料が国産品を中心に割高となっており、利益を圧迫しているほか、新製品も伸悩んでいる。牛乳・乳製品は売り上げが回復せず、業績は悪化している。

2.繊維・衣服
「紳士服関連は新製品等により好調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比5.4%の減、同3.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは6.3から0.0となった。
 ジーパンは子供用商品がヒットし受注が増加しているため、引き続き増産体制となっている。
 紳士服関連は高度な技術力により各メーカーから安定した受注が続いているところや、携帯電話用ポケット付きスラックスといった新製品により受注を獲得しているところもあり、好調に推移している。スポーツ衣料は前年同月と比べ生産がやや減少したものの、大きな変動はない。

3.木材・木製品
「木材全般で駆け込み需要による反動が長引く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比2.6%の減、同2.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から−25.0となった。
 今月も、木材全般で消費税率アップに伴う駆け込み需要の反動が長引き、引き続き生産・受注ともに減少している。さらに6月中旬以降、全国的な住宅着工の低迷もあり、厳しい状況が続く見通し。

4.鉄鋼業
「鋳物・鋳鋼ともに受注はスポット的要素が強く先行き不透明」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比8.4%の増、同2.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−28.6で変わらず。
 鋳物は消費税率アップによる反動が落ち着いてきているものの、依然スポット的な受注が多く先行き不透明。鋳鋼は海外向け部品の受注が引き続き増加しているものの、鋳物と同様にスポット的な傾向が強く、収益が上がらない。
 水道管継手は前年同月を上回っているが、公共工事の発注が少なく先行き不透明。

5.金属製品
「針金・鉄線類は公共事業の需要増加により引き続き生産増加」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比2.4%の減、同27.5%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から44.4となった。
 針金・鉄線類は公共工事の需要増加により引き続き生産増加。アルミサッシは生産・受注ともに堅調に推移しているものの、小ロット・短納期の受注が多く安定した状況とは言い難い。
 好調であった携帯電話部品については、スポット的な受注が終わったことも影響して前年同月額を割り込むなど、一服の兆しがみられる。

6.一般機械
「スプレーガンはコストダウン等の効果により安定した状況が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比2.1%の減、同18.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは28.6で変わらず。
 印刷機械は受注が引き続き回復してきている。さらに印刷業界の回復に伴い全体的な需要も回復傾向にある。スプレーガンは今月も前年並の生産額を保っており、さらにはコストダウン等の効果により安定した状況が続いている。

7.電気機械
「液晶ディスプレイは好調に推移しており、工場増設により生産増加の見込み」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比25.6%の増、同26.9%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは25.0から8.3となった。
 CD−ROM関連製品は、新製品の需要が増加しており、引き続きフル稼働の状態にあるものの、製品のライフサイクルが短いため先行きは不透明。積層チップコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、ハイブリッドICなどの生産は増加しているものの、収益性の高い半導体ダイオード、サイリスタなどはやや軟調となっている。
 液晶ディスプレイは好調に推移しており、工場の増設により、今後生産はさらに増える見込み。

8.輸送機械
「4輪・2輪部品は輸出関連が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比4.9%の増、同6.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0で変わらず。
 パワーステアリングは前月に引き続きモデルチェンジによる生産が業績を支えている。新車販売の不振が報道されているが、生産と販売のタイムラグがあるため、もうしばらくは現在の水準で推移する見込み。
 自動車用シートは新たに事業所を立ち上げ増産体制となっていたが、今月は通常ベースに戻っている。今後は新規受注の車種の生産立ち上がりが遅れることにより、業績がやや落ち込む見込み。4輪・2輪部品は輸出関連が好調でフル稼働状態が続くものの、国内市場の厳しさが懸念材料となっている。

9.精密機械
「光学レンズ類は堅調に推移しており、今後の見通しも明るい」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比10.6%の増、同5.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは22.2で変わらず。
 腕時計類は引き続き安定した状況にある。はかり類は新製品の売り上げが依然好調であり、生産額を大幅に伸ばしている。光学レンズ類は、昨年ほどの好調さはないが、需要が順調に推移しており、今後の見通しも明るい。


建設業の動向

「土木工事は公共事業に徐々に動きがみられる」
 受注額、完工高はそれぞれ前年比9.3%の減、同30.7%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは31.3から25.0となった。
 土木工事では、公共事業が徐々に動き出しているものの、地域により大きな差があり、大規模な公共工事がある地域では受注額・完工高ともに前年を大きく上回っている。民需に関してはまだ動きが鈍い。
 建築工事は、一般住宅受注の低迷を反映して低調であるが、土木工事と同様に地域により大きな差がある。


小売業の動向

1.衣料品
「婦人洋品は前年並に推移し安定した状況」

 売上額は前年比8.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−27.8で変わらず。
 婦人洋品の売り上げは前年並みを維持し、安定した状況にあるが、呉服は売り上げが伸びず厳しい状況にある。大型店では、売り上げの減少傾向が続いており、落ち込みの幅も大きくなってきている。今後夏物、ボーナス商戦の動きに期待がかかる。

2.身回品
「カバン業界は全体的に厳しい状況」

 売上額は前年比8.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−8.3から−16.7となった。
 玩具は、昨年のような新型ゲーム機の発売もなく、低価格商品中心の販売であったため売り上げがあまり伸びていない。カバンは引き続き前年同月を大きく下回っており、業界全体でこの傾向がみられ、先行きも不透明感が強い。時計・眼鏡・貴金属は消費税率アップによる反動から徐々に回復しつつある。

3.飲食料品
「スーパーは前年割れの売り上げが続く」

 売上額は前年比2.9%の減。3ケ月先の業況見通しDIは−9.5から−28.6となった。
 スーパーは同業者との競合や個人消費の冷え込み等により前年割れの売り上げが続いており、景況の先行きも引き続き不透明感がある。酒類は売り上げの悪化が目立ち、近隣へのディスカウント店や大型ショッピングセンター等の出店によりますます競争が激化する模様。ディスカウント店は引き続き前年同月を上回っており好調に推移している。

4.家電品
「家電品は消費税率アップによる反動が依然長引く」

 売上額は前年比27.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは14.3から−14.3となった。
 引き続きエアコン・大型テレビ等の高額商品の動きが鈍く前年割れが続いている。消費税率アップによる反動が色濃くでており、景況の先行きも引き続き懸念され、秋口まで厳しい状況が続くものと思われる。



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