県内経済動向調査結果(7月)


製造業:電気機械でコンデンサが好調
建設業:土木工事は民間工事にも徐々に動きがみられる
小売業:家電品は引き続き前年同月を大きく下回る

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業219社)



概  況


 県経済は、製造業においては、主力の電気機械が引き続き好調なほか、精密機械も生産額・受注額が順調に推移している。個人消費では、飲食料品で一部に動きが見られたものの、消費税率アップ前の駆け込み需要の反動とボーナス商戦不振により、特に家電品を中心に売り上げが低迷している。全体としては、消費税率アップの影響がやや尾を引いているものの、緩やかな回復傾向が続いている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は−8.2から3.2、現在の資金繰りは−11.9から−11.0、3ヶ月先の業況見通しは−1.8から−10.5となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年比9.6%増、同11.2%増。3ヶ月先の業況見通しDIは2.5から4.9となった。電気機械は、積層チップコンデンサが移動体通信機器等で引き合いが強く、アルミ電解コンデンサも生産を伸ばしており好調である。輸送機械では、自動車部品が輸出関連で好調となっている。精密機械では、プラスチック金型関連が好調に推移している。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年比21.7%増、同28.0%増。3ヶ月先の業況見通しDIは25.0から−6.3となった。土木工事は民間工事にも動きが出てきている。建築工事では大型公共工事により好調に推移するものの、一般住宅建築において前年同月を大きく下回っている。
 小売業では、売上額は前年比3.8%減。3ヶ月先の業況見通しDIは−23.1から−20.0となった。飲食料品スーパーは、前年割れの売り上げが続いており、消費回復の兆しは見えない。
 家電品は、冷蔵庫・洗濯機・大型テレビ等の高額商品を中心に、長引く消費税率アップによる反動とボーナス商戦不振の影響により、4カ月連続で前年割れが続いており厳しい状況にある。
 有効求人倍率は、0.84から0.85となった。

 
DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

製造業の動向

1. 食料品
「牛乳・乳製品で価格競争がさらに進む」

 生産額は前年比10.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−11.8から−23.5となった。
 食料品全般で消費の落ち込みが見られ、特にハム・ソーセージ類及び酒類は前年同月の生産額を大きく下回っている。
 パン類は、前年並みの生産量を維持するものの、価格低下のため生産額は若干落ち込んでいる。牛乳・乳製品も価格競争がさらに進み、生産額が落ちており、売上額の回復も遅れている。

2.繊維・衣服
「紳士服関連は全体的に前年並みを推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比3.2%の減、同7.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から−25.0となった。
 ジーパンは子供用商品の受注が引き続き増加しているため、当面は高水準の生産を維持する見通し。紳士服関連は新製品の携帯電話用ポケット付きスラックスが引き続き好調で受注を伸ばしている。昨年の冬物スポーツ用品の販売不振から、今期のスポーツ衣料の仕入れが大幅に縮小されたことが、スポーツ衣料の受注減に結びついているもよう。

3.木材・木製品
「木材全般で前年同月を下回る」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比8.2%の減、同5.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−25.0から−30.0となった。
 木材全般で、消費税率アップに伴う駆け込み需要の反動により、受注が減少している。特に合板で住宅着工率の低下に伴い、荷動きが鈍っており、減産体制に入っている。

4.鉄鋼業
「鉄鋼業界は生産額を伸ばすものの、受注減により先行き不透明」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比13.5%の増、同2.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−28.6から0.0となった。
 鋳物は受注が低迷しており、スポット受注の傾向が強く先行き不透明。鋳鋼は海外向けの重電機関連の受注が引き続き増加しているものの、同様にスポット的な傾向が強く、水道管継手も生産額が伸びたものの、受注額が減少傾向にあり、先行き不透明。

5.金属製品
「住宅エクステリア製品が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比6.2%の減、同16.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは44.4から11.1となった。
 針金・鉄線類は建設工事向け資材が好調なことから、生産額は増加している。アルミサッシは新規住宅着工の減少に伴い不振だが、網戸、ベランダ等のエクステリア製品は好調で生産・受注ともに堅調に推移している。シャッターは消費税率アップ後、生産額の減少が続いており回復の兆しが見えない。針金・鉄線類は建設工事向け資材が好調なことから、生産額は増加している。アルミサッシは新規住宅着工の減少に伴い不振だが、網戸、ベランダ等のエクステリア製品は好調で生産・受注ともに堅調に推移している。シャッターは消費税率アップ後、生産額の減少が続いており回復の兆しが見えない。

6.一般機械
「自動化・省力化機械が自動車関連を中心に好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比1.9%の増、同7.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは28.6から35.7となった。
 印刷機械は印刷業界の業績回復に伴い受注が引き続き回復傾向にある。スプレーガンは今月も前年並の生産額を保っており、安定した状況が続く模様。フォークリフト関連では、新規の受注も増え、好調に推移する見通し。
 金型は粉末金型をはじめ、全般的に順調。自動化・省力化機械では自動車関連向けを中心に受注は増加傾向にある。

7.電気機械
「積層チップコンデンサは増産体制を強化」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比24.1%の増、同26.0の増。3ヶ月先の業況見通しDIは8.3で変わらず。
 CD−ROM関連製品は、新製品の需要増から引き続きフル稼働の状態にあり、受注も確保し先行きは明るい。積層チップコンデンサは移動体通信機器関連等の引き合いが強く増産体制を強化しており、アルミ電解コンデンサも前年に比べ生産額を大きく伸ばしている。
 液晶ディスプレイは引き続き好調に推移しており、生産はさらに増える見込み。

8.輸送機械
「自動車部品は引き続き輸出関連が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比1.4%の増、同0.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から16.7となった。
 パワーステアリング関連製品は、これまで上向きであった生産が9月期からは自動車販売の伸び悩みから下降期に入る見込み。自動車用シートは、一部で受注の遅れがあったものの、その他については順調に立ち上がっており今後は遅れを挽回する見込み。
 エンジン部品及びブレーキ関連製品は引き続き好調に推移している。

9.精密機械
「プラスチック金型が好調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比12.3%の増、同14.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは22.2から−33.3となった。
 プラスチック金型は大幅に生産額を伸ばしている。はかり類は販売戦略が功を奏したこともあって、売り上げが依然好調なことから、引き続き生産額を伸ばしている。光学レンズ類は、スキャナー向けや医療機器用のレンズが好調であるほか、デジタルカメラ向けプリズムも好調を維持している。


建設業の動向

「土木工事は民間事業にも徐々に動きがみられる」
 受注額、完工高はそれぞれ前年比21.7%の減、同28.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは25.0から−6.3となった。
 土木工事では、公共工事のほかに民間事業を確保したところがあるなど、回復の兆しが見られる。建築工事は、校舎新築等の大型公共工事により、高水準で推移しているところがあるものの、土木工事と同様に地域間、企業間に大きな差が見られる。一般住宅建築は、動きが鈍く前年同月を大きく下回っている。


小売業の動向

1.衣料品
「夏物、ボーナス商戦も盛り上がらず依然低迷」

 売上額は前年比6.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−27.8から−5.6となった。
 紳士服、婦人洋品とも前年同月を下回っており、呉服も売り上げが伸びず依然厳しい状況にある。期待した夏物、ボーナス商戦も盛り上がらず、消費は依然低迷しており、大型店では、引き続き売り上げの減少傾向が続いている。

2.身回品
「化粧品、日用雑貨が好調」

 売上額は前年比2.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−16.7から−25.0となった。
 玩具は、来客数は多いものの、客単価が低く売り上げが伸びていない。カバン類は消費税率アップの反動等から、購買意欲が停滞しており、業界全体は引き続き不調である。時計・眼鏡・貴金属は消費税率アップによる反動から徐々に回復しつつあり、安定方向に向かっている。化粧品は下旬に入って暑い日が続いたためか好調であった。日用雑貨も客足が好調で、売り上げは前年同月を上回っている。

3.飲食料品
「酒類は夏場のビールに動きが見られた」

 売上額は前年比1.2%の増。3ケ月先の業況見通しDIは−28.5から−33.3となった。
 スーパーは同業者との競合や消費税率アップの反動から、引き続き前年割れの売り上げが続いており、消費の回復傾向は見られず、景況の先行きも依然不透明。酒類は、当月は夏の暑さによりビールの売り上げが伸びているものの、全体ではディスカウント店や大型ショッピングセンターとの影響等から低迷が続いている。

4.家電品
「家電品は引き続き前年同月を大きく下回る」

 売上額は前年比26.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−14.3で変わらず。
 期待したボーナス商戦も不調に終わり、家電品は消費税率アップの反動からなかなか抜けきれず、前年同月を4カ月連続で大きく下回っている。エアコン等の季節商品に動きが見られたものの、大型テレビ、洗濯機等の高額商品の動きは鈍く、依然厳しい状況が続いている。



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