県内経済動向調査結果(8月)


製造業:コンデンサ類は堅調に推移
建設業:公共事業の受注に増加の動き
小売業:家電品は高額商品を中心に売上げ減が続く

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業219社)



概  況


 県経済は、製造業においては、主力の電気機械が、コンデンサ類を中心に引き続き好調なほか、精密機械も前年に比べ生産額・受注額を大幅に伸ばしているものの、木材・木製品においては、住宅着工の落ち込みを反映して、前年に比べ生産額、受注額がともに大幅に下回っている。個人消費では、消費税率アップ前の駆け込み需要の反動から、特に家電品の高額商品を中心に売上げが低迷している。全体としては、消費税率アップの影響がまだ尾を引いており、景気回復への足取りがより緩やかになってきている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は3.2から−16.0、現在の資金繰りは−11.0から−14.2、3ヶ月先の業況見通しは−10.5から−15.1となった。製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年比10.4%増、同7.5%増。3ヶ月先の業況見通しDIは−6.6から−15.6となった。木材・木製品は、住宅着工の落ち込みから受注を大幅に落としている。電気機械は、積層セラミックコンデンサやアルミ電解コンデンサ等のコンデンサ類で生産額、受注額ともに伸ばしており、堅調に推移している。輸送機械では、自動車用部品で国内自動車販売の悪化による影響が懸念される。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年比10.9%増、同15.5%増。3ヶ月先の業況見通しDIは−6.3から−9.4となった。土木工事、建築工事ともに地域間、企業間により差があるものの、全体的に公共事業の受注が増えてきている。しかしながら、特に官公需への依存度の高い企業では受注状況により、明暗を分けている。小売業では、売上額は前年比5.3%減。3ヶ月先の業況見通しDIは−20.0から−16.9となった。夏期の需要増加により日用雑貨が売上げを大きく伸ばすなど、廉価商品についてはやや動きが見られたものの、大型テレビ・洗濯機等の高額家電品においては、消費税率アップによる反動がまだ尾を引いていることなどから、引き続き前年割れが続いており厳しい状況にある。
 有効求人倍率は、0.85から0.86となった。

 
DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

製造業の動向

1. 食料品
「若年層の日本酒離れが目立ち酒造業が苦戦」

 生産額は前年比5.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−23.5から−11.8となった。
 パン類は、県外企業との競争もあり、人気商品の価格を下げるなどして前年並みの生産額を確保している。酒造はビール、ワイン等に押され、引き続き需要の落ち込みが見られ、特に若年層における日本酒離れが目立ち苦戦を強いられている。米菓は、増税による影響をほとんど受けておらず、順調に推移している。ハム・ソーセージ類では、お中元向け製品が前年並みに推移したものの、一般向け製品が平均購買単価が下がったことにより、全体として前年の生産額を下回っている。

2.繊維・衣服
「ニット衣料は、受注減により先行きに厳しさ」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比5.5%の減、同4.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−25.0から−18.8となった。
 ジーパンは先の受注を確保しており、しばらくは高水準の生産を維持する見通し。紳士服関連は大きな動きは見られず、現在の水準で推移する見通し。スポーツ衣料は来春の受注が入っており、先行きは明るい。ニット衣料は、生産額はやや好調であったものの、受注が大きく減少しており今後厳しさが予想される。

3.木材・木製品
「住宅着工の低迷から、一般製材は大幅な受注減」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比15.1%の減、同16.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−30.0から−45.0となった。
 一般製材は、住宅着工戸数の大幅な落ち込みから受注が大幅に減少している。合板においても、同様に荷動きが鈍り在庫が増加していることから、引き続き減産体制を強いられている状況にある。

4.鉄鋼業
「鉄鋼業界は生産額を伸ばすものの、受注減により先行き不透明」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比0.9%の減、同8.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から−14.3となった。
 鋳物は、電子部品製造向け等で若干の受注増が見られたが、スポット受注の傾向が強く、依然先行き不透明。鋳鋼は海外向けの重電機関連製品の受注が引き続き増加しているものの、受注の伸びにやや停滞感が見られる。水道管継手は生産額、受注額ともに前年並みで推移するものの、今後は大手建設業の業績悪化等の影響が懸念される。

5.金属製品
「針金・鉄線類は堅調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比12.3%の増、同13.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは11.1から−11.1となった。
 針金・鉄線類は公共事業向け資材が引き続き堅調に推移している。シャッター、アルミサッシはともに住宅着工不振の影響を受けており、生産額、受注額ともに減少している。

6.一般機械
「一般産業用機械は好調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比36.9%の増、同11.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは35.7から−14.3となった。
 印刷機械は印刷業界の業績が回復傾向にあり、全体的な需要も回復してきていることから、生産額を伸ばしている。一般産業用機械は、需要が引き続き増加しており、受注額を伸ばしているほか、単価も改善傾向にある。木工機械は、木材業界不振の影響を受けて、受注が大きく減少している。

7.電気機械
「コンデンサ類は堅調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比19.6%の増、同19.1の増。3ヶ月先の業況見通しDIは8.3から4.2となった。
 積層セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサなどのコンデンサ類は生産額、受注額ともに伸ばし、堅調となっている。液晶ディスプレイは引き続き好調に推移しているほか、CD−ROM部品も、需要が増加しており引き続きフル稼働状態にある。

8.輸送機械
「自動車関連部品は引き続き国内市場の悪化が懸念される」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比0.9%の増、同0.4%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは16.7で変わらず。
 パワーステアリング関連製品は、国内の自動車販売の不調を好調な輸出が支え、前年並みの生産額を維持している。2輪車用部品も輸出関連が好調であるが、国内市場が悪化しているため先行きは不透明。自動車用シートは、新規車種の生産立ち上がりによる受注増加を工場増設により乗りきる模様で、今後の見通しは明るい。

9.精密機械
「はかり類は引き続き好調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比18.7%の増、同25.9%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−33.3で変わらず。
 はかり類は、売上げが依然好調なことから、引き続き生産額、受注額ともに大きく伸ばしている。光学レンズ類は、以前ほどの好調さは見られなくなってきたが、堅調に推移している。腕時計部品は、受注量の減少及び単価の低迷から、低調に推移している。


建設業の動向

「土木工事、建築工事ともに公共事業の受注に動きが見られる」
 受注額、完工高はそれぞれ前年比10.9%の増、同15.5%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは−6.3から−9.4となった。
 土木工事では、全体としては公共事業の受注が増えてきているものの、地域間、企業間により大きな差がある。そのため、主に官公需に依存している企業では、明暗を分けている。建築工事においても、土木工事と同様に地域間、企業間によって受注状況に大きな差が見られる。一般住宅建築は、住宅着工の低迷を反映して、低調に推移している。


小売業の動向

1.衣料品
「紳士・婦人服ともに売上げ不振」

 売上額は前年比1.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−5.6から0.0となった。
 呉服は前年同月の売上高を上回ったが、紳士服、婦人服はともに売上げが振るわず、依然として回復の動きが見られない。衣料品全般では、夏物セールが振るわず、引き続き売上げの減少傾向が続いており、厳しい状況にある。

2.身回品
「日用雑貨は夏期の需要増により売上げ好調」

 売上額は前年比5.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−25.0で変わらず。
 日用雑貨は客足も好調で、お中元や夏休みの需要により、売上げは前年同月を大幅に上回っている。化粧品は、暑い日が続いたため、動きが良かった。眼鏡・貴金属は売上げが安定している。カバン類は消費税率アップの反動等から、購買意欲が停滞しており、売上げの減少傾向が続いている。

3.飲食料品
「スーパーは前年割れの売上げが続く」

 売上額は前年比2.6%の減。3ケ月先の業況見通しDIは−33.3から−47.6となった。
 スーパーは同業者との競合や消費税率アップの反動から、引き続き前年割れの売り上げが続いており、消費の回復傾向は見られず、景況の先行きも依然不透明。酒類は、夏の暑さによりビールの売り上げが伸びているものの、ディスカウント店や大型ショッピングセンター等の影響を受け、全体としては売上げが減少し、依然厳しい状況にある。

4.家電品
「家電品は厳しい状況が続く」

 売上額は前年比28.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは−14.3から14.3となった。
 家電品は消費税率アップの反動、価格破壊等の悪影響により、引き続き前年同月を大幅に下回っている。パソコン、携帯電話等は以前のような勢いがなくなったものの、依然として堅調に推移しているが、大型テレビ、洗濯機等の高額商品の動きは鈍く、さらに厳しい状況が続いている。



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