県内経済動向調査結果(1月)


製造業:木材・木製品は先行きの見えない状態が続く
建設業:公共事業の発注が少なく、今後の工事量にも不安感が強まる
小売業:正月商戦後の購買力の落ち込みから、売り上げ減少   

 県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業216社)



概  況


 県内経済においては、製造業で、主力の電気機械が生産額、受注額の伸び率が引き続き鈍化してきている。木材・木製品においても、大きく業績を落とし先行きの見えない状態となっている。好調な精密機械では、はかり類でヒット商品の売り上げ増が続いている。一方、建設業では、公共事業の発注が少なく、今後の公共事業量に不安感を強めているほか、小売業では、正月商戦後の購買力の低下、販売単価の低下により、引き続き売り上げの減少が続いている。全体としては、企業の景況感に厳しさが増し、県内経済は停滞色が一層強まっている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲28.4から▲57.9、現在の資金繰りは▲22.0から▲24.7、3ヶ月先の業況見通しは▲45.4から▲36.6となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年比3.6減%、同4.2%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲38.0から▲34.5となった。木材・木製品は、業界全体で大きく業績を落としており、先行きが見えない状態が続いてる。電気機械は、情報通信機器の需要が頭打ち傾向にあることから、以前ほどの勢いは見られず、生産額、受注額ともに、前年同月をやや上回る程度となっている。精密機械は、はかり類のヒット商品が好調を維持しているほか、腕時計、光学レンズ類も引き続き安定している。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年比24.3%減、同12.2%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲59.4から▲40.6となった。土木工事、建築工事ともに公共事業の発注が少なく、手持ち工事の消化が中心であり、来年度の工事量について不安感を強めている。
 小売業では、売上額は前年比10.2%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲52.3から▲38.5となった。スーパーは郊外型大型店やコンビニエンスストア等の進出により、売り上げの減少が続いている。家電品は、長野冬季オリンピック効果によるハイビジョンの売り上げも、全体の売り上げ減をカバーするには至らず、引き続き消費の低迷が続いている。全体的には、正月商戦において例年並の売り上げとなったが、商戦後の購買力の低下、販売単価の低下などにより、月トータルでは売り上げが落ち込んでいる
  有効求人倍率は、0.81から0.77となり、8年7月以来1年半ぶりに0.8倍を下回った。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

▼全業種 DI値の推移

製造業の動向

1. 食料品
「酒造は、酒類の消費低迷から前年割れが続く」

 生産額は前年比3.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲41.2から▲23.5となった。
 パン類は、前年並みの生産額を確保し、消費税率アップの影響が落ち着いたと見ており、今後もこの調子で推移する見通し。調味料類は、前年同月を割り込んでいるものの、年末商戦からの好調さを維持している。酒造では、景気低迷から酒類の消費が落ち込んでおり、前年割れが続いている。

2.繊維・衣服
「ジーパンは過剰在庫のため、減産傾向にある」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比3.1%の減、同0.0%。3ヶ月先の業況見通しDIは▲18.8で変わらず。
 ジーパンは、荷動きの悪さと過剰在庫から、減産傾向にある。スポーツ衣料は、一般向けウェアの売り上げがやや落ち込んでいるものの、学校向けが増産期に入り、また、長野オリンピック向けの受注があったため生産、受注ともに安定している。

3.木材・木製品
「業界全体で先行きの見えない状況が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比33.5%の減、同42.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲52.6から▲47.4となった。
 合板は、住宅建築の不振に伴う受注減と、安価な輸入合板の流入による値崩れなどから厳しい状況となっている。一般製材も秋田杉、北洋材ともに、生産額、受注額が前年同月比で4〜5割減と深刻な状況に陥っている。このように、木材業界全体で大きく業績を落としており、先行きが見えない状態が続いている。

4.鉄鋼業
「引き抜き管は自動車向けの生産が大きく落ち込む」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比6.6%の減、同12.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲57.1から▲42.9となった。
 建設機械部品は公共事業の減少と、民間企業の設備投資の伸び悩みから受注を大きく落としている。引き抜き管は、取引の7〜8割を占めている自動車向けの生産が、大きく落ち込んでいることから、生産調整を行うなどして対処している。鋳物は、受注額が減少しており、また、依然スポット的な受注となっている。

5.金属製品
「企業の設備投資増によりオフィスコンピューター型枠は受注大幅増」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比32.7%の減、同4.7%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2から▲33.3となった。
 アルミサッシ、シャッターはともに、木材、鉄鋼業と同様に住宅建築の不振と民間の設備投資の伸び悩みから生産額を大きく落としている。オフィスコンピューター型枠は、設備投資により効率化を図る企業の増加などにより引き続き受注を伸ばしている。針金・鉄線類は、公共関連向けを中心に生産額が大幅に落ち込んでいる。

6.一般機械
「印刷業界の落ち込みから印刷機械の利幅縮小」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比0.2%の減、同9.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲57.1から▲64.3となった。
 産業機械は、ある程度の受注を確保しているが、引き合いが減少傾向にあり、今後は厳しい状況が続く見通し。印刷業界の落ち込みから印刷機械は、小口の受注が多く、利幅も少ない状況にある。木材機械は、木材業界不振のあおりを受け、引き続き受注額が減少している。

7.電気機械
「情報通信関連部品で受注の伸び率が鈍化」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比3.5%の増、同3.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲37.5から▲17.4となった。
 情報通信関連部品では、CD−ROM部品など一部好調なものも見られるが、パソコンや携帯電話の需要が頭打ちにあることから、液晶ディスプレイや通信機器用のアイソレーターを始め、多くの関連部品においては、受注の伸び率が引き続き鈍化しており、生産調整を行っているところも見られる。今後は、DVD(デジタル・ビデオ・ディスク)製品が参入することによる市場の動向が気になる。また、半導体ダイオード等は市場に以前のような活気が見られず、厳しい状況が続いている。セラミックコンデンサでは、国内需要は横這い状態ながら欧米向けを中心に海外向け需要が堅調に推移しており、この傾向はしばらく続く見通しである。

8.輸送機械
「低迷の続く自動車市場は、今後の新卒需要に期待」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比8.0%の減、同7.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは16.7から▲20.0となった。
 パワーステアリングは国内自動車市場の低迷が続いていることから、生産額、受注額を落としており、今後の新卒需要に期待している。4輪、2輪部品は国内需要、輸出ともに伸びがなく、生産額を落としている。トラック架装は、年末年始の受注が大幅に減少したことにより、生産額は前年を大きく下回っている。

9.精密機械
「はかり類はヒット商品が引き続き好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比14.8%の増、同17.9%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲44.4から▲55.6となった。
 はかり類は、ヒット商品が引き続き好調を維持している。腕時計類も国内重視の生産により引き続き安定した状況にある。光学レンズ類では、従来よりも高性能な製品に生産シフトするなど、高い技術力を生かし、引き続き安定した受注を確保している。
 

建設業の動向

「公共事業の発注が少なく、今後の工事量にも不安感強まる」
 受注額、完工高はそれぞれ前年比24.3%の減、同12.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲59.4から▲40.6となった。
 一部では、道路工事などの受注を獲得しているところが見られるが、全体的には、土木工事、建築工事ともに公共事業の発注は少なく、手持ち工事の消化が中心である。一般住宅の新規着工の低迷や公共事業費削減により、来年度の工事量については不安感が強まっている。

小売業の動向

1.衣料品
「紳士服、婦人服ともに前年同月の売り上げを下回る」

 売上額は前年比10.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲50.0から▲55.6となった。
 紳士服、婦人服ともに、売り上げがここ数ヶ月でやや改善されてきているものの、前年同月水準を確保するには至らず、消費税率アップ後の消費の低迷が続いている。呉服は、展示会、訪問販売ともに客の反応が鈍く、売り上げの減少が続いている。

2.身回品
「カバンは売り上げの低迷が続く」

 売上額は前年比12.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲50.0で変わらず。
 日用雑貨は、正月以降に見られる極端な客足の減少も見られず、今後も新入学・転勤のシーズンでの売り上げ増を期待している。玩具は、正月の需要期にあって、利幅の大きい玩具やブームとなっているキャラクター商品等が売れており、売り上げは前年同月をやや上回っている。カバンは、昨年4月に落ち込んだ消費が回復しておらず、この先も消費マインドの冷え込みは続く見通し。

3.飲食料品
「既存の酒店は、ディスカウントストアの進出により厳しさを増している」

 売上額は前年比4.5%の減。3ケ月先の業況見通しDIは▲52.4から▲38.1となった。
 スーパーは、消費者の節約意識から、高価なものほど売れない状況となっており、また、競合店の進出や郊外への大型店の進出により、前年割れの売り上げが続いている。酒類は、ディスカウントストアの進出により価格競争が激しくなってきており、既存の酒店を取り巻く環境はさらに厳しさを増している。

4.家電品
「正月商戦後の落ち込みにより売り上げ減少」

 売上額は前年比35.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲57.1から▲7.1となった。
 家電品は、長野冬季オリンピックを前にハイビジョンテレビの売り上げがややあったものの、パソコンや大型テレビなどの高額商品を中心に不振が続いている。全体としては、正月商戦において、例年並の売り上げが見られたものの、商戦後の購買力の低下、販売単価の低下から月トータルとしては売り上げが落ち込んでいる。



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