県内経済動向調査結果(2月)


製造業:金属製品は住宅建築不振と企業の設備投資の低迷から低調に推移
建設業:建築工事で公共事業の受注低迷が続く
小売業:入進学、就職者向けの生活家電の動きが鈍く、売り上げ減少   

 県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業215社)



概  況


 県内経済においては、製造業で、主力の電気機械は、セラミックコンデンサ、CD−ROM部品などの一部の製品が好調を維持している。金属製品では、シャッター、アルミサッシが住宅建築の不振と企業の設備投資低迷の影響から低調に推移している。また、建設業においても、建築工事で、住宅需要の落ち込みが続き、公共事業の受注も依然低迷しているほか、小売業では、入進学、就職者向けの生活家電の動きは鈍く、引き続き売り上げは減少している。全体としては、企業の景況感に厳しさが増し、県内経済は停滞感が強まっている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲57.9から▲48.8、現在の資金繰りは▲34.7から▲37.2、3ヶ月先の業況見通しは▲36.6から▲31.6となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年比2.3%減、同3.3%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲34.5から▲40.3となった。木材・木製品は、業界全般で引き続き生産額、受注額の減少幅が拡大している。電気機械は、電気機器全般で受注が減少しているなかで、セラミックコンデンサ、CD−ROM部品など一部の製品がなお好調を維持している。金属製品は、シャッター、アルミサッシが住宅建築の不振と企業の設備投資低迷の影響から低調に推移している。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年比34.7%増、同8.5%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲40.6から0.0となった。土木工事は、道路工事などを中心に受注が増加しているものの、本格的な回復とはなっていない。建築工事は、住宅需要が落ち込みが続き、また、公共事業の受注も依然低迷している。
 小売業では、売上額は前年比4.3%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲38.5から▲31.3となった。落ち込みの続く衣料品では、紳士服でフレッシュマンセール等のキャンペーンを行い売り上げの巻き返しを狙っている。酒類は、既存の酒店がディスカウントストアとの競合により厳しさが増しているなかで、取扱品目を高級化するなどして売り上げを伸ばしているところがある。
 家電品は、入進学、就職者向けの生活家電の動きは鈍く、総じて製品単価が低下し、また、郊外に大型店がオープンし競争が厳しくなったことから売り上げの減少が続いている。
 有効求人倍率は、0.77から0.73となり、2ヶ月連続で0.8倍を割り込んでいる。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

▼全業種 DI値の推移

製造業の動向

1. 食料品
「ハム・ソーセージ類は生産額が落ち込む」

 生産額は前年比4.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲23.5から▲12.5となった。
 ハム・ソーセージ類は小売り段階での売り上げが減少傾向にあり、生産額が落ち込んでいる。酒造では、長引く景気低迷の影響から、酒類の消費が落ち込んでおり、引き続き前年割れの生産が続いている。米菓は年間を通して安定した生産額を上げ、前年並みで推移している。

2.繊維・衣服
「婦人服は小ロット・短サイクル生産等の影響から低迷が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比5.2%の減、同8.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲18.8から▲43.8となった。
 ジーパンは、取引先において過剰在庫を抱えているため、減産傾向にある。スポーツ衣料は、学校向けが引き続き受注、生産ともに好調に推移し、今後においてもスポーツカジュアル製品の受注が見込まれており、先行きの不安感は少ない。紳士物では、Yシャツの生産が順調だが、スラックスの生産は減少している。婦人服では、小ロット・短サイクル生産、工賃の低下等の影響により低迷が続いている。

3.木材・木製品
「木材業界全般で落ち込み幅が拡大」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比38.3%の減、同45.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲47.4から▲63.2となった。
 合板は、住宅建築の不振に伴う受注減と、安価な輸入合板の流入による値崩れなどから厳しい状況となっている。一般製材においても、景気低迷による住宅着工戸数の減少や運転資金確保のため在庫を投げ売ったことによる製材価格の低下など、悪条件が重なったことから、前年同月と比べ生産額・受注額を大きく落としている。全体的には、木材業界全般で生産額、受注額ともに減少幅が拡大しており、一部の企業では雇用調整を行っているところもある。

4.鉄鋼業
「水道管継手は建設業界不振のあおりから業績悪化」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比9.1%の減、同22.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲42.9で変わらず。
 建設機械部品は大幅な落ち込みが続き、減産、雇用調整を行うなどして対処している。水道管継手は建設業不振のあおりを受け徐々に見通しが悪くなってきた。引き抜き管は、取引の7〜8割を占めている自動車向けの生産が、消費低迷の影響を強く受けていることから、自動車向け以外の汎用性の高い製品の開発に力を入れている。鋳物は、好調に推移していた海外重電施設向けの受注が徐々に減少してきており、今後の悪化が予想される。

5.金属製品
「シャッター、アルミサッシは設備投資低迷の影響などから低調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比35.9%の減、同2.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲33.3から▲44.4となった。
 アルミサッシ、シャッターはともに、住宅建築の不振と企業の設備投資の伸び悩みが顕著に出ており、引き続き生産額を大きく落としている。橋りょう・鉄骨は前年実績をクリアできず、また、大口物件が取れないことから厳しい状況が続いている。オフィスコンピューター型枠は、企業の設備投資により受注が伸びているが、やや落ち着いてきた感があり、今後は例年並の動きになる。針金・鉄線類は、先月に引き続き公共関連向けを中心に生産額が大幅に落ち込み、今後についても、公共事業の削減傾向から回復は期待が薄い。

6.一般機械
「自動化・省力化機械は設備投資意欲が弱く低迷している」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比1.8%の減、同19.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲64.3で変わらず。
 産業機械は、引き合いが減少傾向にあることから、収益率の悪いものも受注せざるを得ない状況にあり、厳しい状況が続く見通し。木材機械は木材業界の深刻な不振を受けて、大きく受注が減少している。印刷機械は、小口の受注が多く、利幅も少ない状況にある。スプレーガン類はコスト削減への取り組みが効果を発揮しつつあり、利益的に好転傾向にある。自動化・省力化機械は企業の設備投資意欲が弱く、低迷している。

7.電気機械
「セラミックコンデンサ、CD−ROM部品は好調を維持」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比7.6%の増、同8.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲17.4から▲8.7となった。電気機器全般で受注が減少しているなかで、セラミックコンデンサやCD−ROM部品など一部好調な製品に支えられ、前年比やや増となっている。他方、トランス・コイルなど家電向け部品は一層低迷しているほか、情報関連向け部品も落ち込んでおり、高圧コンデンサ、バリスターも総じて低調である。

8.輸送機械
「パワーステアリングポンプは在庫超過を懸念」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比4.8%の減、同5.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲20.0から▲66.7となった。
 自動車用シートは新規車種の販売が好調であることから、生産額を伸ばしている。パワーステアリングポンプは国内自動車市場の低迷が続いていることによる在庫超過を懸念している。4輪、2輪部品は好調であった輸出向けに伸びがなく、生産額を落としている。

9.精密機械
「はかり類はテレビCMを放映するなどして好調を維持している」

 生産額、受注額はそれぞれ前年比10.9%の増、同10.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲55.6で変わらず。
 はかり類は、テレビCMを放映するなど宣伝に力を入れており、引き続き好調を維持している。光学レンズ類では、従来よりも高性能な製品に生産シフトするなど、高い技術力を生かし、引き続き安定した受注を確保している。プラスチック金型は昨年末に比べ全体的に落ち込みが続き、受注が大幅に悪化している。  

建設業の動向

「建築工事は公共事業の受注が依然低迷している」
 受注額、完工高はそれぞれ前年比34.7%の増、同8.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲40.6から0.0となった。
 土木工事は、道路工事などを中心に受注が増加しているものの、一時的な回復であり、本格的な回復とはなっていない。建築工事は、住宅需要が大きく落ち込みが続き、また、公共事業の受注が依然低迷していることに加え、民間物件では発注価格が低く抑えられているため、採算割れの水準で受注競争が繰り広げられている。特に民需の建築工事を主体とする企業では冬場ということもあり受注がゼロというところも見られ、厳しい状況となっている。

小売業の動向

1.衣料品
「紳士服はキャンペーンで売り上げの巻き返しをねらう」

 売上額は前年比5.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲55.6から▲44.4となった。
 紳士服、婦人服ともに、消費の落ち込みが依然続いている。紳士服はフレッシュマンセール等のキャンペーンで売り上げの巻き返しをねらっている。呉服は、展示会、訪問販売を行ったが客の反応が悪く、前年同月の売り上げを下回っている。

2.身回品
「化粧品は前年同月に比べやや落ち込む」

 売上額は前年比14.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲50.0で変わらず。
 化粧品は前年同月に比べやや落ち込み、今後も春の需要のピークを過ぎた後の業績に不安を感じている。玩具は、人気のキャラクター商品やヨーヨーなどが売れており、売り上げは前年同月並を確保している。売り上げの減少の続いてるカバンは、入進学シーズンの需要に期待している。

3.飲食料品
「既存の酒店は取扱品目を高級化するなどして売り上げを伸ばす」

 売上額は前年比1.1%の増。3ケ月先の業況見通しDIは▲38.1から▲10.0となった。
 スーパーは、新規出店の同業者との競合や消費の冷え込みから前年割れの売り上げが続いている。酒類は、既存の酒店がディスカウントストアとの競合により厳しさが増しているなかで、取扱品目を高級化するなどして売り上げを伸ばしているところがある。

4.家電品
「入進学、就職者向けの生活家電は低調に推移」

 売上額は前年比28.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲7.1から▲28.6となった。
 パソコン、携帯電話は、一時の勢いは見られず、減少傾向が続いている。ハイビジョンはモニター使用によるキャンペーンを行い大きく売り上げを上げた。入進学、就職者向け生活家電の動きも鈍く、総じて製品単価が低下し、また、郊外に大型店がオープンし競争が厳しくなったことから売り上げの減少が続いている。



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