県内経済の動向


県内経済動向調査結果(4月)


製造業:パソコン関連は生産が減少基調
建設業:公共事業量に不足感が見られる
小売業:家電品において消費の冷え込みが顕著

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。
(対象企業219社)

  県内経済は、製造業で、主力の電気機械において、電子回路基盤などで生産額を伸ばし、3月の前年同月比マイナスから再びプラスに転じたものの、輸送機械、木材・木製品など広範な業種が引き続き前年同月比マイナスのため、製造業全体としては引き続き前年同月比マイナスで推移している。  また、建設業においては、引き続き公共事業量に不足感が見られるほか、小売業では、特に家電品において消費の冷え込みが見られる。全体としては、企業の景況感に引き続き厳しさが見られ、県内経済は後退色を濃くしている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲31.6から▲26.0、現在の資金繰りは▲28.8から▲26.5、3ヶ月先の業況見通しは▲29.3から▲19.6となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.0%減、同5.8%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲30.3から▲21.1となった。電気機械は、電子回路基盤などで生産額を伸ばしたが、堅調に推移していたCD−ROM部品にやや陰りが見られるなど、パソコン関連は生産額が減少している。精密機械では、光学レンズにおいて医療機器向けを中心に安定した受注を上げている。木材・木製品は、合板において3〜4割の減産体制で臨んでいるが、在庫調整はなかなか進んでおらず、厳しい状況が続いている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比59.2%増、同15.6%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲3.1から15.6となった。前年度の県の骨格予算の関係で、前年同月比で見た場合に受注額は大幅増となっているが、依然公共事業量に不足感が見られる。
 小売業では、売上額は前年同月比0.6%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲40.6から▲34.4となった。飲食料品は、スーパーで大型店への流客や同業者との競合から前年割れの売り上げが続いている。家電品においても、エアコンにやや動きが見られるものの、個人消費が引き続き低迷していることから、客足の減少、販売単価の低下が続いている。
 有効求人倍率は、0.68倍から0.63倍と大幅に悪化し、昭和62年12月以来のレベルになっている。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

▼全業種 DI値の推移

製造業の動向

1. 食料品
「米菓は新商品が好調」

 生産額は前年同月比5.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲18.8から▲52.9となった。
 酒造は、生産額は前年並みに推移しているが、最盛期と比べると大きく減少している。米菓は、市場ニーズに応えた新商品の好調に支えられ、前年同月をやや上回る生産額を確保している。水産加工品は、個人消費の低迷により、生産額、販売単価ともに低下している。ハム・ソーセージ類は、生産額は前年同月比で大きく減少している。

2.繊維・衣服
「紳士服は、荷動きが鈍ってきている」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.7%の増、同6.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.0から0.0となった。
 スポーツ衣料は、春・夏物の生産が例年より後にずれ込んだため、今月は生産額を大きく伸ばしているが、短納期や時間外操業による人件費の増加など、経営的に厳しい状態になっている。紳士服は、これまで比較的安定した業績を示していたが、市場の低迷により荷動きが鈍っていることから、秋冬物の生産が遅れ、大きく生産額を減少させている。ジーパンは、取引先が過剰在庫をかかえていることから、受注額は減少してきている。

3.木材・木製品
「合板は、在庫調整がなかなか進まず」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比41.8%の減、同41.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲61.1から▲31.6となった。
 合板は、3〜4割の減産体制で臨んでいるが、住宅着工の低迷により在庫調整がなかなか進んでおらず、製品価格も低下傾向にあることから厳しい状況にある。そんな中で唯一、塗装合板の需要が活気を帯びてきている。一般製材においては、北洋材で昨年秋以降の落ち込みの流れは回復せず、相場の下がってきた国内産材との競合から、今後の見通しに関しては不安感が強い。

4.鉄鋼業
「引き抜き管は自動車市場の低迷から生産額が大きく落ち込む」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.4%の減、同23.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲28.6で変わらず。
 建設機械部品は、取引先の物件不足や下請け量の減少により、生産額、受注額ともに大幅に減少している。鋳鋼は、比較的好調に生産を続けてきた海外重電施設向けが、前月に引き続き受注が大幅に減少している。引き抜き管は、生産の7割を占める自動車向けが国内市場の低迷から、生産額は大きく落ち込んでいる。

5.金属製品
「橋梁・鉄骨は、厳しい状況は続く見通し」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比29.9%の減、同22.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2から▲44.4となった。
 シャッターは、前年同月比で大きく減少し、木材、鉄鋼と同様に住宅建築の不振と企業の設備投資低迷の影響が顕著に現れている。橋梁・鉄骨は、端境期で受注が低水準であり、明るい材料もないことから厳しい状況が続く見通し。コンピューター型枠は、一時期の勢いは見られないものの、例年並に推移している。

6.一般機械
「省力化機械は、企業の設備投資意欲が弱いことから低調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.8%の減、同12.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲64.3から▲38.5となった。
 産業機械は、利益率が低く、需要も減少傾向にある中で、受注獲得競争が激化し、今後も厳しい状況が続く見通し。印刷機械は、引き続き小口受注が多く、利幅も少ない状況にあり、業界全体でも不況感が強く、需要の落ち込みが目立っている。省力化機械は企業の設備投資意欲が依然弱いことから生産、受注ともに低調に推移している。

7.電気機械
「ノートパソコンの売れ行きが貢献し、回路基盤は好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.4%の増、同5.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲4.2から7.7となった。
 アルミ電解コンデンサは、海外・国内向けともに好調に推移している。セラミックコンデンサも生産、受注ともに順調に伸びているが、原材料の価格が高騰しており、今後の動向が注目される。情報関連部品は、ノートパソコンの売れ行きが貢献し、回路基盤は好調となっているが、CD−ROM部品で先月までのフル稼働状態にやや陰りが見られたため、パソコン関連全体では生産がやや減少している。また、今夏は気温の上昇とともにエアコンの需要が見込まれるため、家電向け部品は生産増が予想される。

8.輸送機械
「4輪、2輪エンジン部品は国内、輸出ともに低調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.3%の減、同14.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲33.3から0.0となった。
 4輪、2輪エンジン部品は、国内需要、輸出ともに伸びがなく、前年同月比で大きく減少している。自動車用シートは、メーカーからの発注が遅くなってきており、納入単価も低下してきているため厳しい状態となっている。パワーステアリングポンプは、3月の決算需要の反動から在庫調整に入っており、6月頃までは低調に推移する見通し。

9.精密機械
「光学レンズで医療機器向けを中心に安定推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.8%の増、同3.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2で変わらず。
 好調であったはかり類は、生産額の増加傾向が止まり、久しぶりに前年同月比でマイナスに転じている。光学レンズ類では、医療機器向けのレンズや液晶パネル用のプリズムが引き続き安定して推移している。

建設業の動向

「公共事業量に不足感が見られる」
 受注額、完工高はそれぞれ前年同月比59.2%の増、同15.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲3.1から15.6となった。  民需が期待薄であるため、官公需に期待を寄せているが、官公需に関しては、4月すぐにまとまった受注が期待できるわけではなく、6月以降の公共事業前倒し発注に期待を寄せている。前年の同時期は、県の骨格予算の関係で公共事業が少なかったため、前年同月比で見た場合、受注額は大きく伸びているが、事業量は依然不足感が見られる。

小売業の動向

1.衣料品
「呉服で消費低迷の影響が顕著」

 売上額は前年同月比14.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲61.1から▲64.7となった。
 紳士服は、消費の低迷が依然続いていることから、他の量販店とイメージの差別化を図った販売戦略にポイントを置き、在庫調整を図っている。呉服は、消費低迷の影響が、高額商品である呉服で顕著に現れており、前年同月に比べて減少している。衣料品大型店では、消費税率アップによる駆け込み需要の反動により落ち込んだ昨年の4月と比べると、売り上げは増加しているものの、依然低調に推移している。

2.身回品
「カバンは売り上げの落ち込みが続く」

 売上額は前年同月比1.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲66.7から▲50.0となった。
 日用雑貨は、春物商品が順調な動きを示しており、前年並みを維持している。玩具は、ヒット商品が無く、前年同月の売り上げを下回っている。カバンは、昨年から落ち込んだ消費が回復しておらず、厳しい状況が続いている。

3.飲食料品
「酒類はニーズにあった販売戦略を展開」

 売上額は前年同月比2.3%減。3ケ月先の業況見通しDIは▲5.0から▲14.3となった。  スーパーは、新規開店した大型店への流客や、同業者との競合等の理由により前年割れの売り上げが続いている。酒類は、健康ブームの赤ワインや、酒税法改正により安くなったウィスキーの販売スペースを広くするなどして、ニーズにあった販売戦略を展開したが、大きな効果は見られなかった。

4.家電品
「家電品は客足の減少、販売単価の低下が続く」

 売上額は前年同月比20.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲42.9から▲14.3となった。  家電品は、個人消費が引き続き低迷していることから、客足の減少、販売単価の低下が続いている。ダイレクトメールや展示会などを行い売り上げの拡大に努めているものの、効果は小さい。大型耐久財の中では唯一、エアコンの売り上げが比較的好調となっており、夏場にかけての売り上げ増に期待を寄せている。

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