県内経済動向調査結果(6月)


製造業:

電気機械で大型液晶ディスプレイやノートパソコン用部品が好調

建設業:

「総合経済対策」による公共事業の早期発注に期待

小売業:

衣料品は消費の冷え込みに加え、天候不順により夏物の出足が鈍い

 

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。
(対象企業219社)

 県内経済は、製造業では、主力の電気機械において、大型液晶ディスプレイやノートパソコン用部品が好調なものの、CD−ROM部品は、4月頃から陰りが見え始め、生産額は前年同月比微増にとどまっており、木材・木製品や一般機械のマイナスが大きいため、製造業全体としては10年1月以降前年同月比マイナスで推移している。建設業においては、徐々に公共事業が出てきているが、多くの事業者は今後の「総合経済対策」による公共事業の早期発注にさらに、期待を寄せている。また、小売業では、衣料品は消費の冷え込みに加え、天候不順により夏物の出足が鈍かったことから、今後、気温上昇による売上増に期待している。全体としては、企業の景況感は厳しさを増しており、県内経済は引き続き後退している。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲26.9から▲20.3、現在の資金繰りは▲26.0から▲27.2、3ヶ月先の業況見通しは▲18.7から▲11.5となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.8%減、同6.4%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.2から▲14.8となった。木材・木製品で雇用調整を行っているところが多く出てくるなど、厳しい状況が続いている。電気機械では、大型液晶ディスプレイやノートパソコン用部品が好調で、生産額、受注額ともに前年同月比で大幅増となっている。しかし、成熟期に達したとされるCD−ROM部品は、4月頃から陰りが見え始めている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比1.1%減、同17.3%減。3ヶ月先の業況見通しDIは15.6から9.4となった。徐々に公共事業が出てきているが、量的に十分ではなく、多くの事業者は今後の「総合経済対策」による本格的な公共事業の早期発注に期待を寄せている。
 小売業では、売上額は前年同月比5.5%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲23.4から▲15.9となった。衣料品は消費の冷え込みに加え、天候不順により夏物の出足が鈍かったことから、今後、気温上昇による売上増に期待している。飲食料品は、酒類で日本酒が低迷し、ワイン、ウィスキーが順調に売上を伸ばしている。
 有効求人倍率は、0.64倍から0.58倍と前月より0.06ポイント下回り、昭和62年11月以来11年ぶりの低水準となっている。

 

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

▼全業種 DI値の推移

製造業の動向

1. 食料品
「酒造で業界を取り巻く環境に厳しさが見られる」

 生産額は前年同月比1.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲17.6から▲23.5となった。
 米菓は、贈呈品の需要が依然低迷している中で、新商品の売れ行きが好調となっている。酒造は、ウィスキーの税率引き下げやワインブーム、夏場のビールの需要増など、業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、先行きの不透明感を一層強めている。ハム・ソーセージ類は、小売り段階での売上が低迷しており、お中元用の需要への影響が懸念される。

  2.繊維・衣服
「ジーパンは在庫調整が依然進まず」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.6%の増、同1.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲6.3から▲31.3となった。
 ジーパンは取引先メーカーの在庫調整が進まず依然厳しい状態にある。紳士服関連は、Yシャツの生産は堅調であるが、スラックス部門が不振であり、生産縮小を余儀なくされている。業界全体では、前年同月実績額が消費税率アップ前の駆け込み需要の反動により低迷していたことやメーカーによる発注量の波により、前年同月実績額を大きく上回っている。

  3.木材・木製品
「生産減少が続き雇用調整を行うところが見られる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比34.0%の減、同33.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは10.5から5.3となった。
 一時的に回復の兆しが見られた合板は、需給改善が進まないため再び減産体制に戻っている。また、北洋材、秋田杉等の一般製材は、全国的な住宅着工の不振から依然底這い状態が続いている。そのため、助成金制度の利用等による雇用調整を行っている事業所も増加している。

  4.鉄鋼業
「引き抜き管は主力の輸送用機械向けの生産が低迷」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比19.5%の減、同14.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲28.6から▲14.3となった。
 建設機械部品は、取引先の物件不足や下請け量の減少等により、生産額、受注額ともに大幅に減少していたが、新分野への取り組みが受注に結びつき、一時期より回復している。
 引き抜き管は、主力の輸送用機械向けの生産が低迷しているため、前年同月の生産額、受注額を下回っている。

  5 金属製品
「橋梁・鉄骨で今後の公共事業の発注状況を懸念」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.4%の増、同1.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲55.6から▲22.2となった。
 一時的に好調であったオフコン用型枠の受注は、例年並の動きになっている。シャッターは、一般住宅建築や民間設備投資の伸び悩みがストレートに反映され、生産額は前年同月をやや下回っている。橋梁・鉄骨は、大口物件の確保により前年同月を上回っているが、生産額の多くを占める公共物件にやや不足感が見られるため、今後の公共事業の発注動向を懸念している。

  6 一般機械
「省力化機械等で設備投資意欲減退の影響大」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比22.6%の減、同31.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲61.5から▲25.0となった。
 金型、省力化機械、印刷機械は、企業の設備投資意欲の減退により、生産額、受注額ともに前年同月比で大幅に減少している。大型機械や鉄道用機器を扱う企業では、上下水道処理用機械や鉄道保安用機器で生産額を伸ばしているが、公共事業の受注が減少していることから状況は悪化してきている。

7 電気機械
「大型液晶ディスプレイが好調」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.4%の増、同0.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲30.8から3.8となった。
 情報・通信関連部品は、液晶ディスプレイで主力の大型モニターが好調なため、前年同月を大幅に上回っているほか、パソコン回路基盤においても、主力のノートパソコン用部品が引き続き好調で、生産・受注ともに前年同月比で大幅増となっている。しかし、成熟期に達したとされるCD−ROM部品は、4月頃から見え始めた陰りが続いている。家電関連部品は、高電圧コンデンサ、バリスターが、海外での需要増を反映して、引き続きフル稼働状態となっている。このように、マルチメディア時代の核となる分野は好調であるが、成熟期に達しつつある分野は生産が減少傾向にある。

  8 輸送機械
「市場の低迷が依然強く、モデルチェンジ等による生産拡大は期待薄」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.3%の減、同9.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲57.1から0.0となった。
 自動車用シートは、今後、在庫調整が予定されているため、先行きは不透明である。モデルチェンジや新規車種立ち上げによるパワーステアリングポンプの生産拡大は、国内市場の低迷が予想以上に強いことから、期待できない。また、秋に予定されている軽自動車の規格変更による需要増に期待しているが、一台あたりの利益率は低いことから、業界の回復の契機にはならないと見ている。

9 精密機械
「はかり類のヒット商品が引き続き好調」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.8%の増、同5.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2から▲55.6となった。
 はかり類は、ヒット商品が引き続き好調を維持しており、特に輸出関連の受注により、ここ数ヶ月は好調が続く見込み。腕時計類は、円安による輸出効果は大きくなっているが、商品の単価が大きく切り下げられたため、生産量は増えているものの、生産額は微増にとどまっている。光学レンズ類では、受注を安定して確保しているが、不況の長期化による今後の需要の落ち込みが懸念される。

 

建設業の動向

「本格的な公共事業の早期発注に期待」
 受注額、完工高は前年同月比1.1%の減、同17.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは15.6から9.4となった。
 住宅業界では平成9年4月からの下落傾向は止まる気配は感じられず、沈滞感は一層強まっている。徐々に公共事業も出てきているが、量的には十分なものではないことから、多くの事業者は「総合経済対策」による本格的な公共事業の早期発注に期待を寄せている。

 

小売業の動向

1.衣料品
「紳士服・婦人服ともに売上の減少が続いている」
 売上額は前年同月比11.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲58.8から▲31.3となった。
 紳士服では、新しい企画を盛り込んだセールを展開し、消費意欲の掘り起こしを行っているが売上増には結びついておらず、紳士服・婦人服ともに対前年同月比で売上の減少が続いている。全体的に、夏物の出足が鈍く、今後、気温上昇による売上増に期待している。

  2 身回品
「眼鏡・貴金属は回復傾向が見られる」
 売上額は前年同月比12.5の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲41.7から▲50.0となった。
 日用雑貨は、季節商品の売り上げが順調で好調を維持している。カバンは、消費の冷え込みと他店との競合により伸び悩んでいる。眼鏡・貴金属は、ここ数ヶ月の売上増が続き、回復傾向が見られるが、客数不足の問題は解消されていない。

  3 飲食料品
「酒類はワイン、ウィスキーが順調」
 売上額は前年同月比0.0。3ケ月先の業況見通しDIは9.5から4.8となった。
 スーパーは、生鮮食料品を中心に売上が伸びてきている。しかし、近隣への大型店の新規開業や同業者との競争の激化といった不安要素が依然として残っている。酒類は、飲食店向けの日本酒の売上は良くないものの、一般家庭向けの洋酒(ワイン、ウィスキー)で売上が伸びてきている。

  4 家電品
「客数、客単価の低下が続く」
 売上額は前年同月比29.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲14.3から0.0となった。
 家電品は、AV関連製品の売上が減少しており、また、6月期は、天候不順が続いたためエアコンの売り上げも伸び悩んでいる。全体的に、客数、客単価の低下が続いているため、ダイレクトメールや展示会を行い売上の低下防止に努めているが、依然購買力は弱く、回復の兆しは見えてない。会を行い売上の低下防止に努めているが、依然購買力は弱く、回復兆しは見えてない。

 

 

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