県内経済の動向


県内経済動向調査結果(7月)


製造業:電気機械の一部を除き低迷が続く
建設業:公共事業は依然不足感が強く、早期発注に期待
小売業:衣料品は天候不順により夏物の出足が鈍く、売上減少

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。
(対象企業217社)

 県内経済は、製造業では、主力の電気機械において、ノートパソコンやデジタルカメラなどの一部製品を除き低迷しており、木材・木製品を中心に、その他の全業種で前年実績を下回っている。
 建設業においては、公共事業の発注が徐々に出てきているが、まだまだ不足感が強く、受注・完工高ともに減少しており、公共事業の早期発注に期待を寄せている。また、小売業では、衣料品で消費マインドの低迷に加え、天候不順の影響で夏物の出足が鈍く、売上の減少が続いている。全体としては、企業の景況感は依然厳しく、県内経済は引き続き後退している。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲20.3から▲5.1、現在の資金繰りは▲27.2から▲21.3、3ヶ月先の業況見通しは▲11.5から▲23.1となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比8.8%減、同12.5減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲14.8から▲20.0となった。電気機械では、ノートパソコンやデジタルカメラ用の回路基盤が好調で、また、大型液晶ディスプレイが市場で高い評価を得ており、同様に好調に推移している。しかし木材・木製品で合板で需要の低迷に加え、海外産との競合が見られるなど、その他の業種では引き続き低調に推移している。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比21.3%減、同24.3%減。3ヶ月先の業況見通しDIは9.4から▲3.1となった。土木・建築業ともに、公共事業の発注が徐々に出てきているが、まだまだ不足感が強く、受注・完工高ともに減少しており、多くの事業者は公共事業の早期発注に期待を寄せている。
 小売業では、売上額は前年同月比2.8%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲15.9から▲39.1となった。衣料品は紳士服・婦人服ともに中旬以降の天候不順の影響で、夏物の出足が鈍く、消費マインドも低いことから、売上の減少が依然続いている。家電品は、客数、客単価の低下が依然続いている。
 有効求人倍率は、求職者数が増加傾向にある中、求人数は伸び悩んでいるため、0.58倍から0.53倍と前月より0.05ポイント下回り、昭和62年8月(0.49倍)以来の低水準となっている。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

▼全業種 DI値の推移

製造業の動向

1. 食料品
「日本酒離れの傾向が続き、酒造は苦戦」

 生産額は前年同月比1.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲23.5から▲11.8となった。
 米菓は、新商品の売れ行きが好調で、本格的な増産体制に入っている。酒造は、ワインなど低アルコール指向により、日本酒離れの傾向が続き、業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、先行きの不透明感を一層強めている。ハム・ソーセージ類は、お中元用の需要が昨年より良かったものの、全体的には依然小売り段階での売上が伸び悩んでおり、厳しい状況が続いている。

2.繊維・衣服
「婦人服は夏物が天候不順の影響を受ける」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比13.6%の減、同14.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲31.3から▲40.0となった。
 スポーツウェアは競合が厳しく、受注確保が難しくなってきていることに加え、製品単価も低下傾向にあり、厳しい状況が続く見通し。紳士服関連は、不振が続くスラックス部門が生産縮小を行ったことから、生産額は前年同月比を下回っている。婦人服では、天候不順により夏物の需要が落ち込んだことから、生産額は前年同月比で減少している。

3.木材・木製品
「合板は需要の低迷に加え、海外産との競合が見られる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比36.4%の減、同51.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは5.3で変わらず。
 合板は、依然需要の低迷が続いていることに加え、競合性の高いインドネシア産の合板が増加傾向にあり、また、コスト面では円安傾向による輸入単価の上昇から採算割れを覚悟した生産・販売を余儀なくされており、厳しさを増している。同様に北欧材、秋田杉等の一般製材においても厳しさが続いている。
 全体的には、倒産する企業も見受けら、助成金制度の利用等により雇用調整を行っている企業がこの業界で特に増加してきている。

4.鉄鋼業
「鋳物は取引先の影響から受注が減少」

 産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.3%の減、同14.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲14.3から0.0となった。
 水道管継手は、公共事業絡みの受注が多少出てきているが、本格的な回復にはなっていない。鋳物は、取引先の影響を受け、引き続き受注が減少している。引き抜き管は、主力の輸送用機械向けの生産が低迷しているため、前年同月の生産額、受注額を下回っている。
 この業界においても、木材・木製品業界と同様に雇用調整を行うところが見受けられるようになってきている。

5.金属製品
「シャッターは設備投資の伸び悩みの影響がストレートに表れる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比21.8%の減、同14.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2から▲11.1となった。
 アルミサッシは、例年繁忙期にさしかかる時期であったが、今年に限っては全く受注がなく先行きの不安感を強めている。シャッターは、一般住宅建築や民間設備投資の伸び悩みがストレートに反映され、生産額は前年同月をやや下回っている。橋梁・鉄骨は、大口が期待される公共物件が少なく、今後の公共事業の発注いかんでは大幅な前年実績割れを懸念している。

6.一般機械
「印刷機械で業界全体での不況感が強い」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比27.7%の減、同36.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.0から▲41.7となった。
 金型、省力化機械は、年度始めの大口受注の影響により、生産の減少傾向が続いている。印刷機械は、業界全体で不況感が強く、需要の落ち込みが目立っている。上下水道処理用機械や鉄道保安用機器は前年並みであるが、一般産業機械では、弱電設備投資関係(チップマウンター)や編み機等で受注が減少し、先行きに対する不安感が強い。

7.電気機械
「ノートパソコン等回路基盤が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.8%の減、同2.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは3.8から▲12.0となった。
 情報・通信関連部品は、成長分野であるノートパソコンやデジタルカメラなど回路基盤が好調で、大幅に生産を伸ばしており、当面は順調に推移する見通し。また、液晶ディスプレイは省電力・省スペースをうたった大型モニターが市場で高い評価を得ており、同様に好調に推移している。しかし、成熟期に達したとされるCD−ROM部品は、海外との競合もあり生産が減少傾向にある。家電関連部品は、バリスターで、海外向けが落ち込んだ影響で生産は減少している。

8.輸送機械
「業界全体で低迷が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比13.3%の減、同13.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から▲57.1となった。
 自動車用シートは、一部好調な車種もあるが、全体的には取引先各社ともに減産傾向にあり、今後の落ち込みが懸念される。パワーステアリングポンプは、引き続き業績の低迷が見込まれている。4輪・2輪部品は、国内、海外ともに伸びがなく、生産額は前年同月比で大幅に減少している。

9.精密機械
「光学レンズはコンピューター、デジカメ用が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.9%の減、同6.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲55.6から▲44.4となった。
 はかり類は、ヒット商品が引き続き好調を維持しており、欧米への輸出によりしばらくは好調が続く見込み。腕時計類は、生産量は増えてるものの、部品の契約単価が切り下げられたため、生産額は微増にとどまっている。また、最近の円安傾向による輸出効果は大きくなっている。光学レンズ類では、ビデオ向けの生産が落ち込んでいるが、コンピューターやデジタルカメラ用のレンズが好調で引き続き安定した受注を確保している。

建設業の動向

「本格的な公共事業の早期発注に期待」
 受注額、完工高は前年同月比21.3%の減、同24.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは9.4から▲3.1となった。
 土木・建設業ともに、経済対策を受けて公共事業の発注が徐々に出てきているが、まだまだ不足感が強く、高速道路などの大口物件のあった昨年度と比較して、受注・完工高ともに減少しており、多くの事業者は公共事業の早期発注に期待を寄せている。

小売業の動向

1.衣料品
「紳士服・婦人服ともに天候不順の影響を強く受ける」

 売上額は前年同月比8.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲31.3から▲35.3となった。
 紳士服・婦人服ともに天候不順の影響で夏物の出足が鈍いことや、減税による効果が薄いことなど好材料がなく、消費の低迷が依然続いている。新しい企画を盛り込んだセールを展開し、消費意欲の掘り起こしを行っているが売上増には結びついておらず、消費意欲の落ち込みは予想以上に厳しく先行きに対する不安は増大している。

2.身回品
「日用雑貨は客足が順調で好調維持」

 売上額は前年同月比8.4の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲50.0から▲66.7となった。
 日用雑貨は、客足が順調で売り上げは好調を維持している。玩具は来客数は順調であるが単価が低いため、ヒット商品のあった昨年の売上を下回っている。カバンは、消費の冷え込みと他店との競合により伸び悩んでいる。

3.飲食料品
「スーパーで生鮮食料品が好調」

 売上額は前年同月比1.5%増。3ケ月先の業況見通しDIは4.8から▲28.6となった。
 スーパーは、引き続き生鮮食料品を中心に売上が増加し、売上は前年同月比を上回っている。しかし、近隣への大型店の新規開業や同業者との競争の激化といった不安要素が依然として残っている。酒類は、飲食店向けのほかお中元用の需要が減少しており、売上は減少している。

4.家電品
「客足、客単価の減少が続く」

 売上額は前年同月比19.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から▲35.7となった。
 7月上旬に暑い日が続き、エアコンにやや動きが見られたが、中旬以降は天候不順の影響から売上は前年同月を下回っている。テレビ等AV関連は、依然低迷が続いている。全体的には、客数、客単価の低下が依然続いているため、ダイレクトメールや展示会を行い売上の低下防止に努めているが、売上の回復には至っていない。

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