県内経済の動向


県内経済動向調査結果(8月)


製造業:木材・木製品は減産体制が続く
建設業:公共事業は依然事業量が不足している
小売業:衣料品でセールの効果が見られず

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。
(対象企業218社)

 県内経済は、製造業では、大型液晶ディスプレイが好調な主力の電気機械や精密機械で前年実績をやや上回っているものの、厳しさが続く木材・木製品、一般機械を中心に、その他の多くの業種で前年実績を下回っているため、製造業全体では引き続き前年実績を下回っている。建設業においては、公共事業が徐々に出てきているが、地域間に格差が見られ、また、量的にもまだまだ不足している。小売業では、消費マインドの低迷に加え、天候不順の影響により、衣料品でセールの効果が表れず、家電もエアコンが低調で売上の減少が続いている。全体としては、企業の景況感は依然厳しく、県内経済は回復の兆しは見られず、後退している。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲5.1から▲19.1、現在の資金繰りは▲21.3から▲24.2、3ヶ月先の業況見通しは▲23.1から▲24.7となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.6%減、同2.8減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲20.0から▲20.8となった。電気機械では、回路基盤がノートパソコンを中心に好調で、また、大型液晶ディスプレイが市場で高い評価を得ており、生産額を伸ばしている。しかし木材・木製品は合板で減産体制が続いているほか、一般機械で設備投資削減による影響が強く見られるなど、製造業の多くの業種で前年同月実績を下回っており、引き続き低調に推移している。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比31.2%減、同28.1%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲3.1から▲12.9となった。土木工事では、公共事業が徐々に出てきているが、地域間により格差が見られ、また、量的にもまだまだ不足しており、全体とては受注額は前年同月を大幅に下回っている。また、建築工事においても、住宅着工が依然冷え込んでおり、低迷している。
 小売業では、売上額は前年同月比3.2%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲39.1から▲37.5となった。衣料品は紳士服・婦人服ともにセールの効果が表れず、家電品も、天候不順の影響でエアコンの売上が伸びず、売上の減少が続いている。
 有効求人倍率は、0.53倍と先月と変わらず、昭和62年8月(0.49倍)以来の低水準で推移し、雇用情勢は依然厳しい状況が続いている。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

▼全業種 DI値の推移

製造業の動向

1. 食料品
「ハム・ソーセージ類は天候不順の影響で生産減少」

 生産額は前年同月比2.5%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲11.8から5.9となった。
 米菓は、新商品の売れ行きが引き続き好調で、生産を拡大させている。酒造は、8月の天候不順の影響で、秋口需要の前倒し需要が見られ、前年同月の生産額を上回っているが、本格的な回復にはなっておらず、今後の動向が注目される。ハム・ソーセージ類は、天候不順の影響からキャンプ等の需要が落ち込み、生産額は減少している。

2.繊維・衣服
「紳士服・婦人服ともに引き続き厳しい状況」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.8%の減、同16.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲40.0から▲13.3となった。
 紳士服関連は、Yシャツが順調に推移しているが、低迷しているスラックスは、生産体制を縮小させている。婦人服でも同様に生産が減少しており、製造単価の高い秋・冬物に期待している。スポーツウェアは国体関連で大きく受注を伸ばしているところがあるが、全体的には受注量は少なく、製品単価も低下傾向にあり、厳しい状況が続く見通し。

3.木材・木製品
「合板は減産体制が続いている」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比30.0%の減、同23.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは5.3から▲52.8となった。
 合板は、競合しているインドネシア製品の供給が不安定であることから、コンクリートパネルを中心にやや受注が見られたが、本格的な回復によるものではないことから、減産体制が続いている。一般製材では、秋田杉が、首都圏向けを中心に需要が低迷し、一層深刻の度合いを増している。全体的には、住宅着工が依然低迷していることから、倒産する企業も見受けられ、助成金制度の利用等により雇用調整を行っている企業が、この業界で特に増加してきている。

4.鉄鋼業
「引き抜き管は輸送用機械向け低迷の影響を受ける」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.8%の減、同1.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0で変わらず。
 水道管継手は、公共事業絡みの受注が多少出てきているが、今後の見通しは不透明。鋳物は、海外向けがアジア経済の低迷、通貨不安により引き続き受注が減少している。引き抜き管は、主力の輸送用機械向けの生産が低迷しているため、大きく業績が落ち込んでいる

5.金属製品
「アルミサッシで都市部のビル建設低迷の影響を受ける」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比33.6%の減、同6.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲11.1から▲22.2となった。
 アルミサッシは、生産の主要を占める都市部のビル建設低迷の影響により、業績が大きく落ち込んでいる。シャッターは、一般住宅建築や民間設備投資の低迷の影響が色濃く、生産額は前年同月を大幅に下回っている。橋梁・鉄骨は、大口公共物件が多少入ってきているが、今後については、不透明感がある。

6.一般機械
「弱電省力機械は、設備投資削減の影響から業績を落とす」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比33.5%の減、同24.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲41.7から▲33.3となった。
 木材機械は、木材業界低迷の影響から、引き続き減産体制となっている。弱電省力機械関連は、企業の設備投資削減の影響を受け、業績を大きく落としている。一般産業機械は引き合いが減少しており、受注の確保が難しくなってきている。

7.電気機械
「大型液晶ディスプレイは好調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.1%の増、同4.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲12.0から▲11.5となった。
 情報・通信関連部品は、回路基盤がノートパソコンやデジタルカメラを中心に好調で、大幅に生産を伸ばしており、当面は順調に推移する見通し。また、液晶ディスプレイは省電力・省スペースをうたった大型モニターが市場で高い評価を得ており、同様に引き続き好調に推移している。コンデンサは、携帯電話、DVD関連部品を中心に順調であるが、パソコン、エアコン不振の影響からダイオード、IC等半導体関連の低迷が目立ってきている。

8.輸送機械
「自動車用シートは海外向けが引き続き好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.2%の減、同10.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲57.1から▲14.3となった。
 自動車用シートは、海外向けの単価の高い革のシートが好調で、国内向けの低迷を補い、生産額は前年同月比で大幅な伸びとなっている。パワーステアリングポンプは、生産額が前年同月比で大きく落ち込んでいる。二輪用ブレーキディスク関連は、250CC以上のバイクの売れ行きが好調で、順調に推移している。

9.精密機械
「はかり類は輸出向けを中心に好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.3%の増、同1.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲44.4で変わらず。
 はかり類は、欧米へのヒット商品の輸出が好調なことから引き続き好調を維持している。腕時計類は、生産額が落ち込んでいるほか、円安傾向にも変化が見られ、輸出によるメリットも少なくなってきている。光学レンズ類では、コンピューターやデジタルカメラ用のレンズの生産が落ち込んできており、今後に対する不安が増大している。

建設業の動向

「公共事業は依然不足している」
 受注額、完工高は前年同月比31.2%の減、同28.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲3.1から▲12.9となった。
 土木工事は地域別に見ると、県北地域では公共事業が徐々に出てきているが、県南地域ではまだまだ不足しており、受注額は前年同月を大幅に下回っている。県全体としては前年同月比で3割減となっており、まだまだ、不足している。建築工事は、住宅着工が依然冷え込んでおり、低迷している。

小売業の動向

1.衣料品
「紳士服・婦人服ともにセールの効果が表れず」

 売上額は前年同月比10.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲35.3から▲29.4となった。
 紳士服は金券を使ったセールで、消費意欲の掘り起こしを懸命に行っているが、売上は増加しておらず、婦人服も天候不順の影響で夏物セールが不調で売上は大幅減となっている。商品単価の高い呉服は、消費低迷の影響を強く受け、売上は減少している。

2.身回品
「カバンは売上減少が続く」

 売上額は前年同月比9.3の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲66.7から▲58.3となった。
 カバンは、消費の冷え込みと他店との競合により、売上は引き続き伸び悩んでいる。日用雑貨は、お盆の帰省や日本ジャンボリー関連の影響で入客数が増えたため、売上は順調である。夏物化粧品は天候不順により、やや不振となっている。

3.飲食料品
「酒類はワイン、発泡酒が好調」

 売上額は前年同月比0.8%増。3ケ月先の業況見通しDIは▲28.6から▲52.4となった。
 スーパーは、引き続き生鮮食料品を中心に好調で、売上は前年同月比を上回っている。しかし、近隣への大型店の新規開業や同業者との競争の激化といった不安要素が依然として残っている。酒類では、ワイン、発泡酒は前年より売上が増加しているが、ビールは飲食店向けを中心に売上が減少している。また酒類は贈答向けで消費低迷の影響が色濃く出ている。

4.家電品
「天候不順の影響からエアコンは売上減少」

 売上額は前年同月比23.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲35.7から▲7.1となった。
 8月は天候不順の影響から、エアコンは低調に推移している。低迷していた主力の白物は、遠心力型洗濯機に動きが見られる。全体的には、客数、客単価の低下が依然続いているが、台風に備えたアンテナの買い換えや補修工事に力を入れるなど、こまめな対応で売上減少の防止に努めている。

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