県内経済の動向


県内経済動向調査結果(11月)


製造業:製造業全体で生産額は11ヶ月ぶりに前年同月比プラスに転じる
建設業:大口の公共事業が減少し、受注額は前年同月比マイナスに転じる
小売業:家電はヒット商品もなく売り上げの低迷が続く

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。
(対象企業215社)

 県内経済は、製造業では、主力の電気機械や精密機械の一部が好調で、製造業全体で11ヶ月ぶりに生産額が前年同月比でプラスに転じているが、一般機械で企業の設備投資削減の影響を強く受けるなど、その他多くの業種で生産額の減少が続いている。建設業では、大口の公共事業が減少し、受注額は一転して前年同月比でマイナスに転じている。小売業では、家電品で暖房機器に動きが見られたものの、家電業界全体的にヒット商品もなく、買い控えの傾向も依然強く見られる。全体としては、企業の景況感は依然厳しく、県内経済は低い水準で推移している。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲29.6から▲23.2、現在の資金繰りは▲23.0から▲20.4、3ヶ月先の業況見通しは▲41.3から▲34.6となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.1%増、同3.3増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲38.3から▲25.2となった。主力の電気機械で、大型液晶ディスプレイや電子回路基盤などの一部の製品が生産額を大幅に伸ばしていることから、製造業全体の生産額は前年同月比で9年12月以来11ヶ月ぶりにプラスに転じている。しかし、一般機械で、企業の設備投資削減の影響から生産額は前年同月比で引き続き減少しているなど、その他多くの業種では依然厳しい状況が続いている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比33.7%減、同27.0%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲35.5から▲29.0となった。建設業は、道路工事や建築工事など大口公共事業の受注が減少傾向にあることから、受注額は一転してマイナスに転じている。今後についても、多くの企業で来年度以降の公共事業量の減少が懸念されている。
 小売業では、売上額は前年同月比4.5%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲50.0から▲55.7となった。飲食料品で、生鮮食料品を中心に売上が伸びているが、衣料品では総じて売り上げの減少が続いている。また、家電品では暖房機器に動きが見られたものの、ヒット商品もなく、買い控えの傾向も依然強く見られる。そのため、小売業全体では売り上げの減少が続いている。
 有効求人倍率は、0.51倍から0.48倍と0.03ポイント減少し、求人の減少が続くなど、雇用情勢は一段と厳しさが増している。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

▼全業種 DI値の推移

製造業の動向

1. 食料品
「贈答用向け商品は総じて伸び悩む」

 生産額は前年同月比11.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲37.5から▲43.8となった。
 米菓は、贈答用を中心に依然として低迷している中で、ヒット商品が引き続き好調に推移し、全体の生産額の減少をカバーしている。
 酒造は、例年より早く製品の出荷を行うなど不振打開に努めてるが、生産の減少が続いている。また、米菓同様に贈答用の伸び悩みが懸念されており、先行きは厳しい。ハム・ソーセージ類は、生産量、製品単価ともに落ち込み、流通コスト、人件費などコスト削減を行っている。

2.繊維・衣服
「紳士服で厳しさが一層強まる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.2%の減、同6.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲43.8から▲26.7となった。
 紳士服関連では、Yシャツは堅調に推移しているが、スラックスは生産が落ち込み、稼働日数を減少させるなど、厳しさが見られる。
 今後は、夏物の繁忙期にさしかかるためやや良い見通しを持っているが、本格的な回復は当分先と見ている。婦人服では受注の伸び悩み、製品単価の低下に加え、少ロット、短納期等の厳しい状況が続いている。スポーツウェアは、来春用の受注が出始めたため、受注額は前年同月比で増加している。

3.木材・木製品
「合板は厳しい状況が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比22.4%の減、同22.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲47.4から▲21.1となった。
 合板は、競合している輸入合板の情勢に変化があったことから、塗装合板を中心に多少動きが見られた。しかし、全体的には在庫補充程度の受注が大半で、本格的な回復傾向には遠いことから、減産体制や雇用調整助成金制度の利用が引き続き見られ、厳しい状況は続いている。
 また一般製材では、秋田杉が首都圏向けを中心に厳しい状況が続いている。

4.鉄鋼業
「引き抜き管は納入単価の引き下げによる影響大」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比19.3%の減、同8.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0で変わらず。
 水道管継手は、首都圏向けの需要低迷が続いているが、各地方での引き合いが出てきたため、受注額は前年並となっている。鋳物は、生産の中心のアジア向けが経済の低迷、通貨不安等により引き続き受注が減少している。
 そのため、海外プロジェクトの見直しが進められている。引き抜き管は、主力の自動車向けの受注が増加しているが、納入単価の引き下げにより、収益的には厳しい状況が続いている。

5.金属製品
「オフコン用型枠は受注の減少が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.8%の減、同5.7%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲66.7から▲55.6となった。
 オフコン用型枠は受注が減少し、今後も更に減少することが見込まれていることから、稼働日数を減少させるなどさらに厳しい状況となっている。建築用鉄骨では遅れていた公共事業関連の受注が出てきたが、量的に少なく、今後はやや悪化するものと見られている。アルミサッシ、シャッターは、例年であれば繁忙期にさしかかる時期ではあるが、低迷が続いていることから稼働率を落とすなど厳しい状況が続いている。

6.一般機械
「一般産業機械等は、引き合い、製品単価ともに落ち込む」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比30.5%の減、同16.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲50.0から0.0となった。
 省力化機械、一般産業機械などは、企業の設備投資削減の影響により、引き合いが減少し、製品単価の引き下げも続き生産額は減少している。先行きについてはしばらくはこの状況が続く見通し。塗装用スプレーガンは特に自動車関連の落ち込みが大きく、生産額は減少している。

7.電気機械
「電子回路基盤、大型液晶ディスプレイは依然好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.3%の増、同11.9%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲38.5から▲23.1となった。
 情報・通信関連部品は、電子回路基盤がノートパソコンを中心に引き続き好調なほか、省電力・省スペースをうたった大型液晶ディスプレイも好調に推移し、生産額、受注額は大幅に増加している。また、コンデンサ関連においても、前年同月比10%前後の高い伸びを示しており、特にアメリカ、EU向けが好調となっている。しかし、ダイオード、トランスなど半導体関連では半導体市況の落ち込みが予想以上に大きく、生産額の落ち込みの拡大が続いている。

8.輸送機械
「パワステポンプは生産額の前年割れに歯止めがかかる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.4%の減、同3.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から28.6となった。
 パワーステアリングポンプは生産額の前年割れに歯止めがかかり、また、自動車シートは平年並みで推移している。ブレーキディスク関連は、2輪向けが順調に推移しているが、自動車向けは低迷している。なお、市場では新規格により軽自動車が好調な動きを見せているが、軽自動車以外では依然低迷が続いている。

9.精密機械
「腕時計類、光学レンズで価格競争が加熱」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.2%の増、同4.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2から▲66.7となった。
 はかり類は、ヒット商品が引き続き堅調に推移しているが、輸出向けの受注がほぼ消化されたことから、今後、生産額は減少する見通し。腕時計類は、価格競争が続いていることから利益率は低下し、光学レンズでも、受注が減少傾向にあり、受注獲得のため業者間で単価の引き下げ競争が加熱し、今後の見通しは厳しい。

建設業の動向

「受注額は一転して前年同月比マイナス」
 受注額、完工高は前年同月比33.7%の減、同27.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲35.5から▲29.0となった。
 建設業は、ここ2ヶ月は経済対策を受け公共事業に動きが見られ、受注額を伸ばしていたが、今月に入り道路工事や建築工事ともに大口の受注が減少傾向にあることから、受注額は一転して前年同月比でマイナスに転じている。民間工事に関しては依然需要が落ち込んだままである。
 また、企業により工事量の確保に差があり、受注額が大幅に落ち込んでいるところも見られる。今後についても、多くの企業で来年度以降の公共事業量の減少が懸念されている。

小売業の動向

1.衣料品
「衣料品では総じて売上の減少が続く」

 売上額は前年同月比9.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲62.5から▲29.0となった。
 紳士服はスーツの下取りセール等で、消費意欲の掘り起こしを行っているが、冬物の動きは鈍く、他店との競合もあり、売上の減少が続いている。婦人服においても期待していた冬物の売上が伸びず、厳しい状況。呉服も、依然として売上の減少が続いている。

2.身回品
「消費低迷が続き、クリスマス需要も期待薄」

 売上額は前年同月比7.9の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲66.7から▲63.6となった。
 日用雑貨は除雪関連商品が好調で売上は増加している。しかし、カバンにおいては客足の減少、他店との競合により依然厳しさが見られ、玩具も昨年のヨーヨーのようなヒット商品もなく、100円前後の低価格商品を中心に動いていることから売上額は落ち込んでいる。このように消費の低迷が依然続いていることから、クリスマス需要も例年より減少するとの見通しを持っている。

3.飲食料品
「生鮮食料品が好調で売り上げは回復傾向」

 売上額は前年同月比0.9%減。3ケ月先の業況見通しDIは▲30.0から▲35.0となった。
 スーパーは、生鮮食料品が引き続き好調に推移し、また、他店との商品の差別化を図り独自の営業展開により売り上げは回復してきているが、大型店による「消費税還元セール」の影響を受け、売り上げが減少しているところも見られる。酒類では、ワインなど一部商品を除き売り上げの低迷が続いている。

4.家電品
「買い控えの傾向が依然強く見られる」

 売上額は前年同月比17.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲50.0から▲64.3となった。
 家電品においては、暖房機器に動きが見られたが、ヒット商品がない中で、平面ブラウン管テレビを中心に訪問販売やセールなど積極的な営業活動が行われているが、買い控えの傾向が依然強く見られる

バックナンバー集へ戻る