県内経済の動向


県内経済動向調査結果(1月)


製造業:低迷の続いていた木材・木製品に底打ち感
建設業:経済対策の効果を受けて公共事業の受注増加が続く
小売業:生鮮食料品など一部商品を除き売上の減少が続く

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。
(対象企業215社)

 県内経済は、製造業では、主力の電気機械でパソコン関連製品を中心に好調となっているが、企業の設備投資削減の影響が大きい一般機械を始め、ほとんどの業種で生産額、受注額の減少が続いている。建設業では、経済対策の効果を受け、公共事業は増加しているが民需は低迷している。小売業では、生鮮食料品など一部商品に動きが見られるが、その他は売上の低迷が続いている。全体としては、県内経済は先行きについて依然不透明感が強く、多くの業種で前年の業績を下回っていることから厳しい状況が続いているものの、一部に底打ち感や回復の兆しも見られる。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲25.8から▲34.4、現在の資金繰りは▲25.8から▲27.4、3ヶ月先の業況見通しは▲29.6から▲18.4となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.4%減、同0.7%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲20.8から▲15.8となった。企業の設備投資削減の影響が大きく見られる一般機械を始め、製造業の多くの業種で生産額の減少が続いているが、低迷の続いていた木材・木製品では、生産額、受注額に底打ち感が見られ、主力の電気機械では、パソコン関連製品が好調な生産額を上げたことから、製造業全体の生産額は3ヶ月連続で前年並みに推移している。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比6.1%増、同17.4%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲18.8から▲6.3となった。経済対策を受けて公共事業は出てきているが、受注量に企業間格差が見られる。一方民間事業は一部に動きが見られるが、全体的に受注量は少ない。
 小売業では、売上額は前年同月比0.4%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲52.5から▲30.0となった。飲食料品では、生鮮食料品を中心に売上が伸びているが、衣料品は総じて売上の減少が続いている。また、地域振興券を契機とした消費の回復が期待されている一方、中小小売業においては、地域振興券の大型店への流出量を懸念する向きもある。
 有効求人倍率は、0.47倍から0.50倍と前月対比で8ヶ月ぶりに回復を示したものの、依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状況が続いている。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

▼全業種 DI値の推移

製造業の動向

1. 食料品
「パン類は主力の食パンが堅調に推移」

 生産額は前年同月比3.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲52.9から5.9となった。
 酒造は、一般小売や飲食店向けが依然伸び悩み、回復の兆しは見られない。パン類は、主力商品の食パンが堅調に推移し、和菓子部門でも持ち直してきていることから、生産額は前年同月をやや上回っている。米菓は、ヒット商品が引き続き好調に推移し、また、贈答品の需要が見込まれていることから先行きについても明るい。全体的には一部商品に回復の兆しが見られ、マインドも明るさを取り戻しつつある。

2.繊維・衣服
「総じて受注の減少、製品単価の低下が見られる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.4%の減、同4.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲20.0から▲26.7となった。
 紳士服、婦人服ともに春物の受注が伸び悩み、また、製品単価の低下の影響もあり厳しい状況となっている。スポーツウェアにおいても、春物の需要が減少し製品単価も低下している。

3.木材・木製品
「全体的に生産額、受注額で底打ち感が見られる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.7%の減、同8.7%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲5.3から0.0となった。
 合板は、一般住宅向けの構造用合板に動きが出始めているものの、製品単価が低く抑えられており、減産体制が続いている。また、一般製材は、外材を扱う企業では国産材からの切り替え需要もあり、一頃に比べると売上を確保しているが、国産材を扱う企業では、需要が県内に限定され、採算がとれない状況となっている。全体的には厳しさが続いているものの、一部に回復傾向が見られ、生産額、受注額は前年同月並になり、底打ち感が見られた。先行きに対するマインドも良くなってきている。

4.鉄鋼業
「水道管継手は単価の低下が続き受注額減少」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.1%の減、同2.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは16.7から0.0となっている。
 水道管継手は、前年以上の受注量を確保しているが、単価の低下が続き、受注額は減少している。鋳物は、海外向けを中心に生産を続けてきた企業では、アジア経済低迷等の影響を受け生産額が減少している。先行きも受注の増加要素が見あたらないことから厳しい見通しをしている。

5.金属製品
「民需を主体としていることろで厳しさが続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.1%の減、同24.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲55.6から▲33.3となった。
 橋梁は公共事業の発注が出回り、生産額は前年同月を上回っている。オフコン用型枠は需要の低迷により受注額は大幅に減少し、雇用調整が行われるなど厳しい状況となっている。アルミサッシは、主力のビル物件がピーク時の半分以下であり、受注ストックも少なく厳しい状況が続いている。シャッターは、一般住宅・小規模店舗向けをメインにしているところでは依然需要が少なく、先行きも不透明感が強い。

6.一般機械
「一般産業機械などで企業の設備投資削減の影響大」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比25.3%の減、同22.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲8.3から▲16.7となった。
 一般産業機械、合理化・省力化機械などは、景気低迷による民間企業の設備投資削減の影響から、引き合いが減少し、製品単価の引き下げも続き、生産額は減少している。上下水道機械は受注が回復しており、今後の受注も期待されている。塗装用スプレーガンは国内需要の落ち込みから生産額の落ち込みが続き、特に自動車関連の落ち込みが大きく影響している。

7.電気機械
「パソコン関連製品は好調が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.9%の増、同6.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲11.5から▲23.1となった。
 パソコン関連では、液晶ディスプレイでデスクトップ用液晶モニターへの切り替え需要や、ノートパソコン用の14〜15インチの大型モニターが好調で、生産額・受注額ともに前年同月対比で大幅増となっている。また、電子回路基盤でも、ノートパソコン本体や周辺機器を中心に引き続き好調となっている。
 また、コンデンサは携帯電話・パソコン・DVDを中心に好調が続き、生産額・受注額とも大幅に増加している。

8.輸送機械
「パワステポンプは生産額、受注額ともに落ち込む」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.7%の減、同5.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは42.6から▲42.9となった。
 自動車シートは平年並みで順調に推移しているが、先行きについては不透明。パワーステアリングポンプは生産額、受注額ともに落ち込み、また、メーカーによる国内生産拠点の見直し方針が出されたことにより先行きの見通しは厳しい。ブレーキディスク関連は、2輪向けの受注が順調に推移している。また、新規格の軽乗用車が好調な動きを見せている他、軽貨物車も発売開始されており、今後の動向が注目される。

9.精密機械
「はかり類はライバル企業の参入により競争激化」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.2%の減、同0.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲77.8から▲22.2となった。
 はかり類は、ヒット商品の体脂肪計付き体重計が引き続き好調を維持しているが、ライバル企業の参入により、価格競争や新商品開発など競争は激しくなっている。腕時計類は、受注量は確保しているものの、はかり類同様にライバル企業との価格競争が続いている。
 光学レンズでは、医療器具向けレンズを除き大きく落ち込んでいる。

建設業の動向

「公共事業の受注は企業間格差が大きい」
 受注額、完工高は前年同月比6.1%の増、同17.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲18.8から▲6.3となった。
 経済対策を受けて公共事業は出てきており、受注額は2ヶ月連続で前年同月を上回っている。しかし受注量に企業間格差が見られ、受注獲得に向けて競争が激しくなっている。一方民間事業は、個人住宅や企業の店舗建設、マンション建設などの一部に動きが見られるものの、全体的には受注の落ち込みが続いている。

小売業の動向

1.衣料品
「衣料品は総じて売り上げの減少が続く」

 売上額は前年同月比17.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲62.5から▲68.8となった。
 紳士服は、対前年同月比で売上の減少が続いており、現在フレッシュマンセールを行っているが先行きは厳しい。婦人服は冬物の動きが悪く、呉服も売上の減少が続いており、依然として厳しい状況となっている。

2.身回品
「時計等高額商品に対する売り上げの減少が続く」

 売上額は前年同月比6.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲63.6から▲18.2となった。
 日用雑貨は、除雪関連商品は好調であったが、暖房用品の動きが悪く、売上は前年同月を下回っている。カバンは、初売りの福袋で、ある程度の売上を確保したが、新入学セールは依然客足が鈍く、個人消費回復の兆しはうかがえない。高級品に対する需要が依然落ち込んでいることから、時計、貴金属等の高額商品は、売上の減少が続いている。

3.飲食料品
「食料品は生鮮食料品を中心に好調」

 売上額は前年同月比8.4%増。3ケ月先の業況見通しDIは▲38.1から▲4.8となった。
 スーパーでは、食料品が消費税還元セールの効果もあり、生鮮食料品を中心に売上を伸ばしている。酒類では、新規取引店の開拓により売上を伸ばしているところもあるが、全体的にはディスカウントショップ等との競合から、売上減少の続いているところが多い。
 種類別に見るとワインや発泡酒など、一部商品が前年に比べ伸びているものの、清酒は伸び悩んでいる。

4.家電品
「家電品は地域振興券や入進学による売上増に期待」

 売上額は前年同月比16.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲52.5から▲33.3となった。
 家電品は、個人消費の冷え込みが依然強く、全体的に売上の減少が続いている。今後については地域振興券や就職・入進学による売上増に期待している。

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