県内経済の動向


県内経済動向調査結果(2月)


製造業:輸送機械の先行き見通しは厳しい状況
建設業:経済対策の効果で受注増加が続くも企業間格差がある
小売業:衣料品は総じて売上の減少が続く

県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。
(対象企業215社)

 県内経済は、製造業では、主力の電気機械でパソコン関連製品を中心に好調さを持続しており、木材・木製品にも一部底打ち感が見られる。しかし、景気低迷の長期化によって、企業の設備投資や個人消費が低調なスめ、一般機械・輸送機械等を始め、ほとんどの業種で生産額の減少が続いている。建設業では、経済対策の効果が現れ、大幅な受注増となっている。公共事業は増加しているが民需は総じて低迷しており、受注に企業間格差が見られる。小売業では、飲食料品が前年同月比を上回っているものの、衣料品・家電品は前年の売上を大きく下回っている。全体としては、県内経済は、一部企業に底打ち感や回復の兆しも見られるものの、依然先行き不透明感が強く、多くの企業で前年の実績を下回っていることから、厳しい状況が続いている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲34.4から▲21.9、現在の資金繰りは▲27.4から▲24.3、3ヶ月先の業況見通しは▲18.4から▲17.6となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.3%減、同4.7%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲15.8から▲21.2となった。企業の設備投資削減の影響が大きく現れる一般機械を始め、製造業の多くの業種で生産額の減少が続いているが、低迷の続いていた木材・木製品では、生産額、受注額に底打ち感が見られる。主力の電気機械では、パソコン関連製品が好調さを持続しているものの、輸送機械等の業種の生産額が落ち込んだことから、製造業全体の生産額は前年同月比をやや下回った。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比73.7%増、同26.5%減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲6.3から0.0となった。経済対策の効果が現れて公共事業は出てきているが、受注量に企業間格差が見られる。民間事業にも一部に動きが見られるものの、全体的に需要が少なく、利益の薄い仕事を受けざるを得ない企業もある。
 小売業では、売上額は前年同月比1.2%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲30.0から▲20.0となった。飲食料品では、生鮮食料品を中心に売上が伸びているが、衣料品は総じて売上の減少が続いている。家電品もこれといったヒット商品が無く、依然厳しい状況が続いている。
 有効求人倍率は、0.50倍と依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状態にある。

DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。

▼全業種 DI値の推移

製造業の動向

1. 食料品
「米菓はヒット商品が引き続き好調に推移」

 生産額は前年同月比1.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは5.9から▲6.3となった。
 酒造は、一般小売や飲食店需要が低迷しており、卸店にも商品のだぶつきが生じている。パン・洋菓子類は、個人消費の低迷から先行き不透明感が強い。米菓は、ヒット商品が引き続き好調なうえ、低単価商品にも堅調な引き合いがある。ハムは納入単価の下落基調が変わらず、めん類も割安感のある商品には受注があるものの、先行きは不透明である。

2.繊維・衣服
「スポーツ衣料は堅調、紳士服は低調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.9%の減、同1.4%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲26.7から▲46.7となった。
 スポーツウェアにおいては、春物から夏物の生産が開始されており、短納期や品質面での差別化が図られている企業は、堅調な推移を見せている。紳士服はスラックスを中心に総じて低調な推移をみせており、婦人服は一時期より受注量は増えているものの、手間の割に製品単価が低い仕事が多く、生産額は伸び悩んだ。

3.木材・木製品
「生産額、受注額に底打ち感が見られる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比13.3%の増、同21.4%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0のまま変化無し。
 合板は、一般住宅向けの構造用合板に動きが出てきており、単価も持ち直してきているが先行きに不透明感が残るため、減産体制を全面解除にするまでには至っていない。一般製材は、依然として補充買い中心の取引に終始しており、国産材の中でも秋田杉の評価が低く、当分底這いが続くものと見込んでいる。輸入材については、業界全体の在庫の減少や、一般住宅向けの需要も、今後期待されることから、先行きに対する見通しも一部に明るさが見られる。

4.鉄鋼業
「水道管継手は受注に回復の兆し」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比8.0%の減、同4.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から▲16.7となった。
 水道管継手は、西日本方面からの受注が好調で前年以上の受注額を確保し、回復の兆しが見られる。鋳物は、海外向けの企業では、アジア経済低迷や通貨不安の不安定要素を払拭できず、国内向けの企業では、建設・機械関連が低迷しており、回復要素が見あたらないとしている。橋梁関連も公共工事需要の減少期に入るため、厳しい見通しをしている。

5.金属製品
「一部に回復が見られるものの、総じて厳しい」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比15.9%の減、同33.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲33.3と変わらず。
 橋梁は公共事業の納期集中でフル操業の状態だが、鉄骨は採算が合わず、受注を控えている。オフコン用型枠は依然需要が低迷しており、雇用調整を行っている。アルミサッシは、ビル物件の受注が過去最低を記録するなど厳しい状況。シャッター関連も、民間需要の低迷から、当面回復の見込みは薄いとしている。名刺型ラジオ用部品は堅調で、衛星放送用テレビチューナーケースの金型も増産体制となっている。

6.一般機械
「設備投資の減少傾向に歯止めがかからず」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.3%の減、同19.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲16.7で変わらず。
 一般産業機械、合理化・省力化機械などは、景気低迷の長期化によって設備投資の減少傾向に歯止めがかからず、事業の見直しや更なる合理化・効率化が求められるなど、総じて厳しい見通しをしている企業が多い。上下水道機械は公共工事に支えられ、生産が本格化しているが、4月以降の見通しは不透明である。塗装用スプレーガンは、自動車関連の落ち込みが大きく、国内での在庫も過剰気味として、早期の回復は期待できない。

7.電気機械
「パソコン・携帯電話関連は需要が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.0%の減、同3.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲23.1から▲12.0となった。
 パソコン関連では、液晶ディスプレイが省電力・省スペースを謳い堅調な推移を見せており、ノートパソコン向けの14〜15インチ大型モニターも好調を持続し、今後の見通しも明るい。電子回路基盤でも、ノートパソコン本体や周辺機器を中心に好調を持続しており、今後は高精度製品についても本格生産に取り組む予定。コンデンサは携帯電話・パソコン・DVDを中心に好調であるが、CD-ROM関連は厳しい見通しをしている。

8.輸送機械
「自動車関連は総じて低迷している」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.7%の減、同10.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲42.9から▲71.4となった。
 パワステポンプ関連は売上の低迷から生産調整を予定している。自動車シート関連も当面受注が落ち込む見通しで、ブレーキディスク関連も生産の落ち込みが長期化するとしている。総じて夏から秋口にかけて、回復が遅れる見通しで、一部企業では雇用調整もある模様。新規格の軽乗用車は好調な動きを見せているが、好調な上級グレード車向け製品の生産が少ないことなどから、生産額は低迷している。

9.精密機械
「はかり類は競争激化の中、好調を持続」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.3%の増、同3.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2から▲33.3になった。
 はかり類は、ヒット商品の体脂肪計付き体重計がライバル企業の参入にもかかわらず、好調さを持続しており、需要の増加を期待している。腕時計類は、受注は十分なものの価格競争は厳しさが続いている。光学レンズでは、医療器具向けレンズは堅調であるが、カメラ用レンズでは、個人消費の低迷や、在庫調整の影響が大きく、受注単価引き下げにより収益も悪化している。

建設業の動向

「公共・民間事業とも受注に企業間格差」
 受注額、完工高は前年同月比73.7%の増、同26.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲6.3から0.0となった。
 経済対策を受けて公共事業は出てきており、受注額は3ヶ月連続で前年同月を上回っている。しかし受注量には企業間格差が見られ、受注獲得に向けて競争が激しくなっている。一部民間事業にも、経済対策効果が現れて、個人住宅や店舗建設、マンション建設などに動きが見られるが、全般には受注の低迷が続いており、利益の薄い物件を受けざるを得ない企業もある。

小売業の動向

1.衣料品
「衣料品は総じて売上の減少が厳しい」

 売上高は前年同月比18.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲68.8から▲56.3となった。
 紳士服は、対前年同月比で売上の減少が続いており、フレッシュマンセールや学生服下取りなどを行っているが、反応が鈍く厳しさが増している。婦人服は主力購買層の消費意欲が低く、低価格商品はともかく、主力商品が伸び悩んでいる。呉服は展示会を行ったところは好調であったが、全般的には低迷している。

2.身回品
「高額商品の売上減少が大きい」

 売上高は前年同月比8.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲18.2から▲9.1となった。
 日用雑貨は、好調であった除雪関連商品の需要も終わり、新入学・転勤関係等による売上増を期待しているが、先行き不透明。カバンは、新入学セールを実施しているが、単価の低い商品しか動きが無い。時計・貴金属も、高額商品の動きが鈍く、個人消費の回復の兆しは見られない。

3.飲食料品
「食料品は生鮮食料品を中心に好調」

 売上高は前年同月比8.1%増。3ケ月先の業況見通しDIは▲4.8から▲5.0となった。
 スーパーでは、食料品が、企画セールを実施し、生鮮食料品を中心に売上を伸ばしている。酒類では、新 規に取引先を確保した企業を除いて、総じてディスカウントショップに客足をとられ、売上が低迷しているところが多い。種類別に見るとワインやウィスキーに動きがあるものの、清酒は飲食店向け、個人向けを問わず需要が減少している。

4.家電品
「家電品は地域振興券や新入学による売上増に期待」

 売上高は前年同月比21.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲33.3から▲7.7となった。
 家電品は、平面型カラーテレビに動きがあったものの、個人消費の冷え込みの影響を受け、売上減少が続いている。量販店との差別化を図るため、修理部門の宣伝に努めている企業もある。今後についてはエアコンの需要や、地域振興券の波及効果が出てくることを期待している企業がある。

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