県内経済の動向


■ 3 月 概 況 ■


 県内経済は、製造業では、主力の電気機械でパソコン関連製品を中心に好調を持続しており、木材・木製品も2ヶ月連続で生産額が前年同月を上回るなど底打ち感が見られる。しかし、景気低迷の長期化によって、企業の設備投資や個人消費が低調なため、一般機械や繊維・衣服では生産額の減少が続いている。建設業では、経済対策の効果で、受注増が続いており、好調を維持している。ただ、公共事業や一般住宅関連の受注は増加している反面、それ以外の民需は総じて低迷している。小売業では、飲食料品の売上が前年同月を上回っているものの、衣料品は前年同月の売上を大きく下回っている。期待された地域振興券については、売上増に結びつくまでには至っていない。全体として、県内経済は、個人消費の本格的な回復を感じさせるまでには至っていないほか、先行きに関しても依然不透明感が強く、厳しい状況が続いているものの、底打ち感や回復の兆しの見られる業種に広がりが出てきている。全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲21.9から▲1.0、現在の資金繰りは▲24.3から▲12.1、3ヶ月先の業況見通しは▲17.6から▲14.0となった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.5%増、同8.0%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲21.2から▲13.7となった。企業の設備投資削減の影響が大きく現れる一般機械や個人消費の動向の影響が大きい繊維・衣服などの業種で生産額の減少が続いているが、木材・木製品では、生産額、受注額が2ヶ月連続で前年同月を上回るなど底打ち感が見られる。主力の電気機械では、パソコン関連製品を中心に好調を持続しているほか、金属製品など公共事業関連で生産額を増やした業種もあり、製造業全体の生産額は前年同月を2桁近く上回った。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比4.6%増、同4.0%減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から19.4となった。経済対策の効果で、公共事業と一般住宅の受注は依然として好調である。公共事業の先行きに不安を持つ企業もあるが、公共事業や一般住宅を主とする企業は当面明るい見通しを持っている。一方、民間事業を主とする企業は、依然として厳しい状況が続いている。
 小売業では、売上額は前年同月比1.9%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲20.0から▲32.2となった。飲食料品では、食料品を中心に売上が伸びているが、衣料品は総じて売上の減少が続いている。地域振興券の効果も期待したほどでなく、依然個人消費は低迷している。
 有効求人倍率は、0.53倍と依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状態にある。

1. 食料品
「ヒット商品を持つ業種以外は先行き不透明」

 生産額は前年同月比1.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲6.3から▲26.7となった。
 酒造は、在庫調整が進んでいるが、一般小売、飲食店需要ともに引続き低迷している。パン・洋菓子類は、個人消費の低迷から先行き不透明感が強い。味噌・醤油類も先行きは依然として厳しい。米菓は、ヒット商品が引き続き好調である。食肉加工は納入単価の下落基調が変わらず、先行きは厳しい。

2.繊維・衣服
「婦人服の受注は増加したが生産額は伸び悩み」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.8%の減、同11.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲46.7から▲40.0となった。
 スポーツウェアにおいては、地域振興券の影響で生産額が前年を上回った企業もあるが、先行きについては不透明としている。紳士服はスラックスやワイシャツで受注増があったが、スーツ類は依然として低調である。婦人服は各社ともに受注量は増えているものの、低単価のものが多く生産額は伸び悩んでいる。

3.木材・木製品
「合板関係には底打ち感が見られる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比24.4%の増、同28.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から36.8となった。
 合板は、一般住宅向けの構造用合板や公共工事向けのコンクリートパネルに動きが出てきており、単価も持ち直してきているが先行きについては、慎重な見方をしている。一般製材については、住宅着工の増加に伴う今後の受注増に期待を持っているものの、秋田杉の柱物は依然として在庫補充買い中心であり、具体的な動きには至っておらず、依然として生産額・受注額ともに低迷している。

4.鉄鋼業
「水道管継手の受注に底打ち感」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.5%の減、同14.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲16.7から▲33.3となった。
 水道管継手では、公共工事関連に動きが出てきて、受注額が増加しており、底打ち感が見られるとしている。鋳物では、受注の増加要因となるものが見あたらず、先行きの悪化を懸念している。橋梁関連は公共工事が本格化することから現在より需要が回復する見込みである。

5.金属製品
「公共工事関連で大幅な生産額増」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比63.3 %の増、同16.5%の増。3ヶ月先の業況見通 しDIは▲33.3から▲55.6となった。
 橋梁は公共事業の納期集中で生産額が前年同月比大幅増となった。アルミサッシでは、ビル物件が回復に程遠いほか、シャッター関連も、民間需要の低迷が続いているため、生産額が低迷している。電気機器用品関連では、オフコン用筺体の需要が低迷しているため、受注が大幅に減少しているが、名刺型ラジオや衛星放送用テレビチューナーケース、携帯電話はフル操業が続くものと見込んでいる。

6.一般機械
「民間設備投資の減少傾向に歯止めがかからず」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比15.2%の減、同7.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲16.7から▲25.0となった。
 一般産業機械、合理化・省力化機械などは、景気の低迷の長期化を受け、民間設備投資に回復傾向が見られず、減産体制を継続するなど、総じて厳しい見通しをしている企業が多い。一方で、公共工事関連の橋梁等では生産額が増加しているが、先行きについては楽観できないとしている。木材トレイ加工機械などの新分野では、県外からの安定した受注がある。

7.電気機械
「パソコン・携帯電話関連が引き続き好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.5%の増、同11.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲12.0から4.0とプラスに転じた。
 液晶ディスプレイは、ノートパソコンやディスクトップパソコン向けの14〜15インチ大型モニターが引き続き好調で、今後も順調に推移するものと見られる。電子回路基盤でも、ノートパソコン本体や周辺機器を中心に好調を持続しているほか、コンデンサも携帯電話・パソコン・DVDを中心に好調が続いている。
 ダイオードは生産額の減少が続いてはいるものの、今後の生産は回復する見通しである。一方で、CD-ROM関連は生産額の減少が続いており、先行きの見通しも厳しい。

8.輸送機械
「自動車関連は総じて低迷している」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.3%の減、同2.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲42.9と前月と同じであった。
 パワステポンプ関連は取引メーカーの売上低迷から受注が減少したままとなっており、生産調整を予定している。自動車シート関連では、生産が好調であった。ブレーキディスク関連では、四輪向けの落ち込みを輸出向けの二輪用部品がカバーした。エンジン・ミッション関連では、海外出荷部門が不振のため、生産額は低迷している。

9.精密機械
「はかり類は競争激化の中、好調を持続」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.4%、同8.4%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲33.3から▲11.1になった。
 時計類では、海外市場において在庫調整が進んだため、生産額を伸ばしているが、価格競争は厳しさが続いている。はかり類は、ヒット商品の体脂肪計付き体重計がライバル企業の参入にもかかわらず、好調さを持続している。光学レンズでは、医療器具向けは堅調であるが、カメラ用や情報機器用では、受注が低迷しているほか、受注単価引き下げにより収益も悪化している。


民需は依然低迷しているが、経済対策の効果で公共事業受注増が続く

「民需は依然厳しいが、公共事業と一般住宅は好調」
 受注額、完工高は前年同月比4.6%の増、同0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0から19.4とプラスに転じた。「3ヶ月前との比較」「現在の資金繰り」「3ヶ月先の見通し」の3項目のDI値が全てプラスとなったのは20ヶ月ぶりである。
 経済対策を受けた公共事業が出てきたため、受注額は4ヶ月連続で前年同月を上回っている。公共事業を中心とする企業では、先行きに関しては、公共事業の事業量減少に対する懸念を抱きつつも、しばらくは好調が続くものと見ている。また、一般住宅を中心とする企業も経済対策による金利・減税政策により引き続き受注が好調であるが、それ以外の民需中心の企業では、依然として受注が著しく低迷しており、厳しい状況が続いている。


食料品以外は依然として売上減少が続く

1.衣料品
「衣料品は総じて売上の減少が続いている」

 売上高は前年同月比21.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲56.3から▲62.5となった。
 紳士服は、対前年同月比で売上の減少が続いており、回復の見通しも見えない。婦人服は主力購買層の消費意欲が低く、ワゴンセールやダイレクトメールの活用などにより、消費意欲の掘り起こしに努めているが、厳しい状況が続いている。呉服は展示会を行って売上を確保したところもあるものの、主力の高級品の売上がふるわず、全般的には低迷している。

2.身回品
「高額商品の売上減少が依然大きい」

 売上高は前年同月比6.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲9.1から▲45.5となった。
 日用雑貨は、春物商品が動き出し、売上が増加したところもあるが、先行き不透明。カバンは、新入学商品をターゲットとしたセールを実施しているが、単価の低い商品しか動きが無く、底打ちとは言い難い。時計・貴金属も、主力の高額商品の動きが鈍く、個人消費の回復の兆しは見られない。

3.飲食料品
「食料品はスーパーを中心として好調」

 売上高は前年同月比11.8%増。3ケ月先の業況見通しDIは▲5.0から▲20.0となった。
 食料品は、スーパーでは、企画セールなどにより売上を伸ばしている。酒類では、総じてディスカウントショップなどに客足をとられ、売上が低迷しているところが多い。また、飲食店向けも減少が続いている。

4.家電品
「地域振興券効果は売上増までには至らず」

 売上高は前年同月比3.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲7.7から0となった。
 家電品は、地域振興券による効果に対する期待が大きかったが、携帯電話やパソコン、AV機器など一部には動きがあったものの、全体的な売上増には結びついていない。先行きの見通しが不透明な中で、修理部門を強化する企業もある。

■県内経済動向調査集計結果3月■

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