県内経済の動向


■ 4 月 概 況 ■


 県内経済は、製造業では、主力の電気機械でパソコン・携帯電話関連製品を中心に好調を持続している。また、全国的な住宅着工の増加を受けて、木材・木製品も生産は回復基調に入っている。しかし、景気低迷の長期化によって、企業の設備投資や個人消費が低調なため、一般機械や繊維・衣服、輸送機械などでは生産額の減少が続いている。建設業では、経済対策を受けた公共事業や一般住宅関連の受注は好調である反面、それ以外の民需は総じて低迷している。小売業では、飲食料品の売上が好調であるものの、それ以外の業種では販売額の低迷が続いている。地域振興券については、現金売上への代替に止まり、売上増加までには至っていない。全体として、県内経済は、設備投資と個人消費が依然として低迷しているため、厳しい状況が続いているものの、先行き好転と見る企業が増えてきており、景況は下げ止まったものと思われる。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲1.0から0.0、現在の資金繰りは▲12.1から▲9.6、3ヶ月先の業況見通しは▲14.0から1.8となった。3ヶ月前との業況比較でマイナスを脱したのは21ヶ月ぶり、3ヶ月先の業況見通しがプラスに転じたのは23ヶ月ぶりである。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.7%増、同4.8%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲13.7から7.3となった。3ヶ月先の業況見通しがプラスに転じたのは23ヶ月ぶりである。企業の設備投資削減の影響が大きく現れる一般機械や個人消費の動向の影響が大きい繊維・衣服、輸送機械などの業種で生産額の減少が続いているが、新築住宅着工の増加を受けて、木材・木製品では、生産額・受注額共に3ヶ月連続で前年同月を大幅に上回り、生産は回復基調に入っている。また、主力の電気機械では、パソコン・携帯電話関連部品を中心に好調を持続しており、製造業全体での業況は3ヶ月前との比較、3ヶ月先の見通し共にプラスに転じた。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比30.8%減、同14.8%減。3ヶ月先の業況見通しDIは19.4から9.7となった。公共事業と一般住宅での発注が一段落したため、受注は大幅に減少したが、手持ち工事量は十分である。公共事業や一般住宅を主とする企業のうちには、先行きに不安を持つ企業もあるが、当面明るい見通しを持っている。一方、民間事業を主とする企業は、依然として厳しい状況が続いている。
 小売業では、売上額は前年同月比3.0%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲32.2から▲12.5となった。飲食料品では、スーパーを中心に食料品の売上が伸びているが、それ以外は売上の減少が続いている。地域振興券は現金売上への代替に止まり、売上増に結びつかなかったとの判断をするところが多く、個人消費は依然として回復に向かうまでに至っていない。
 有効求人倍率は、0.53倍と依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状態にある。

 県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業222社)

全業種 DI値の推移


民間設備投資関連は依然低迷しているが、パソコン・携帯電話、住宅関連は引き続き好調

1. 食料品
「酒造は統一地方選関連で生産額増加」

 生産額は前年同月比2.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲26.7から▲5.6となった。
 酒造は、統一地方選挙があったため生産額が前年同月比で増加した企業が多かったが、日本酒離れの傾向に変化がないため、先行きは不透明としている。パン・和洋菓子類では、和菓子関連でだんごがヒットしたほか、個別商品でヒット商品を持つ企業以外は生産額で前年を下回っている。漬物類やうどん類は、贈答品需要の減少から生産額の減少が続いている。食肉加工も、最終需要の回復が見られず、先行きは厳しい。

2.繊維・衣服
「依然として生産額の減少が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.9%の減、同21.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲40.0から6.3とプラスに転じた。
 スポーツウェアにおいては、スクールウエアの需要期が終わったため、先行きについては悪化の見通しを持っている。紳士服では在庫調整が進んだことから、先行きに期待感を持つ企業もあるが、依然として厳しい見方の企業もある。
 婦人服では受注量が増えた企業でも、低単価のものが多く、また、小ロット・短納期のものが増えてきていることから、先行きは厳しいとしている。

3.木材・木製品
「合板関係の生産は回復に向かう」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比29.4%の増、同38.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは36.8から45.0となった。
 合板は、対前年同月比で生産額が大幅に増加したほか、単価も持ち直してきており、先行きの見通しも改善している。一般製材や集成材については、住宅着工の増加に伴って生産額を増やした企業もあり、先行きも明るい見通しを持つところが多いが、銘柄等によりばらつきがある。

4.鉄鋼業
「水道管関係の受注に底打ち感」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.1%の減、同11.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲33.3から0.0となった。
 水道管関係では、公共工事関連に動きが出てきていることから、底打ち感が見られるとしている。鋳物関連では、依然として受注の増加要因となるものが見あたらず、先行きの悪化を懸念している。

5.金属製品
「公共工事関連は端境期に入り生産額減」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.3%の減、同14.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲55.6から▲44.4となった。
 鉄骨等公共事業関連では、端境期に入ったことから、生産額が減少した。アルミサッシ、シャッター等建具関連では、民間需要の低迷が続いているため、苦しい状況が続いている。電気機器用品関連では、オフコン用筺体の需要が低迷しているため、受注が大幅に減少しているが、名刺型ラジオや、携帯電話用品等はフル操業が続くものと見込んでいる。

6.一般機械
「生産減が続くものの先行きの見通しがプラスに転じる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.7%の減、同23.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.0から9.1となった。
 一般産業機械では、民間設備投資の冷え込みを反映して、依然として生産額の減少が続いているものの、一部先行きに明るい見通しを持つ企業が増えてきており、3ヶ月先の業況見通しはプラスに転じた。

7.電気機械
「パソコン・携帯電話関連が引き続き好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.8%の増、同10.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは4.0から3.6になった。
 液晶ディスプレイは、ノートパソコンやディスクトップパソコン向けの14〜15インチ大型モニターが引き続き好調で、今後も順調に推移するものと見られる。電子回路関係でも、パソコン関連機器用を中心に好調を持続しているほか、コンデンサも携帯電話・パソコン・DVD用を中心に好調が続いている。ダイオード等も携帯電話・パソコン用の好調を反映して生産額が増加に転じ、今後も生産増が続く見通しである。また、光ファイバー関連部品の生産も活発化しており、先行きも受注が増加するものと見ている。一方で、CD-ROM関連部品は生産額の減少が続いており、先行きの見通しも厳しい。

8.輸送機械
「生産は低迷しているが、先行き見通しはプラスに」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.9%の減、同12.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲42.9から42.9とプラスに転じた。
 パワステポンプ関連は取引メーカーの売上低迷から受注が減少したままとなっており、生産調整を行っている。シート関連でも、生産が落ち込んでいるが、先行きについて生産は、回復する見通しを持っている。ブレーキディスク関連では、四輪向けの落ち込みを二輪用部品でカバーしている。エンジン・ミッション関連では、海外出荷部門の不振を軽自動車の販売好調がカバーしている。

9.精密機械
「はかり類は競争激化の中、好調を持続」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.3%の増、同6.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは6.8から▲11.1になった。
 時計類は、生産量は伸びているものの、価格競争は厳しさが続いており、今後の見通しは不透明としている。はかり類は、ヒット商品の体脂肪計付き体重計がライバル企業の参入にもかかわらず、好調を持続している。光学レンズでは、個人消費の低迷が続いているほか、受注単価引き下げにより収益も悪化している。一方で、携帯電話関連部品は、受注・生産共に好調である。


民需は依然低迷しているが、公共事業・一般住宅は好調

「民需は依然厳しいが、公共事業と一般住宅は好調」
 受注額、完工高は前年同月比30.8%の減、同14.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは19.4から9.7となった。
 受注額は5ヶ月ぶりに前年同月を下回ったが、3月の公共工事のまとまった発注を受注できた企業においては、手持ち工事量は十分にある。ただ、公共事業を中心とする企業においては、今年度後半の受注に懸念を抱いている。また、一般住宅を中心とする企業では、住宅金融公庫の申込時期の関係で受注は一服しているが、次回申込に期待を持っている。それ以外の民需中心の企業では、依然として受注が低迷しており、厳しい状況が続いている。


食料品以外は依然として売上減少が続く

1.衣料品
「衣料品は総じて低迷が続いている」

 売上高は前年同月比22.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲62.5から▲37.5となった。
 紳士服は、対前年同月比で売上の減少が続いており、依然として厳しい状況が続いている。婦人服は、前年同月並の売上を確保し、下げ止まりの見方をするところも出ているが、対前年比減が続いているところが多い。地域振興券については売上増には結びつかなかったとの見方をしている。呉服は展示会等を行って売上を確保したところもあるものの、主力の高級品の売上がふるわず、収益的には低迷が続いている。

2.身回品
「高額商品の売上減少が依然大きい」

 売上高は前年同月比3.4%の減。3ヶ月先の 業況見通しDIは▲45.5から▲25.0となった。
 日用雑貨では、春物商品が動き出したことにより、売上が増加している。カバン類は、前年売上を確保したところもあるが、明るい材料が無く、先行き不透明としている。時計・貴金属も、主力の高額商品の動きが鈍く、個人消費の回復の兆しは見られないままとなっている。

3.飲食料品
「食料品はスーパーを中心として好調」

 業況見通しDIは▲20.0から▲18.2となった。
 食料品は、スーパーでは、企画セールなどにより引き続き売上を伸ばしている。酒類では、選挙関連の需要があったものの、個人・飲食店向けの売上減が続いている他、ディスカウントショップなどに客足をとられ、売上が低迷しているところが多い。

4.家電品
「先行きは住宅設備関連品に期待」

 売上高は前年同月比0.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から35.7となった。
 家電品は、携帯電話やパソコン関連が好調であったほか、白物家電でも動きがあったものの、全体的な売上の回復までには至っていない。先行きについては、新築住宅の増加を受けて住宅設備関連家電に期待を寄せている。

■県内経済動向調査集計結果4月■

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