県内経済の動向


■ 5 月 概 況 ■


 県内経済は、製造業では、主力の電気機械でパソコン・携帯電話関連製品を中心に好調を持続している。また全国的な住宅着工の増加を受けて、木材・木製品も生産は回復基調に入っている。一方、企業の設備投資や個人消費が依然低調なため、一般機械や繊維・衣服、輸送機械などでは生産額の減少が続いているが、先行きの見通しは改善している。建設業では、経済対策を受けた公共事業や一般住宅関連の受注は好調である反面、それ以外の民需は総じて低迷している。小売業では、飲食料品の売上が好調であるものの、それ以外の業種では売上額の低迷が続いている。全体として、県内経済は、設備投資と個人消費が依然として低迷しているため、厳しい状況が続いているものの、生産・販売面では下げ止まり、横ばいとなっている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は0.0から▲11.0、現在の資金繰りは▲9.6から▲17.8、3ヶ月先の業況見通しは1.8で先月と同じであった。3ヶ月前との業況比較では再びマイナスとなった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.0%増、同0.2%増。3ヶ月先の業況見通しDIは7.3から8.1となった。企業の設備投資削減の影響が大きく現れる一般機械や個人消費の動向の影響が大きい繊維・衣服、輸送機械などの業種で生産額の減少が続いているが、新築住宅着工の増加を受けて、木材・木製品では、生産額・受注額共に前年同月比増が続いている。また、主力の電気機械では、パソコン・携帯電話関連部品を中心に好調を持続しており、一部ではフル操業が続いている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比19.6%増、同5.8%減。3ヶ月先の業況見通しDIは9.7から3.1となった。公共事業の発注は端境期にあたるが、全体で対前年比増の受注を確保しているほか、手持ち工事量も十分なところが多い。公共事業や一般住宅を主とする企業のうちには、先行きに不安を持つ企業もあるが、当面明るい見通しを持っている。一方、民間事業を主とする企業は、依然として厳しい状況が続いている。
 小売業では、売上額は前年同月比3.2%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲12.5から▲11.1となった。スーパーやディスカウントショップを中心に飲食料品の売上が伸びているが、それ以外の業種では売上の減少が続いてる。先行きについても厳しい見方をするものが多く、個人消費は依然として回復に向かうまでには至っていない。
 有効求人倍率は、0.53倍と依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状態にある。

 県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業222社)

全業種 DI値の推移


パソコン・携帯電話関連が引き続き好調

1. 食料品
「概ね横ばいが続く」

 生産額は前年同月比1.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲5.6で、前月と同じであった。
 酒造は、先月の統一地方選挙特需の反動もあり、生産額が前年同月比で減少した企業が多かった。また、先行きについても日本酒離れの傾向に変化がなく、不透明感が強い。パン・菓子類では、ヒット商品を持つ企業で生産額が前年同月を上回っているが、それ以外は、生産額・先行きの見通し共に概ね横ばいである。味噌・醤油、漬物類、うどん類も、生産額・先行きの見通し共に概ね横ばいである。食肉加工では、商品により好不調があるものの、全体としては横ばいが続いている。

2.繊維・衣服
「生産額の減少が続くも先行きの見通しは好転」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比27.3%の減、同19.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは6.3から31.3となった。
 スポーツウェアでは生産額計上方式の変更や海外発注の影響等により生産額が大幅に減少したが、先行きについては見方が分かれている。紳士服では依然として生産額の減少が続いているが、秋冬物に期待を持つ企業もある。婦人服では依然として受注減と単価の低迷の影響を受けているところが多いが、全体として生産額は横ばいで、先行きについては、秋冬物に期待を持つところが多い。

3.木材・木製品
「合板関係は生産額増が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.0%の増、同9.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは45.0から25.0となった。
 合板は、流通段階での在庫が増えたことから対前年同月比での生産額の増加率が低下しており、先行きは微妙になっている。一般製材や集成材については、住宅着工の増加に伴って生産額の増加した企業が多く、先行き好転と見るところが多いが、銘柄等によりばらつきがある。

4.鉄鋼業
「水道管関係の受注に底打ち感」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.0%の減、同2.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0と前月と変化がなかった。
 水道管関係では、公共工事関連に動きが出てきていることから、底打ち感が見られるとしている。鋳物関連では、依然として受注の増加要因となるものが見あたらず、先行きの悪化を懸念している。

5.金属製品
「公共事業関連は端境期に入り生産額減」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.5%の減、同41.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲44.4から▲20.0となった。
 鉄骨等公共事業関連では、端境期に入ったことから、生産額が減少した。アルミサッシ、シャッター等建具関連では、民間需要の低迷が続いているため、苦しい状況が続いている。電気機器用品関連では、オフコン用筺体の需要が低迷しているため、受注が大幅に減少しているが、名刺型ラジオや、携帯電話用品等はフル操業が続くものと見込んでいる。

6.一般機械
「生産減が続くものの先行きの見通しは改善」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比24.1%の減、同26.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは9.1から18.2となった。
 一般産業機械では、民間設備投資の冷え込みを反映して、依然として生産額の減少が続いているものの、先行きに明るい見通しを持つ企業が増えてきている。

7.電気機械
「パソコン・携帯電話関連が引き続き好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.7%の増、同6.9%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは3.6で前月と同じであった。
 液晶ディスプレイは、ノートパソコンやディスクトップパソコン向けの14〜15インチ大型モニターが引き続き好調で、今後も順調に推移するものと見られる。電子回路関係でも、パソコン関連機器用を中心に好調を持続しているほか、コンデンサも携帯電話・パソコン・DVD用を中心にフル稼働状態が続いている。ダイオード等も携帯電話・パソコン用を中心に好調であり、今後も生産増が続く見通しである。また、光ファイバー関連部品の生産も活発化しており、先行きも受注が増加するものと見ている。一方で、CD-ROM関連部品は生産額の減少が続いており、先行きの見通しも厳しい。

8.輸送機械
「生産は低迷しているが、先行きに期待感」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.2%の減、同10.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは42.9から28.6となった。
 パワステポンプ関連は、取引メーカーの売上低迷から、生産調整を行っているが、今後のモデルチェンジによる販売増加に期待している。シート関連でも、生産が落ち込んでいるが、先行きについて生産は、回復する見通しを持っている。エンジン・ミッション関連では、二輪の海外出荷部門の不振が続いており、厳しい状況が続いている。

9.精密機械
「はかり類は競争激化の中、好調を持続」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比15.5%の増、同16.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲11.1から▲22.2になった。
 時計類は、生産量は伸びているものの、価格競争は厳しさが続いており、今後の見通しは不透明としている。はかり類は、ヒット商品の体脂肪計付き体重計がライバル企業の参入にもかかわらず、好調を持続している。光学レンズでは、個人消費の低迷が続いているほか、受注単価引き下げにより収益も悪化している。一方で、携帯電話関連部品は、受注・生産共に好調だが、受注競争も厳しくなっている。


民需は依然低迷しているが、公共事業・一般住宅は好調

「民需は依然厳しいが、公共事業と一般住宅は好調」
 受注額、完工高は前年同月比19.6%の増、同5.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは19.4から3.1となった。
 受注額は前年同月を上回った。公共工事の発注は端境期に当たるが、小口の工事を多く受注したところが多かった他、土木関連では高速道路関連工事の受注が多かった。ただ、公共事業を中心とする企業においては、今年度後半の受注に懸念を抱いている。また、一般住宅を中心とする企業は引き続き好調を維持している。それ以外の民需中心の企業では、依然として受注が低迷しており、厳しい状況が続いている。


食料品以外は依然として売上減少が続く

1.衣料品
「衣料品は総じて低迷が続いている」

 売上高は前年同月比11.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲37.5で先月と同じだった。
 紳士服は、対前年同月比で売上の減少が続いており、依然として厳しい状況が続いている。婦人服は、前年同月並の売上を確保し、下げ止まりの見方をするところも出ているが、売上額で対前年比減が続いているところも多い。呉服は積極的な外販等により売上を確保したところもあるものの、呉服に対する需要の低迷により先行き厳しい見方をしているところが多い。

2.身回品
「高額商品の売上減少が依然大きい」

 売上高は前年同月比7.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲25.0から▲16.7となった。
 日用雑貨では、季節的な要因もあり、売上増となった。カバン類は依然として厳しい状況が続いている。時計・貴金属では、宝石類の展示会で堅調な動きがあったものの、高額品を中心として時計類の動きは依然として鈍く、先行きも厳しい見方をしている。

3.飲食料品
「食料品はスーパーを中心として好調」

 売上高は前年同月比8.3%増。3ケ月先の業況見通しDIは▲18.2から▲19.0となった。
 食料品は、スーパーでは、企画セールなどにより引き続き売上を伸ばしているが、先行きについては、競合店舗の新規出店の影響を懸念しているところが多い。酒類では、飲食店向けが日本酒を中心に売上減少が続いている他、個人向けではディスカウントショップなどに客足をとられ、売上が低迷しているところが多い。一方で、ディスカウントショップでは堅調に推移している。菓子類は横ばいで推移している。

4.家電品
「エアコンに動きが出ている」

 売上高は前年同月比10.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは35.7で先月と同じであった。
 家電品は、携帯電話やパソコン関連が好調であったほか、エアコン等に動きが出ているものの、全体的な売上の回復までには至っていない。先行きについては、エアコンや住宅設備関連家電に期待を寄せている。一方で、修理部門への依頼も増えている。

■県内経済動向調査集計結果5月■

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