県内経済の動向


■ 6 月 概 況 ■


 県内経済は、製造業では、主力の電気機械でパソコン・携帯電話関連製品を中心に好調を持続しており、一部には増産のための設備投資の動きが見られる。また全国的な住宅着工の増加を受けて、木材・木製品も生産額の増が続いている。一方、普通・小型乗用車の販売不振を受けて、輸送機械などでは生産額の減少が続いているが、先行きの見通しは改善している。建設業では、土木工事を中心とする公共事業や一般住宅関連の受注は好調である反面、それ以外の民需は総じて低迷している。小売業では、飲食料品の売上が好調であるほか、それ以外の業種でも品目により売上額で前年並みを確保するものが出てきている。全体として、県内経済は、これまで厳しい状況が続いていた業種においても回復の兆しが感じられるものの、横ばいが続いている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲11.0から▲8.6、現在の資金繰りは▲17.8から▲15.0、3ヶ月先の業況見通しは1.8から▲1.4となり、いずれの指標ともマイナスとなった。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.5%増、同2.9%増。3ヶ月先の業況見通しDIは8.1から3.2となった。普通・小型乗用車の販売不振を受けて、輸送機械などでは生産額の減少が続いているが、一般機械では引き合いが活発化している。また、新築住宅着工の増加を受けて、木材・木製品では、生産額・受注額共に前年同月比増が続いている。さらに、主力の電気機械では、パソコン・携帯電話関連部品を中心に好調を持続しており、一部では増産のための設備投資の動きが現れている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比15.3%減、同11.4%減。3ヶ月先の業況見通しDIは3.1から25.0となった。公共事業の発注は端境期にあたるが、土木工事を中心として手持ち工事量も十分なところが多い。公共事業や一般住宅を主とする企業のうちには、年度後半の動向に不安を持つ企業もあるが、当面明るい見通しを持っている。一方、民間事業を主とする企業は、依然として厳しい状況が続いている。
 小売業では、売上額は前年同月比1.0%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲11.1から▲23.4となった。スーパーやディスカウントショップを中心に飲食料品の売上が伸びているほか、それ以外の業種でも品目により売上が増加に転じたものが散見される。ただし、先行きについては依然として厳しい見方をするものが多く、個人消費の本格的な回復には至っていない。
 有効求人倍率は、0.48倍と依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状態にある。

 県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業222社)

全業種 DI値の推移


電気機械の一部に増産のための設備投資の動き

1. 食料品
「概ね横ばいが続く」

 生産額は前年同月比4.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲5.6から▲16.7となった。
 酒造は、日本酒離れの傾向に変化がなく、生産額の減少が続いており、先行きも同様の見通しである。パン・菓子類では、個別にヒット商品を持つ企業は好調であるが、それ以外は、生産額・先行きの見通し共に概ね横ばいである。
 食肉加工では、個別商品毎に好不調があるものの、全体としては横ばいが続いている。

2.繊維・衣服
「生産額の減少が続くも先行きの見通しは好転」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比24.3%の減、同16.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは31.3から25.0となった。
 スポーツウェアでは、取引形態の変更や海外発注の影響等により生産額が大幅に減少している。紳士服では、依然として生産額の減少が続いているが、秋冬物の生産が立ち上がり、利益率の好転したところもある。婦人服では企業によりばらつきがあるものの、秋冬物の受注が好転しているところが出てきている。カジュアルウェアについては、当面の受注が充分なほか、先行きについても明るい見通しである。

3.木材・木製品
「製材、合板関係とも生産額増が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比23.7%の増、同24.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは25.0から15.0となった。
 合板は、生産額の対前年比増が続いているが、輸入合板が動き出したほか、流通在庫が増えていることから、先行きは微妙としている。一般製材やプレカット材、集成材等については、住宅着工の増加に伴って生産額の増加した企業が多く、先行き好転と見るところが多いが、銘柄等によりばらつきもある。

4.鉄鋼業
「水道管関係は生産額増加に転じる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.3%の減、同6.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から▲20.0となかった。
 水道管関係では、公共工事の増加を受けて、生産額は増加に転じた。一方で、鋳物関連では、依然として受注の増加要因となるものが見あたらず、厳しい状況が続いている。

5.金属製品
「公共事業関連は端境期に入り生産額減」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.8%の減、同20.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲20.0から▲10.0となった。
 橋りょう・鉄骨等公共事業関連では、端境期に入ったことから、生産額が減少した。アルミサッシ、シャッター等建具関連では、住宅関連は好調であるが、その他の民需は依然として低迷している。電気機器用品関連では、オフコン用筺体の需要が低迷しているが、携帯電話用品等はフル操業が続くものと見込んでいる。

6.一般機械
「生産額が前年同月比で21ヶ月ぶりに増加に転じる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.8%の増、同6.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは8.2から18.2となった。生産額が前年同月を上回ったのは21ヶ月ぶりである。
 一般産業機械では、木材機械や首都圏からの受注が好転したところがあるほか、受注増に至らないところでも、引き合いが活発化しており、先行きの見通しは好転してきている。

7.電気機械
「一部に増産のための設備投資の動き」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.6%の増、同6.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは3.6から0.0となった。
 液晶ディスプレイは、ノートパソコンやディスクトップパソコン向けの14〜15インチ大型モニターが引き続き好調で、今後も順調に推移するものと見られる。電子回路関係でも、パソコン関連機器用を中心に好調を持続しているほか、コンデンサ類やダイオード等もパソコン・携帯電話用を中心にフル稼働状態が続いているが、受注面では家電製品全体へ広がりが出てきている。こうした中で、これまで時間外や休日出勤で生産増に対応していた企業の中には、生産設備投資に踏み切るところも出てきている。
 また、光ファイバー関連部品の生産も活発化しており、先行きも受注が増加するものと見ている。一方で、CD-ROM関連部品は生産額の減少が続いており、先行きの見通しも厳しい。

8.輸送機械
「生産は低迷しているが、先行きに期待感」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.7%の減、同7.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは28.6で前月と変わらなかった。
 パワステポンプ関連は、取引メーカーの売上低迷から、生産減が続いているが、先行きは回復する見通しである。シート関連でも、生産が落ち込んでいるが、先行きでは、新型車に期待をしている。エンジン・ミッション関連では、軽自動車関連は好調であるものの、二輪の海外出荷部門の不振が続いており、概ね横這いが続いている。

9.精密機械
「はかり類は競争激化の中、好調を持続」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.0%の増、同9.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2と前月と変わらなかった。
 時計類は、生産量は伸びているものの、価格競争は厳しさが続いており、今後の見通しは不透明としている。はかり類は、ヒット商品の体脂肪計付き体重計がライバル企業の参入にもかかわらず、好調を持続している。光学レンズでは、消費者マインドの回復の期待感から受注が増加しており、先行き回復の兆しがある。一方で、携帯電話関連部品は、受注・生産共に好調だが、受注競争も厳しくなっている。


民需は依然低迷しているが、公共事業・一般住宅は好調

「民需は依然厳しいが、公共事業と一般住宅は好調」
 受注額、完工高は前年同月比15.3%の減、同11.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは3.1から25.0となった。
 受注額は前年同月を下回っているが、公共工事の発注が端境期に当たるためであり、先行きの受注に関しては期待を持っている。ただ、公共工事でも、高速道路関係を中心とした土木工事の受注は比較的多いが、建築工事の受注は少なくなっている。また、受注競争が厳しくなっており、公共工事を受注できたところとできなかったところとの明暗の差が大きくなっている。土木関係を中心に、手持ち工事量は十分なところが多いが、今年度後半の受注には懸念を抱いているところもある。また、一般住宅を中心とする企業は引き続き好調なところが多い。それ以外の民需中心の企業では、依然として受注が低迷しており、厳しい状況が続いている。


身回品で販売額が前年同月を上回る

1.衣料品
「婦人服に下げ止まりの動き」

 売上高は前年同月比13.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲37.5から▲43.8となった。
 紳士服は、対前年同月比で売上の減少が続いており、依然として厳しい状況が続いている。婦人服は、バーゲンセールの開催等により、前年並の売上を確保したところが多いが、先行きに関しては楽観できないとしている。呉服は積極的な外販等により売上を確保したところもあるものの、呉服に対する需要の低迷により先行き厳しい見方をしているところが多い。

2.身回品
「売上額が14ヶ月ぶりに前年同月を上回る」

 売上高は前年同月比1.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲16.7から▲8.3となった。 売上高が前年同月を上回ったのは14ヶ月ぶりである。
 日用雑貨では、堅調な売上を確保しているほか、今後の中元の需要期に期待を持っている。カバン類は催事の開催により売上を確保したところもあるが、先行きは依然として厳しいとしている。時計・貴金属では、宝石類の展示会で堅調な動きがあったものの、高額品を中心として時計類の動きは依然として鈍いとしている。

3.飲食料品
「食料品はスーパーを中心として好調」

 売上高は前年同月比4.5%増。3ケ月先の業況見通しDIは▲19.0から▲31.8となった。
 食料品は、スーパーでは、企画セールなどにより引き続き売上を伸ばしているが、先行きについては、競合店舗の新規出店の影響を懸念しているところが多い。酒類では、飲食店向けが日本酒を中心に売上減少が続いているほか、個人向けではディスカウントショップなどに客足をとられ、売上が低迷しているところが多いが、イベントの開催により、ワインやウイスキーの売上を確保しているところもある。一方で、ディスカウントショップでは堅調に推移している。菓子類は、6月は結婚式向けの贈答品が主力となるが、引出物に和菓子を使うケースが少なくなってきており、売上減少要因となっている。

4.家電品
「エアコンに動きが出ている」

 売上高は前年同月比4.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは35.7から0.0となった。
 家電品は、携帯電話やパソコン関連が好調であったほか、大型エアコンや大型冷蔵庫等に動きが出ている。先行きについては、夏場の好天によるエアコンの売上に期待を寄せている。一方で、家電製品のメンテナンス依頼も多くなっている。

■県内経済動向調査集計結果6月■

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