県内経済の動向


■ 7 月 概 況 ■


 県内経済は、製造業では、主力の電気機械でパソコン・携帯電話関連部品を中心に好調を持続しており、一部には増産のための設備投資の動きが出ている。また全国的な住宅着工の増加を受けて、木材・木製品も生産額の増が続いており、一般機械も、生産・受注共に好転している。一方、繊維・衣服や、輸送機械などでは生産額の減少が続いている。建設業では、土木工事を中心とする公共事業の受注は好調である反面、民間事業は低迷が続いている。小売業では、飲食料品の売上は堅調であるが、それ以外の業種では、夏物商品を中心に動きがあったものの、全体の売上増には至っていない。県内経済は、生産面でこれまで厳しい状況が続いていた業種においても回復の兆しが見られるものの、個人消費においては本格的な回復を感じさせるまでには至っておらず、全体として横ばいが続いている。
 全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は▲8.6から6.9、現在の資金繰りは▲15.0から▲12.4、3ヶ月先の業況見通しは▲1.4から▲6.4となった。3ヶ月前との業況比較でプラスになったのは、24ヶ月ぶりである。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.9%増、同6.6%増。3ヶ月先の業況見通しDIは3.2から▲0.8となった。普通・小型乗用車の販売不振を受けて、輸送機械などでは生産額の減少が続いているが、一般機械では受注が好転し、生産額も増加している。また、新築住宅着工の増加を受けて、木材・木製品では、生産額・受注額共に前年同月比増が続いている。さらに、主力の電気機械では、パソコン・携帯電話関連部品を中心に好調を持続しており、一部では夏休みの短縮・連続操業や増産投資の動きが出ている。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比11.3%増、同13.5%増。3ヶ月先の業況見通しDIは25.0から6.3となった。公共事業の受注が増えているほか、土木工事を中心として手持ち工事量も十分なところが多い。ただし、公共事業を主とする企業のうちには、年度後半の発注動向に不安を持つ企業もあるが、当面明るい見通しを持っている。一方、民間事業は依然として物件が少ない中、受注競争が厳しい状況となっている。
 小売業では、売上額は前年同月比0.2%増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲23.4で前月と変わらなかった。スーパーを中心に飲食料品の売上は伸びている。また、月後半からの猛暑により、夏物衣料品やエアコン等で動きが見られたものの、全体的な売上増までには至っていない。エアコン等の動きについては一時的なものとする見方が多く、個人消費の本格的な回復には至っていない。
 有効求人倍率は、0.48倍と依然低水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状態にある。

 県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業222社)

全業種 DI値の推移


一般機械で、生産・受注が好転

1. 食料品
「生産額は微減」

 生産額は前年同月比4.6%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲16.7から▲27.8となった。
 酒造は、日本酒離れの傾向に変化がない他、贈答品需要も盛り上がらず、生産額の減少が続いている。パン・菓子類では、個別商品の好不調により明暗が分かれている。食肉加工では、個別商品毎に好不調がある他、中元受注が伸び悩み、生産額は減少した。うどん類でも中元物の動きが悪く、前年を下回っている。

2.繊維・衣服
「秋冬物の受注に期待」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比18.7%の減、同13.0%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは25.0から0.0となった。
 スポーツウェアでは、海外発注の影響等により生産額が大幅に減少している。紳士服では、依然として生産額の減少が続いているが、秋冬物の生産が本格化し、利益率の好転したところもある。婦人服では、猛暑により夏物のスポット受注が見られた他、秋冬物に関しては受注が好転するものと期待している。カジュアルウェアについては、当面の受注が充分なほか、先行きについても明るい見通しである。

3.木材・木製品
「製材、合板関係とも生産額増が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比31.0%の増、同48.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは15.0から5.3となった。
 合板は、生産額の対前年比増が続いているが、コンクリートパネル等は好調なものの、ハードボード等は低迷しており、先行きは微妙としている。一般製材やプレカット材、集成材等については、住宅着工の増加に伴って生産・受注が増加している。

4.鉄鋼業
「水道管関係は生産額が増加」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.3%の減、同2.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDI▲20.0で前月と変化なかった。
 水道管関係では、公共工事の好調を受けて、生産額は増加した。一方で、鋳物関連では、依然として受注の増加要因となるものが見あたらず、厳しい状況が続いている。

5.金属製品
「公共事業関連で生産額減が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.3%の減、同20.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲10.0から0.0となった。
 橋りょう・鉄骨等公共事業関連では、生産額の減が続いているが、受注は改善している。アルミサッシ、シャッター等建具関連では、民需が依然として低迷しており、厳しい状況となっている。電気機器用品関連では、オフコン用筺体の受注が低迷しているが、携帯電話用品等はフル操業が続くものと見込んでいる。

6.一般機械
「先月に引き続き生産額が増加」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.4%の増、同9.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは18.2から9.1となった。
 一般産業機械では、工場新設に伴って木材機械の生産が増えた他、首都圏からの引き合い・受注が好転したことにより、生産額が増えているが、一方で、依然として厳しい状況のところもある。

7.電気機械
「依然として好調が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.1%の増、同3.4%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から14.8となった。
 液晶ディスプレイは、ノートパソコンやディスクトップパソコン向けの14〜15インチ大型モニターが引き続き好調で、今後も順調に推移するものと見られる。電子回路関係でも、パソコン関連機器用を中心に好調を持続しているほか、コンデンサ類やダイオード等もパソコン・携帯電話用を中心にフル稼働状態が続いているが、受注面では家電製品全体へ広がりが出てきている。これに対応して、連続操業や夏休みの短縮を予定している企業がある他、生産設備投資を予定するところもある。また、光ファイバー関連部品の生産も活発化しており、先行きも受注が増加するものと見ている。

8.輸送機械
「生産は低迷しているが、先行きに期待感」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.8%の減、同0.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは28.6で前月と変わらなかった。
 パワステポンプ関連では、生産調整が一段落し、前年並みの生産水準となっている。シート関連では、依然として生産が落ち込んでいるが、先行きでは新型車に期待をしている。エンジン・ミッション関連では、概ね横這いが続いている。

9.精密機械
「はかり類は競争激化の中、好調を持続」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比19.7%の増、同24.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは▲22.2から▲33.3となった。
 時計類は、生産量は伸びているものの、価格競争は厳しさが続いており、今後の見通しは不透明としている。はかり類は、ヒット商品の体脂肪計付き体重計がライバル企業の参入にもかかわらず、好調を持続している。光学レンズでは、景気回復の期待感から受注が増加しており、先行き回復の兆しがある他、携帯電話関連部品は、受注・生産共に好調である。


民需は依然低迷しているが、公共事業は好調

「民需は依然厳しいが、公共事業好調」
 受注額、完工高は前年同月比11.3%の増、同13.5%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは25.0から6.3となった。
 新年度の公共工事の発注が出てきたこともあり、受注額は前年を上回った。ただ、公共工事でも、高速道路関係を中心とした土木工事の受注は比較的多いが、建築工事の受注は少なくなっている。また、受注競争が厳しくなっており、公共工事を受注できたところとできなかったところとの明暗の差が大きくなっている。土木関係を中心に、手持ち工事量は十分なところが多いが、今年度後半の受注には懸念を抱いているところもある。また、一般住宅を中心とする企業の中には、春先に比べて動きが鈍くなったと指摘するところもある。それ以外の民需では、依然として物件が少ない中、受注競争が厳しくなっている。


エアコン等夏物商品は好調

1.衣料品
「婦人服で夏物衣料に動きがあった」

 売上高は前年同月比8.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲43.8から▲18.8となった。
 紳士服は、売上の減少が続いており、依然として厳しい状況が続いている。婦人服は、好天に恵まれたため夏物に動きが見られ、前年を上回る売上を確保したところもある。呉服は展示会の開催等により売上を確保したところもあるものの、呉服に対する需要の低迷により先行き厳しい見方をしているところが多い。

2.身回品
「売上額が再び前年同月を下回る」

 売上高は前年同月比3.4%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは▲8.3から▲25.0となった。
 日用雑貨では、好天により、夏物商品の売れ行きが好調であったが、客単価が低下傾向にあり、売上額は前年並みであった。カバン類は依然として売上額の減少が続いており、先行きも不透明である。時計・貴金属も、高額品を中心として時計類の動きが依然として鈍いとしている。

3.飲食料品
「食料品はスーパーを中心として堅調」

 売上高は前年同月比3.1%増。3ケ月先の業況見通しDIは▲31.8で前月と変わらなかった。
 食料品は、スーパーでは、月後半の猛暑により生鮮品の売上が減ったが、ビールやジュース等の売上増でカバーし、引き続き売上を伸ばしているところが多い。酒類では、飲食店向けが日本酒を中心に売上減少が続いているほか、個人向けではディスカウントショップなどに客足をとられ、売上が低迷しているところが多い。菓子類では、月後半の猛暑により、和菓子類の売上が落ち込んでいる。

4.家電品
「月後半の猛暑によりエアコンは好調」

 売上高は前年同月比5.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から▲14.3となった。
 家電品は、携帯電話やパソコン関連が引き続き好調であったほか、月後半の猛暑により、エアコンや冷蔵庫等の売れ行きが好調であったものの、テレビ等の売上が減少し、売上額合計ではやや減少となった。しかし、現金売上が多かったこともあり、資金繰りは好転している。

■県内経済動向調査集計結果7月■

バックナンバー集へ戻る