能代市の白神手づくり工房が、白神山地から採取した乳酸菌を使い、保存期間を延長した生うどんの開発に成功した。
「白神生うどん」と名づけられた商品は、秋田県総合食品研究所が白神山地の腐葉土から発見した乳酸菌「作々楽」を加えて乳酸発酵させた甘酒を、うどんの生地に練り込むことで作々楽の抗菌効果により日持ちを高め、従来1週間程度であった賞味期限を約3倍の20日程度まで延長させたものである。また、作々楽がうどんのコシを左右するグルテンと呼ばれる成分に作用し、コシが強くのど越しが良い麺に仕上がったという。さらに、高血圧抑制効果があるとされるギャバ(γ−アミノ酪酸)を多く含む「ギャバ水」も生地に加え、健康面にも配慮した商品が完成した。
同社が秋田県総合食品研究所と白神乳酸菌活用の共同研究に着手したのは、秋田の本格発酵させた美味しい漬物を多くの人に食べてもらいたいというところから始まっている。微生物を利用して食品の保存性を高める技術「バイオブリザベーション」を知った柴野社長は、「この乳酸菌を使えば保存料、合成着色料、化学調味料を使わずに秋田の本物の味を全国に届けられるのでは」と考え共同研究を開始した。当初は品質が安定せず、何度も実験を繰り返し試行錯誤を重ね、昨年ようやく保存料無しで20日間ほど保存で
きる浅漬け漬物(大根なた漬けほか10種類)が完成した。研究開発には、当財団で実施している経営改革総合支援事業(フェニックスプラン21)を活用、「完成には多くの費用と時間を要しただけに、この補助事業で採択されなければ商品化できなかったのではないか」と柴野社長は完成までの日々を振り返る。
生うどんの開発に成功した同社では、現在、そばとラーメンの商品化に向けた準備も進めており、今年中に発売を予定している。
柴野社長は、白神の自然の恵みを活かした食品添加物のない商品を全国展開したいという強い思いで、さらなる商品開発に精力的に取り組
んでいる。
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