このコーナーでは、積極的な経営展開を図り市場から評価を得ている企業や、商業者の新たな取り組み、アントレプレナー(起業家)の挑戦などを紹介します。

有限会社アキタドリームサービス
有限会社アキタドリームサービス  平成13年10月、長引くIT不況の中、勤めていた会社から人員の削減が発表された。削減リストの中に菊地氏の名前があった。同じくリストに名前があった仲間は頭を抱えた。菊地氏にとっても、人生最大の試練であった。同時に、頭の中でつぶやいた。「ピンチはチャンスなのだ。」
 かねてから思い描いていたビジネスプランを引っさげて独立開業を決意した。新しい形の電子部品製造請負業。それは、製造工場を持たず、発注企業の工場に自社の社員を出前して製造作業を行うことにより、請負額を低く抑えるやり方である。電子部品製造業界は、技術正社員の採用を見送り、組立部門は外注する傾向にあった。時代の流れとこの新たな製造請負の仕組みが見事にマッチし、平成14年3月の創業から年商数億の企業に急成長したのである。
有限会社アキタドリームサービス 自分も含めて社員4名で開業した。「やるからには徹底的にやろう。成功したと自信を持って言えるまでは絶対にあきらめない。」このような気持ちで打ち立てた経営理念が「肝・感・貫」の3カン主義。「肝に銘じ、感性を研ぎ澄ませ、最後まで意志を貫き通す。」という意味だそうだ。
 とは言うものの、創業時は不安でたまらなかったと言う。「独立したのは良いが、仕事がなかったらどうしようか、はたして自分の給料、ましてや社員の給料を稼げるのだろうか。サラリーマンをやっていた方がよかったのではないか。ちょうど息子が大学に入学したばかりの時期で、夜も眠れませんでした。」
有限会社アキタドリームサービス  また、サラリーマン時代は、むしろ県内屈指の企業の製造部門課長として頭を下げられることが多かったが、独立してからは立場が180度逆転、社員とともに手作りの会社案内を携えて県内300社に頭を下げ続けて営業を行ったという。
 今や200人近くの契約社員を抱え、近々大曲に支社を立ち上げる予定の若さあふれる有望企業である。
 「サラリーマン時代は、良くも悪くも『受け身』。独立してからは、自ら行動する『攻め』の姿勢が備わった。『自分の会社だ』という愛着も湧き、頑張れば頑張るほど見返りがある。創業して本当に良かった。」ピンチをチャンスに変えた菊地社長の、創業時の目標を達成した安堵感と満足感が混じった柔らかな笑顔が印象的である。

株式会社北勢工業
株式会社北勢工業  年間5,000万tものごみが排出されている今日、ごみ処理対策は大きな社会問題となっている。そんな中、秋田市にある株式会社北勢工業は、家庭や事業所などから排出される生ごみの再資源化事業に取り組んでいる。
 もともと同社は給排水・冷暖房設備の設計・施工、下水道施設等の維持・管理などを中心に業務展開し実績を上げてきたが、近年の公共事業の削減などから新たな分野への進出を模索していた。そのとき出会ったのが生ごみを堆肥化させる『KANシステム』だった。
株式会社北勢工業 このシステムは、内城菌(うちしろきん)と呼ばれる複数の好気性・耐熱性の微生物を利用した生ごみ処理・肥料製造機で、水産加工廃棄物や食品加工廃棄物などの食品残さに内城菌を投入し、この菌が持つ耐熱性を生かし高温で発酵・乾燥させ生ごみを堆肥化させる。製品は、高温乾燥処理されているため水分率が15%以下と低く粗粉状となっているため、長期保存が可能であるとともに悪臭を発生することもない。さらに製品に含まれている内城菌が、土中の有益なバクテリア等に作用し、農産物の生育促進や品質向上に大きな効果を発揮する。中でも最大の特徴は、“自然から生まれたものを自然に帰す”という循環が確立されていること。株式会社北勢工業「本業以外は全くの素人。失敗もしたが農業県秋田の将来を考えたとき、大きなビジネスチャンスであると同時に、食の安全・農業の持続的発展・環境負荷を考えると、有機資源リサイクルによる資源循環を構築することが重要。」そのためには、「ひとりひとりの意識改革から」という太田代表。ごみ問題に無関心な消費者が多い中、太田社長の想いはまず社員の意識を変化させ、今ではバイオ事業部を設置し同システムの販売とともに、内城菌利用の研究を行うまでに至った。平成15年には、平鹿郡山内村に同システムを納入し有機性資源の循環利用に貢献している。
 「地域から出た生ごみを地域で再資源化し、地域全体で利用する、生ごみの地産地消を目指したい」という同社は“技は商いなり”(社是)を胸に、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会から将来の循環型社会形成に向け日々まい進している。

手造り工房しらたき
手造り工房しらたき  去る4月、自然にあふれた東成瀬村に岩魚を加工販売する『手造り工房しらたき』が設立された。当社が販売している製品は、「清流の贈り物」と題した岩魚加工品4種。いずれも代表である菊地さんが精魂込めて作った逸品である。
 菊地さんの夫はもともと岩魚の養殖業を営んでおり、その岩魚を使った料理を作って知人などへ配ったりしていた。開業のきっかけは、岩魚料理が大変好評で製品化したいという思いがあったこともあるが、最近の子供たちの魚離れに危機感を抱いたことが大きく、「何とかしたい」という思いが、菊地さんに当社の開業を決意させ、県の平成16年度創業支援補助金の採択へとつながり開業となった。
 メインの商品は、“岩魚のモダン焼き”と“岩魚の開き”である。モダン焼きは、醤油味と酢味の2種。醤油味は、25cm程の岩魚が2匹と15cm程の岩魚が4匹入った2種、酢味は25cm程の岩魚2匹入った1種である。いずれも真空パック製品である。また、岩魚の開きは、20cm程の開きが2枚入ったパック製品1種となっている。
 モダン焼きは、骨ごと頭から食べることができ、子供も安心して食べられる。また酢味はさっぱり感のある味で、なかなか美味しい味に仕上がっている。岩魚の開きは、麹仕込みなので炙り過ぎには気を付けた方が良いとのこと。塩分控えめでちょうど良い塩梅に仕上がっている。
 加工にはコレステロールなど含まない油を使用し、甘味には主にハチミツ・水あめ・パイナップル果汁液などを使用している。また、開きは“寒麹”に漬け半干しにしており、軽く焼いて岩魚酒なども楽しめる。全製品ともに防腐剤・化学調味料・着色料などは一切使用しておらず、体に良いものだけを使用するよう心がけている。子供のみならず大人のおつまみとしても好評を博している。
 菊地さんは「これからも、東成瀬の清流で精魂込めて育てた岩魚で、体に良いものを使用した加工品を提供し、新たな特産物としても認知していただければと思っています。また、来年に向けても新製品を開発しようと勉強中で、非常に楽しいですね。」と満面の笑みで熱く語った。是非一度ご賞味してみることをオススメする。
手造り工房しらたき



※当製品は、栗駒山荘・秋田市アトリオン・横手市ふるさと村・道の駅さんない等で取扱っております。FAXでの地方発送も承け賜わります。


キッズマート大曲店
キッズマート大曲店  今年7月、大仙市戸蒔の国道13号線沿いに、子供用品専門のリサイクルショップ『キッズマート大曲店』がオープンした。ベビー〜150cm位までの洋服や玩具など子供用品なら何でも揃っており、ベビーカーやチャイルドシート、ドレスなどはレンタルもできる。また、買取りも、一品一品をきちんと見て評価してくれるということで、「お金のかかる子育て中にはありがたい」と、お父さんやお母さんの間で評判を呼んでいる。
キッズマート大曲店  横手市で薬局を営む大和さんがキッズマート開店を思い立ったのは、「子供が大きくなり、着られなくなった服の処分に困る。」「汚すのでたくさん必要だが、高くてなかなか買えない。」など、薬局のお客さんの声を耳にしたことがきっかけだった。押入れの奥に眠っている服を処分したい人がいる一方で、安くたくさん購入したい人がいる。「リサイクルショップなら、お互いのニーズを満たせるのでは?」と思いつき、早速リサイクルショップについて調べた。そして最終的に、経営ポリシーに共鳴し、基本的なことを除けば個々店の裁量でやらせてくれるキッズマートグループでの開業を決めた。
 当店は“清潔感”を大事にするため、買い取ったものを必ずクリーニングしてから店頭に並べる。服は毛玉取りの後に抗菌加工剤を使用してクリーニングをし、アイロンで仕上げたらビニールコーティングをする。また、用品・玩具は作動と傷・汚れ等を確認し、洗剤で前処理した後に修復加工し、ビニールコーティングをする。新品と見紛うばかりの商品は、どれも安心して子供に与えられる感じがする。
 循環型社会が叫ばれる中、今後更に伸びが期待されるリサイクル業界。そこに身を置き、環境保護や資源の有効利用という形で社会貢献できる喜びを実感するとともに、低価格販売による育児支援という形で地域のために一役買える喜びも日に日に強く感じていると語る大和さん。当店ではHPを開設しており、今後はネット販売にも力を注ぎつつ、多店舗展開も視野に入れて活動していくとのこと。これからが楽しみである。
キッズマート大曲店 キッズマート大曲店