このコーナーでは、積極的な経営展開を図り市場から評価を得ている企業や、商業者の新たな取り組み、アントレプレナー(起業家)の挑戦などを紹介します。

有限会社トリトンハウス
有限会社トリトンハウス  パソコンで作業中に、トラブルや操作方法など問題が発生した際、販売先に連絡をしたものの電話では中々内容を伝えにくく、担当者が現地へ行って見ると「何だ、そんな簡単なことだったの」と、ものの数分で解決、呼ぶまでもなかったという経験は多くのパソコンユーザーがお持ちだろう。そんなちょっとした問題をインターネット上でいち早くサポートしてくれるのが、トリトンハウスの「パソコン遠隔サポートシステム」だ。
 このシステムは、システムに参加したユーザーがトラブルやソフト使用で疑問が生じた際にインターネット上で質問を受け、その質問に専門家が答え問題を解決しようというものだ。指導をしてくれるのは、当社で募集し登録されたその道のプロ(サポーター)で、現在、県内外の20名ほどが登録しているという。
 指導を受けた顧客に、指導について評価(アンケート)をしてもらい、サポーターの評価結果が公表されるので、サポーターにとっては評価が高ければ、顧客からの信頼も得られ仕事は増える、それだけにいい加減な指導はできないというシステムになっている。  現在、参加者、サポーターとも募集中だ。
(ホームページ http://web.tonet.ne.jp/e-support/index.htm)
有限会社トリトンハウス また、現在はWindowsのみのサポートだが、今後MacやLinuxへの対応も準備中とのことである。
 このほか、「図書管理システム」と「運転代行管理システム」の販売も行っている。「図書管理システム」は学校図書の貸出しや返却管理を簡単に処理できるもので、大型の図書システムは費用も嵩むが、同社の開発したソフトでは50万円程度の費用で導入可能という。「運転代行管理システム」は、事務処理のOA化に加え、顧客満足度を高めるため車両の空く時間がひと目で確認でき顧客に到着までの時間を伝えることを可能にしたほか、顧客の自宅が地図検索でき、酔い客をスムーズに目的地まで送り届けるよう工夫を加えている。
有限会社トリトンハウス これらのシステムは、平成17年11月22日(火)13時から秋田ビューホテルで開催される「あきたソフト産業展2005」に出展される。興味がある方は是非ご来場ください。

アスク 秋田シニアスポーツクラブ
アスク 秋田シニアスポーツクラブ  中高年の方や障害を持つ方を対象としたスポーツクラブがこの10月に秋田市山王新町に誕生した。
 オープンの日に訪れてみると、60m2 ほどの広さのトレーニングスタジオで太極拳教室が行われており、インストラクターの指導の下、利用者はそれぞれのペースで太極拳を楽しんでいる。スタジオの前方で指導するインストラクターが、このクラブの経営者福田弘子さんである。
 福田さんは、かつて自ら体調を崩したときに、健康のために始めた太極拳のすばらしさに気付き、指導員の資格を持つまでにのめり込んだ。「太極拳の先輩たちには元気な高齢者が多かった」と語る。そして、「足腰が弱ってから急に老け込んだ母親に早くから太極拳を教えてあげれば良かった。」という気持ちが、高齢者や健康弱者への積極的な運動参加を勧めるきっかけとなったのだと言う。「はじめは小さな太極拳教室をイメージしていたんです。ただし、他の教室とは違う何か付加価値を付けた形で。」
 その形の輪郭がボンヤリと見えてきたのは、スノーボード事故に遭った長男に障害が残るかも知れないと不安を感じた時期であったと言う。「とにかく大変でした。障害と闘う側とそれを応援する側の両方の気持ちが分かるようになり、健康であることのありがたさが痛いほど分かりました。」
アスク 秋田シニアスポーツクラブ コンセプトは「やさしさといたわり」に決定した。もともと太極拳教室立ち上げのアイデアを下地にしていたので、コンセプト決定後の作業は驚くほど順調だったそうだ。「『これだ』と思ってからは、知り合いに『事業立ち上げ宣言』を行い、後戻りできない状況を自分で作りました。退路を断つと人間は何でもやれるんですよ。後はもう、まるでこれが私に課せられた運命であるかのように、見えない何かに背中を押される感じでした。」
 利用者の健康を充分に考慮し、太極拳を中心に様々なエクササイズメニューを取りそろえている。しかも、同じ建物内に鍼灸院を併設したところが非常に独創的なアイデアであり、人気の秘密である。「スポーツクラブと鍼灸院は、それぞれが『やさしさといたわり』というコンセプトの上に成り立っています。お互いにちょっと手助けし合うだけでその効果は倍増すると思ったのです。また、利用者が、どちらかに興味を持って訪れてもらえれば、それぞれもう一方も利用していただける期待感があります。相乗効果ですか?狙ってます。」福田さんは屈託なく笑う。
アスク 秋田シニアスポーツクラブ  「『Yes, I can.』私の好きな言葉です。やればできる。あとは勇気。勇気は持っているだけではダメ。勇気は出すもの。」凛として話す福田さんの振る舞いは、すでに経営者のそれである一方で、実際の年齢を疑いたくなるほど瑞々しく若々しい。

株式会社 スカイライト・バイオテック
株式会社 スカイライト・バイオテック  経済産業省によると、大学の研究開発成果をもとにビジネスを展開する企業(大学発ベンチャー企業)は、平成16年度末時点で1,099社とされ、13年に『大学発ベンチャー1000社計画』が発表されてわずか3年余りで目標を超えるベンチャー企業が設立された。このような中、秋田市に本社を置く株式会社スカイライト・バイオテックも、県内外の大学発技術をビジネスに結びつけるベンチャー企業として14年に設立された。
 同社は、近年急激に増加している心疾患、脳血管疾患、動脈硬化などの危険因子とされている脂質(コレステロール・中性脂肪)の解析受託サービスをメーンに事業を展開している。このサービスは、血液中の脂質を運搬する「リポタンパク質」の解析を行うもので、首都圏の大学の技術を活用したものだ。特徴は、10μlという微量・低濃度の血清サンプルでの測定が可能なため、実験用小動物などへの負担が少なく、貴重な検体を生かしたまま経時変化も調べることができる。また、従来の技術では測定が難しかった、小型・低比重リポタンパク質(小型LDL、最近は「超悪玉コレステロール」ともいわれている)についても、粒子サイズまで測定可能な同社の技術により正確に測定できる画期的なサービスである。
 このほか、秋田県立大・小西智一講師の技術を利用したDNAチップ解析データの標準化を通じて遺伝子解析研究の質を高めるサービスや、同大学の山本好和教授が所有している約500種にも及ぶ地衣類(藻類と菌類の共生生物でその抽出物は古くから抗菌作用や保湿効果などがうたわれている)ライブラリーと培養技術を利用して、創薬・化粧品分野での新規化合物スクリーニング用地衣抽出物提供サービスも行っている。
 現在、同社のサービスは、主に基礎研究領域で利用され好評を得ているが、「将来は臨床応用領域に照準を合わせ事業拡大を図りたい。」と中嶋社長は今後の抱負を語る。
 平成16年には、ライフサイエンス分野における大学発の有望なシーズに投資する「あきたアカデミーベンチャーファンド」から投資を受けるなど、その技術・サービスについては高い評価を得ており、同社のさらなる飛躍に期待したい。
株式会社 スカイライト・バイオテック 株式会社 スカイライト・バイオテック

有限会社ムジカ・フローラ
有限会社ムジカ・フローラ  最近、吹奏楽をテーマにしたTV番組や映画が人気となっている。吹奏楽といえば、小中高校での部活動をイメージされる方も多いと思うが、近年、社会人吹奏楽団も増加しており、その人気はますます高まっている反面、演奏する曲の選曲など指導者にとって様々な苦労が絶えない状況でもある。そこで代表である小林さんは、長年積み重ねた経験を活かそうと、鹿角市に吹奏楽用レンタル楽譜を扱う「有限会社ムジカ・フローラ」を平成15年12月に設立した。
有限会社ムジカ・フローラ  そもそも小林さんは、花輪高校や秋田南高校で吹奏楽部の指揮・指導を行っており、吹奏楽の甲子園ともいえる、東京都・普門館で開催される『全日本吹奏楽コンクール』に通算15回出場し、全日本吹奏楽連盟より『永年出場表彰』を受けており、キャリアと指導能力は全国トップレベルである。
 このように、これまで様々な経験を積んできた小林さんは、「コンクールで演奏する曲は、上位を狙いたい思いから高度な演奏技術はもとより、豊かな表現力を必要とする曲が選曲されやすい」という。豊かな表現力を引き出すためには指導も当然のことながら、実績に裏打ちされた確かな経験が求められる。
有限会社ムジカ・フローラ  当社の扱う楽譜は小林さん自ら編曲した作品がメインとなっており、演奏者のみならず指導者のニーズをしっかりと捉えているものと言えよう。
 また、当社のホームページ上で取り扱う曲の一部分を試聴可能とし、製本されたカタログにも試聴用CD-ROMを添付しているが、編曲された曲を直に聴いて欲しいという思いと吹奏楽の楽しさ、音楽の素晴らしさを体験して欲しいとの思いから、『ノーザン・ウインドアンサンブル』を結成し、本年4月には盛岡でコンサートを開催した。もちろん編曲・指揮は小林さんも行い、今後も毎年春に開催される予定とのこと。「今後は、コンクール出場にとらわれない、演奏することが楽しいと感じられる曲も増やしていきたいですね。」と熱い眼差しで語る小林さん。
 秋田の地から全国に音楽の花の種を提供するムジカ・フローラ。近い将来、吹奏楽の世界に多くの花を咲かせることになるだろう。