鋳造用木型の製作を行う池田木型が、県内の鋳造用木型製造業では初めて3次元CAD、マシニングセンタを導入、これまでの熟練の技に新たな力を加え業績拡大を目指している。
設備導入計画は、長男で専務の直人さんが進めてきた。直人さんは大学卒業後、ダイキャスト鋳造や金型関連の会社に6年間勤務、数年前に後継者として家業に従事するようになった。子供の頃から父親の熟練の技に興味を持ち、高校の頃からNC機械など加工技術の進歩に触れ、何れは自分の手で金型を作りたいと思ってきた、その思いを実現させるべく、手作業の技を習得しながら工業技術センターで新しい設備導入のための研修を受けるなどして着々と導入準備を進め実現させたものである。
設備の導入で、加工精度や加工効率向上が図れるほか、最近増加しているウレタン系の素材、ケミカルウッドによる木型作成も可能となったという。また、プログラムされたデータの蓄積が可能になり、手作業では一品加工で同じような注文であっても同様の作業を行わなければならないが、形状が近ければ応用して短時間で加工プログラムを作成することができるなど、データを加工することで作業時間や工数・納期の短縮、コストダウンにつながるなどのメリットが期待できるという。
木型は、自動車や機械、電機産業など様々な産業で使用する部品や製品の模型として、ものづくり現場に欠かせない存在である。部品や製品が要求する厳しい寸法や精度、表面の平滑性などのほか、鋳造用木型においては、砂型に溶湯を流し込み、型を外して製品を取り出す作業などを想定して木型を作るため、単に寸法どおりに仕上げれば良いというものではなく、パズルのようにいくつもの組み合わせになったりもする。
形状が複雑になればなるほど中子と呼ばれる中空部分を形成する補助木型が必要になるなど、製品の図面とは違う部分に気を使わなければならない特殊な世界であり、経験と熟練の技が重要な要素となっている。それだけにハイテク設備を導入したから何でも出来るというわけではない。
直人さんは「今でも複雑な加工形状に加え、どこにどのように中子を組めば良いのか、型を外した時のことを考えると社長に聞かないとわからない部分がたくさんある」と、社長の知直さんの熟練の技を実感しながら充実した試行錯誤を繰り返している。
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