株式会社シグマソリューションズ

株式会社シグマソリューションズ

 医療技術の高度化・情報化の進展、高齢社会の到来は、医療費の増加など医療を取り巻く情勢を急激に変化・複雑化させている一方で、医療関係者のさらなる専門性を要求している。平成13年、国は「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を策定し、将来の医療のあるべき姿を明確にした。このような中、秋田市にある株式会社シグマソリューションズは、医療業界におけるIT化に貢献するシステム開発を数多く手がけ、地域医療の将来を築く企業として、その存在をアピールしている。今回は、同社の代表取締役社長 菊地定夫氏にお話をうかがった。


信頼の経営が、地域医療に貢献する。 代表取締役社長 菊地 定夫

代表取締役社長
菊地 定夫


■ 役員と社員が共通の価値観を持つ
 「経営とは何か。それは、当たり前のことを、当たり前にやること」株式会社シグマソリューションズ代表取締役社長菊地定夫氏は、自らの考えをこう語る。同社は昭和56年、千秋薬品株式会社の医療用コンピューター販売部門を母体として設立され、以来、病院・診療所・歯科医院・調剤薬局向けのシステム開発を数多く手がけてきた業界の老舗だ。平成13年には千秋薬品から独立し、現在、売上高26億4,399万円(17年3月期)、当期利益1億3,288万円(17年3月期)を計上するまでに成長した。「会社はだれのために、何のために存在しているのかという問題意識を持ち、役員・社員が共通の価値観を持つことができる環境がなければ、安定した経営を実現することはできない」。

『透明性と倫理を備えた一流の経営』
 ー誇りを持って取り組める、社会に貢献する事業を行う会社

『社員が素晴らしい人生を築くための場である会社』
 ー御客様に「当社は社員を大切にしています」と言える会社

『人格とスキルの両面において素晴らしい役職員』
 ー質の高い人材をつくる社風、研修、自己研鑽のある会社


■ 効率性の追求、シグマソリューションズ のシステムには、その答えがある。
 同社が販売しているシステムパッケージのひとつに、高い品質と効率性を誇る調剤薬局情報システム「パナシア」がある。これは、患者登録・処方箋入力から服薬指導、薬局での会計業務、さらには調剤機器、電子薬歴システム、処方箋監査システムとの連携までをトータルにサポートするシステムだ。そして、患者・医師・薬局それぞれの安全性と利便性を追求した工夫が随所に見られることが最大の特長ではないだろうか。例えば、医療機関から発行される「2次元コード付処方箋」を薬局側で読込む技術とその運用を独自に開発した。これにより、今までのキーボード入力の際に発生していた入力ミスや処方箋の偽造・改ざんによる違法行為の防止に大きな効果が得られるようになったほか、薬局側の入力処理がコード読み取りだけで済むことから、処理時間が大幅に短縮され、人件費等のコスト削減が図られる一方、患者側の待ち時間も短縮されるため、処方する側、される側双方にメリットを生み出している。また、服薬指導は「患者の同意に基づいて行うこと」という平成12年4月以降の基準を遵守し、服薬指導料は、薬剤師の指導の有無に応じて算定できる(随時算定)機能も備えている。さらに、一度聞いただけでは覚えにくい処方薬の種類、服用方法、注意点など、薬剤情報提供紙に薬の写真を付けて出力することも可能となっており、服用の際の精神的な安全・安心も提供している。国内に数多くある調剤薬局システムの中で、これらの機能を備えたシステムを開発・実現したのは同社が初めてであり、今日では医療業界の標準的機能となっている。
株式会社シグマソリューションズ  「パナシア」に代表されるように、同社のシステムには、独自の経験・ノウハウ、経営思想が結集されている。すなわち、医療向けシステム開発企業の多くが、専門性を追求するあまり病院・診療所あるいは調剤薬局のいずれかに焦点を当てて開発されたものであるのに対し、同社のシステムは、その両方の分野を長年にわたり手がけ、実績を上げてきた同社ならではの思想から生まれている。「当社のように病院・診療所、薬局の双方のシステムを手掛けている企業は全国でも珍しい。だからこそ差別化された商品開発が可能なのです」と自信の一端をうかがわせる。

■ 十をもって、一を攻める
 「社員の幸福、顧客の信頼、そして地域社会への貢献のために企業は存在する。そのためには、メディカルパートナーとしての使命感を持ち続けることが何よりも重要」と菊地社長は語る。複雑・多様化する顧客ニーズを吸収し、信頼を勝ち得るためにはどうすればいいのか。同社が出した答えは、単にソフト開発や販売にとどまらず、社員のスキルアップを図り、ハードメンテナンスも含めた一貫したサポート体制を確立することだった。そして、「社員の幸福追求」という姿勢は、同社が平成16年に作成・公表したCSR(企業の社会的責任)に関するレポートにおいて鮮明に映し出されている。「株主、債権者など多くのステークホルダーが存在する中、最優先のステークホルダーは社員。その社員の幸福を達成するために、顧客ニーズの吸収・信頼の経営が求められるのです」。
 全国で最も医薬分業が進んでいる秋田県での「パナシア」のシェアは50%以上、また、青森県では30%を占めている。この数字は同社に対する信頼の大きさの表れである一方で、経営改善の成果といえる。今から5年前、同社は70〜80のシステムパッケージを扱っていた。しかし、全国をマーケットにし、一層のシェア拡大のためには事業の「選択と集中」による大胆な経営転換を行う必要があった。「自社のポテンシャルを生かした商品に特化した結果、現在は10パッケージほどとなった」。ポテンシャルを生かしたシステムへの集中こそ、「十をもって、一を攻める」(孫子)に言い表されるように経営戦術の基本ではないだろうか。今、同社は、全国市場をその眼下にとらえている。「透明性と倫理観を備えた経営を忘れず、販売エリアを全国に拡大し、調剤薬局経営の情報化・経営効率化に貢献していきたい」。経営陣のこの思いが、同社のさらなる飛躍の原動力となっている。
平成14年度医薬分業率

CORPORATION DATA
株式会社シグマソリューションズ
代表取締役社長 菊地 定夫
〒010-8564
秋田市大町2-3-27
 秋田ニューシティ4F
TEL:018-864-1561
FAX:018-865-1154
URL:http://www.synap.co.jp/
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