今やさまざまな分野で使用
 県内LPG業界のリーダー企業


タプロス 株式会社
代表取締役社長 木村 繁 氏



地球環境がクローズアップされコージェネレーションが叫ばれる中、いきおい注目を集めるのがガスの有効利用の問題である。県内では、都市ガス世帯はごく少数で、8割以上の世帯ではLPG(Liquid Petroleum Gas;液化石油ガス)を利用しているという。
 わが国でLPGの普及が本格化したのは昭和30年頃から。当初は主として家庭用の容器詰めのプロパンガスとして販売され、従来の木炭、石炭などに代替して需要を伸ばした。 次いで、ブタンガスの用途開発が進められ工業用が、さらには自動車への用途も開発され需要は飛躍的に増大した。
 また、都市ガス原料、化学原料など幅広い用途に利用されており、全国のLPG需要量は今や年間2万トンを超えている。
 タプロス(株)(秋田市寺内字後城322−3)は昭和31年1月、秋田市土崎港に太平プロパン(株)として創立。以来、県内全域で積極的な営業を展開し、県内LPG業界のトップ企業として君臨している。
 今号では、そのタプロス代表取締役社長の木村繁さんに話を聞いてみた。

タプロスさんの営業内容は・・・
木村●現在は、厨房機器、空調機器など住宅設備機器の割合が高く約6割を占め、あとの4割がLPGの販売です。うち、6割が卸で、4割が小売となっています。あとは若干ですが、それに伴う各種工事や各種機器の納入なども行っております。
社名変更はそうした業務拡幅の観点からですか・・・
木村●平成4年暮れのことです。折からのCIブームもあり、またプロパンという言葉がほとんど使用されなくなってきたことも大きな要因でした。
木村さんが当社に入られたのは・・・
木村●私は昭和56年にUターンし当社に入社、平成元年に専務に就任、現会長である父に代わって社長になったのは5年2月のことです。それまでは東京で、文具・事務機器のメーカーに11年間勤務してました。
近年は住設機器のウエイトが高くなってますね・・・
木村●埼玉、神奈川、千葉など首都圏では毎年10万世帯、率にして約6%も伸びていますが、秋田では微増にとどまっています。そこで、従来電気や石油をエネルギー源としていた住設機器の分野に、積極的に参入を試みたのです。

 一口に住設といってもそのジャンルは厨房機器、空調機器、さらには融雪設備など幅広い。一般にはあまり知られてはいないが、東京ドームの冷暖房にはすべてガスが利用されている。県内の施設でも、横手の秋田ふるさと村、土崎の湊御蔵、寺内の南大門、さらには各カー・ディーラーのショールームなど、ガスオンリーによる空調がなされている建物が増えてきている。
木村●ここ数年、オール電化のマンションなどの影響で、厨房のエネルギー源として電力の進出が顕著になってきました。従来ならガスの専売特許だった分野です。また、コンビニエンスストアやファーストフード店などの台頭で、若者を中心に家庭で料理をしない人も増えています。そうした観点から、ガス業界も新たな需要を掘り起こす意味で、各メーカーともさまざまな設備の開発に余念がありません。

 一般には「ガス、特にプロパンは危険」という認識があろうが、大きなガス事故はそのほとんどが都市ガス地域でのこと。また、両ガスとも各種安全装置の開発により、そうした危惧はほとんどなくなるまでになってきた。
 例えば、ガスメーターにICを入れ、異常を察知したらメーターそのものがガスの供給をストップし、ガス漏れ警報機と連動させる。このメーターの開発により、ガス事故は大幅に減ったという。
 さらには、通産省が提唱する「集中管理システム」。ガスメーターとガス会社とを電話回線で結び、メーターを読み取ることにより、異常を察知したら即座に元栓の遮断ができるシステムだ。このシステムが一般に普及することで、消費者のガスに対するマイナスイメージが払拭されることは請け合いだ。
木村●LPGを含めたガス業界では、今後は同業者間の競争のみならず、電気、石油といったエネルギー間の競争に打ち勝っていくことが火急の課題となっています。そのためには業界挙げての積極的なPR活動が肝要なのは言うまでもありません。
何か具体策はありますか・・・
木村●一般消費者への啓蒙はもとより、設計事務所や建設会社など業界筋へのキメ細かな営業展開を続けています。お蔭様で、最近ようやく認知されてきたようですので、今後の普及は早いと見ています。

 今年7月、当社は創業以来住み慣れた土崎から寺内の国道7号線沿いに移転した。建坪約260坪の新社屋は一部円形の近代的なデザインで、夜間にはライトアップも施される。もちろんLPGによる冷暖房空調設備と融雪設備を完備している。この新社屋は、去る10月に秋田市の「都市景観賞」 も受賞、内外の高い評価を得ている。
 タプロスは、この本社を主軸に、県内各地に5つの営業所、3つの充填工場を構える。さらには、関連会社として、備品のレンタルをする(有)秋田ビジネスサービス、ガス料金の自動振替をする(有)秋田事務サービスなど計4社を擁する。
木村●民力度が上がるとエネルギーを多く使うようになります。今後、中国とインドの20億の国民がこぞってエネルギーを使い出すと、そのほとんどを中東から輸入している現状を考えると、コストが上がることは必至です。また、天然資源とて決して無尽蔵なものではありません。21世紀に入り、環境問題もさらに難しくなるはず。果たして、今後どういうエネルギーが出てくるのか、世の中の動きを敏感に捉えながら展開していきたいと考えています。


 今年、タプロスは創業40周年を迎えた。秋田のLPG市場を業界のリーダーとしてひたすら先導してきた40年間だったに違いない。しかしながら、21世紀を目の前に当社のあくなき挑戦に終わりはない。

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