次々にオリジナル商品を開発
 首都圏での販道拡大を目指す


株式会社 丸新製作所
代表取締役 桜庭 弘視 氏



 昨年6月、東京・有楽町の交通会館11階にオープンした秋田ビジネスポートセンター(BSC)。 入居企業には約1坪のブースを提供。机、椅子、専用電話・ファックスを完備し、県内企業の首都圏での営業拠点として活用してもらおうというのが狙いである。そのBSCを東京の足場とし、積極的な営業展開で販路拡大に成功した企業がある。
 能代市にある(株)丸新製作所は、昭和39年に左官用定木製造メーカーとして創業以来、次々と取扱い品目を拡大し、今や日立化成、松下電工といった大手企業との取り引きに加え、さまざまなオリジナル製品を県内・外に売り出すまでに成長している。
 今号では、当社の創業者である代表取締役 桜庭弘視さんに話を聞いてみた。
桜庭さんが、最初に左官用定木で参入したきっかけは・・・
桜庭 当時はほとんどの住宅が木造モルタルでしたから、角を仕上げたり厚さをコントロールする 左官用定木のニーズが高かったのです。狙い通り、しばらくは爆発的に売れましたが、今となっては貴重品の秋田杉の一級品をずいぶんと潰しました。
その後、いろんな製品に着手することになるのですね・・・
桜庭 まずは照明器具や工芸品に着手、その後内装建材へと拡幅し、集成材やキッチンの研究開発も始めました。後年、それが日立化成とのシステムキッチン木製扉の共同開発につながったのです。
そうした大手との取り引きと並行して、オリジナル商品の開発もなさったわけですね・・・
桜庭 大手からの受注で約10年やってきましたが、下請けの仕事だけではある程度の安定はありますが、利益率はいつまでたっても頭打ちです。誰にも真似のできない、しかも大手が参入できないことを始めようと考えたのです。
それが年輪シリーズの開発となって表れたのですね・・・
桜庭 地元産の秋田杉、それも間伐材や小径木の有効活用ということに着目しました。一般的には、 針葉樹は広葉樹と比較して柔らかで床材には不向きと言われてきました。しかしながら、表面を特殊加工することで補強し、一気に弱点の克服に成 功しました。

純木年輪シリーズ
住友林業の製法特許高熱圧密加工に、丸新製作所独自の技術であるUVセラミック両面塗装加工や、乾燥、接着技術を組み合わせ、柔らかく磨耗しやすいという「杉」のイメージを一新した。
(商品)   年輪トップ=天井   年輪ウォール=壁   年輪フロア=床   以上3種
(特長) ・無垢材の秋田杉、しかも間閥材や小径木を使用 ・弾力性、遮音効果、断熱効果、保湿効果に優れる ・年輪の程よい凹凸が滑り止めになる ・ダニ・カビ・ゴキブリが発生しないので、アトピー性皮膚炎などの予防効果になる ・冬目の硬さで収縮や狂いが出ず、完全床暖房対応型である



この年輪フロアを校舎に採用した学校があるそうですね・・・
桜庭 3年前に能代市立崇徳小学校を新築する際に、能代市教育委員会のご理解を得て、トイレや給食室といった水回りの部分を除いた校舎全体の床材に採用していただきました。中でも多目的ホールには床暖房設備を施しています。県内外からの引き合いも多く、わざわざ視察に訪れる学校もあるほどです。

崇徳小を視察する一般の方もいらっしゃるとうかがいましたが・・・
桜庭 ご自宅のフローリングに年輪フロアを使用する際に、崇徳小を見学して決心なさったという例もございます。公共の建築物に採用されるということは、こうした思わぬ波及効果があるのです。

さて、丸新さんが現在注力している杉デスくんについてですが・・・
桜庭 これも杉の間伐材を使った製品で、主に学童用に開発した机・いすのセットです。部材を上 下させて高さを調節するスライド式で、児童の成長に合わせて入学から卒業まで1つのセットで対応できるのがセールスポイントです。


杉デスくん



教育現場では、安価なパイプ製などが主流なのではないですか・・・
桜庭 杉デスくんの場合は、破損箇所が出ても部材の交換だけで継続使用が可能ですので、メンテ ナンス面で数段上回ります。それに、成長期に木のぬくもりに包まれて過ごすことは、冷たいパイ プ製を使用するよりも情操面でどれだけの効果があるかということを考えてください。今はアロマ セラピーが大ブーム、杉の香りは精神安定には打って付けですよ。

杉デスくんは、東京の東急ハンズで販売することになったそうでね・・・
桜庭 お蔭様で池袋店で扱っていただけるようになりました。昨年BSCができたときにブースを借り、東京での営業拠点ができました。月に1回は上京して、多くの企業と商談を重ねてきた結果、 ようやく実を結んだというところです。

BSCにもこの杉デスくんを設置されてるそうですが・・・
桜庭 フリースペースに杉デスくんと、やはりの間伐材を使ったベンチ「森のめぐみ」を設置させていただいております。このベンチはJR東能代駅の待合室にも設置されており、木都・能代の玄関口を飾るに相応しい製品と自負しております。今後は大館能代空港など、より公共性の強い施設への参入を目指します。

これらの製品はすべて間伐材や小径木を利用したものですね・・・
桜庭 地球環境問題がクローズアップされる昨今、秋田杉とて将来は余談を許しません。本来なら廃材となる間伐材や小径木を有効利用することで、少しでも寄与できたらとも考えました。年輪シリーズと杉デスくんに関しては、環境保護に貢献するということでエコマークの認定も受けました。

昨年暮れにはホームページも立ち上げましたね・・・
桜庭 直接取り引きにつながるかは別として、まずは情報発信することが肝要です。今年はBCSとインターネットで、首都圏での展開をより強化したいと考えています。

 丸新製作所は来年で創業35年目を迎える。節目の年を前に、今年は一層の飛躍の年になりそうである。

(株)丸 新 製 作 所
本   社:秋田県能代市長崎99
東京事務所:東京都千代田区有楽町2−10−1
      東京交通会館11F 秋田BSC内
ホームページアドレス
  http:/www.shirakami.or.jp/~marushin

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