激変する情報通信市場
トータルなサービスで普及に貢献


株式会社パワーズ
代表取締役 佐々木 力 氏



 携帯電話とPHS(簡易型携帯電話)を合わせた移動体通信の普及台数が2000万の大台を突破し、家庭や事務所に置かれている固定型電話の設置台数の3分の1以上にも達した。この1年間だけをとっても 1000万台の伸びを示し、依然好調を維持している。消費税引き上げで住宅・建設需要に暗雲が広がっている中で、情報通信分野が果たす景気牽引車の役割は大きい。本県でもこのブームに乗り専門店の数は増加の傾向にある。
 (株)パワーズ(秋田市川元山下町2−4)は通信機器の販売のみならず、その工事から保守までを一手に引き受けるトータルショップとして、激変する通信市場の中で平成7年2月の創業以来、着実に成長を遂げてきた。
 今号では、当社の創業者である代表取締役 佐々木力さんに話を聞いてみた。

佐々木さんのご経歴は・・・
佐々木
● 秋田市旭北寺町で生まれ、地元の工業高校を卒業後、電電公社(現NTT)に入社しました。入社以来、山形県米沢市で15年勤務した後秋田へ戻り、10年間勤務しました。
その後独立されたわけですが、そのきっかけは・・・
佐々木
●大きな組織の歯車に合わず、30代の頃からずっと独立を考えていました。秋田へ戻って10年が経過したのを機に会社の希望退職制度に応募し、平成6年12月いっぱいで退職しました。25年間通信機器関連の仕事に従事しておりましたので、そのノウハウを生かし、NTT時代の同僚の応援を得ながらパワーズはスタートしました。
当初から販売も手掛けられたのですか・・・
佐々木
●スタート当初はNTTの代理店として工事・保守が主体でしたが、お客様から携帯電話やPHSの販売はしていないのかという問い合わせが多くなり、平成7年12月からNTTドコモの携帯電話やNTTパーソナルのPHSの販売に踏み切りました。通信機器のトータルショップという形態は東北でも例が無いんですよ。
 
こちらへは最近移ってこられたのですか・・・
佐々木
●この3月までは事務所を秋田市外旭川に構えていましたが、駐車スペースが無いということや立地条件を考慮してこの場所に移転、4月1日に新規オープンしました。


秋田市川元にオープンした新店舗

移動体通信が爆発的なブームのようですが・・・
佐々木
●携帯電話の加入者は昨年度がピークで人口の15%にまで上昇しました。しかし幸いにも秋田県の加入者数は、人口比率7%でこれからさらに需要は拡大するものと予想されています。またPHSも割安な価格を追い風に学生やOLに人気がありまして、懸念されていた通話可能地域もアンテナの増設等で広がる見通しで、これから益々伸びていくものと期待しています。お蔭様で当店でも新規オープン以来、来客数は着実に増えています。
 郵政大臣の諮問機関である電気通信技術審議会が今年発表した携帯電話の2000年の需要予測は、約4500万台。さらに2010年には、国民の2人に1人が持つようになると予測している。

端末の種類もかなり豊富ですね・・・
佐々木●
携帯電話・PHSは約3ヶ月のスパンで新商品が登場します。メーカーは15〜16社が入り乱れて競争が激しく、それが端末機の小型化・高性能化に拍車をかけています。特に若い消費者の方々はファッション性や機能性に敏感ですので、スタッフ(男6名、女2名)を含め新旧製品の勉強は欠かせません。

工事関連の方はどうですか・・・
佐々木●
インターネットブームにより高速のデータ通信需要が急増し、企業や個人ユーザーを問わずインターネットアクセス用のINS回線の設置が進んでいることもあって工事やメンテナンスの仕事も増えています。大手業者には無い俊敏な対応と価格の設定がリピーターの確保にもつながっているようです。

ところで業界に新しい動きがあるようですが・・・
佐々木●
携帯電話市場の成長はあまりにも早く、電波不足が生じてきています。そこでNTTドコモグループは2000年度中にサービスを開始する次世代移動体通信にCDMA(符号分割多元接続)と呼ばれる方式を採用します。さらには衛星を打ち上げることで、地球上のどこでも携帯電話が使えるようになります。
 CDMA方式は米国生まれの技術を基礎に、電波領域を拡大するなどの改良を加えて、回線の数を現在の2〜3倍に高めるというもの。これまでのデジタル携帯電話よりも肉声に近い音になり、通話が突然途切れることも無くなる。また、この5月5日には米国の国際通信企業が第一弾の衛星放出に成功している。

さて、経営は順調なようですが、将来展望・経営戦略などは・・・
佐々木●
急激な市場の拡大に対応するため、6月1日横手市にNTTパーソナルのPHS専門店を新たに開設します。大曲市や湯沢市を含めた県南地区をカバーするもので、当社では初めての支店となります。また 、新分野にも目を向け、多角的経営の一貫として駐車場管理機械の販売を始めました。現在都市部では慢性的な駐車場不足の状況にあり、需要はかなり高いものがあります。既に秋田市内2ヵ所にタイムパークの名称で無人駐車場管理システムを導入しています。


駐車場管理システム「タイムパーク」

自社製品も手掛けているのですか・・・
佐々木●
車社会の影響で一般家庭でも駐車スペースが手狭になってきています。そこで当社では現在、住居地用の都市型2段式駐車場の開発に着手しており、山形県の業者に試作を依頼中です。来年をメドに商品化する予定で、価格も消費者のニーズに応えられるようより低廉に設定したいと考えています。

 「トータルショップですので通信のすべてを任せてもらいたい。電話一本でどこへでも飛んで行きますよ。」と笑顔で話す佐々木さん。競合ひしめく通信市場の中にあって、常に攻めの姿勢を崩さず新境地開拓にも余念がない。新店舗オープンを機に、その創意と活力で佐々木さんはさらなる飛躍を目指す。

バックナンバー集へ戻る