県内初の
都市型ケーブルテレビ
37チャンネルを放映


株式会社秋田ケーブルテレビ

専務取締役 土方 博生 氏


 もっとおもしろいテレビが見たい。もっと手軽に情報を手に入れたい。そんなニーズに応えてくれるのがケーブルテレビ(CATV)。昨年12月1日、秋田市に「秋田ケーブルテレビ(CNA)」が開局し、秋田にも本格的なテレビの多チャンネル時代が到来した。
 県内のCATVとしては、大内町が運営する大内町ネットワークテレビジョン(加入世帯約2,600)と、地域振興整備公団が秋田市の御所野ニュータウンで運営する局(同約800)の二つがあるが、民間都市型としては、CNAが初めてとなる。
 発信者と受信者が相互に情報交換できる機能(双方向通信機能)を持つ都市型CATVは、放送のみならず通信にも対応可能な地域密着型・機能拡大型の新しいメディアとして、近年注目を集めている。
 今号では、当社の専務取締役土方博生さんに話をきいてみた。


御社の生い立ちについて…
土方
●ケーブル局の開設を目指して、昭和59年6月に秋田市や同市内の企業の出資で設立されましたが、収支見込み等シミュレートしてみてもなかなか明るい見通しが立たず、休眠的要素の強い会社として存続してまいりました。しかし、3年前に放送・通信分野の規制緩和が始まり、地元中心の資本構成が求められていた点も改められ、様々な資本を導入することが可能になりました。昨年2月に大手商社の日商岩井と長距離通信の日本テレコムが資本参加。地元と中央が50対50のイコールパートナーとして事業を推進する運びで、開局にこぎつけました。帯域750メガヘルツの完全双方向対応のシステムは東北では初めてです。


CATVは、テレビ難視聴対策施設として誕生

 CATVは昭和20年代半ばに米国で、TV受像機のセールスマンが難視聴地区でTV放送受信ができないかぎり、TVの販売台数を伸ばすことができないと気づいたことが始まりといわれている。日本においては、昭和30年に群馬県伊香保温泉で温泉旅館約40軒を対象に、テレビ難視聴対策施設として誕生している。


CATVは全国にどのくらいあるのですか…
土方
●都市型系、自治体型(農村型)などを含めると現在全国に400局ほどあります。しかし、ひろい意味でのケーブルテレビ局とも言える共聴施設(鉄道・変電所・ビルなどの電波障害地域)などを加えるとかなりの数になりますね。


CATVのメリットは何でしょうか…
土方
●CATVの魅力は、何といっても豊富な専門チャンネルです。ニュース・映画・音楽・スポーツ・天気予報など、様々なジャンルの中から、いつでも見たいときに見たい番組が選べます。またCATVは、当社にある大型高感度アンテナであらゆる番組を受信し、その名の通りケーブルをご家庭のテレビと接続することで番組をお届けしています。つまり衛星放送がパラボラアンテナ無しで楽しむことができ、従来のVHF・UHFのアンテナも必要としません。しかも、高層ビルなどによる影響の心配もなく、長期的に安定した画像でご覧いただけます。


加入するにはどんな費用がかかりますか…
土方
●ご加入いただけるお客様の加入時にかかる費用は、加入金20,000円、工事費26,000円の合計46,000円です。また毎月のご利用料金は3,300円です。これには、ホームターミナル(ケーブルテレビ専用端末)使用料と番組ガイド誌の送料が含まれています。


24時間、生活をより豊かにクリエイトするメディア


どんな番組が見られるのでしょうか…
土方
●月額3,300円の基本サービスでは、現在ご覧になっているNHKと民放3局のほか、秋田では放送されていないTBS系、さらに映画や海外ドラマ、スポーツなど21専門チャンネルを加えた計30チャンネルを自由に楽しむことができます。1,600円から2,500円の月額追加料金で、WOWOW、グリーンチャンネルなどさらに7チャンネルが楽しめます。
 番組の内容は多種多彩であり、CATVはまさに24時間、人々の生活をより豊かにクリエイトするメディアといえる。

 


放送対象地区は限られているのですか…
土方
●現在サービス中のエリアは、秋田駅の北西側の千秋、保戸野、高陽、八橋、泉、山王地区の約15,000世帯です。今年6月から半年ごとに地区を広げ、平成11年12月までに秋田市全体の約85%にあたる97,000世帯をカバーする計画です。


現在の加入者数は…
土方
●現在の契約数は約800世帯。いまのところ、開局時点の目標であった1,000世帯を下回っていますが、他のケーブル局の例を見ても、最初はなかなか難しいもの。実際に放送をみてもらうことが一番のPRになります。
 また、マンションなどの集合住宅からの申し込みが約400件ほどあり、家主や管理組合との話し合いをクリアすれば加入してもらえると見込んでいます。


新しいサービスについて何か構想はありますか…
土方
●多チャンネルの放送サービスとともに、次世代に向けた通信サービスも視野に入れています。ケーブルの双方向機能は、今後増加すると見られている競争相手の衛星放送には無い魅力です。光ファイバーを利用した大容量、双方向の伝達機能を生かし、早ければ今夏にもインターネット接続サービスを開始する予定です。従来の回線とは段違いのスピードで接続することが可能ですので、通信費もぐっとお得になります。さらには遠隔医療・在宅看護等の福祉サービスやデータ通信、ケーブル電話などの高速通信サービスも取り入れていきたいと思っています。


多チャンネル化の波が押し寄せ、
供給されるソフトも増!

 国内では一昨年から通信衛星によるデジタル放送がスタート。94チャンネルのパーフェクTVに次いで、2番手のディレクTVが昨年11月から91チャンネルで放送を開始するなど、多チャンネル化の波が押し寄せ、供給されるソフトも増えている。

土方●デジタル衛星放送に良い番組があれば、CNAでも見られるようにして、性別を問わず子供からお年寄りまで幅広い層のニーズに対応していきたいと思っています。
 また将来的には自主番組を制作し、秋田の身近な情報を発信するコミュニティー局にしていきたいと考えています。


 「サービスの充実を図り、地域密着型のメディアとして市民の文化・生活向上につなげたい」と話す土方さん。
 CATVの放送機能、双方向の通信機能をフルに活用し、消費者と商工業業者とのコミュニケーションを取り入れた新しい商工業サービスの創出を特に期待したい。


株式会社秋田ケーブルテレビ
秋田市八橋どじょう沼町1−59 ラ・カージュ内
TEL:0188-65-5141          

バックナンバー集へ戻る