マルチメディアを駆使し秋田の食材を全国へ
	有限会社ワイズプランニング 　代表取締役 　　青山　佳子　氏

パソコンの本格的な家庭への浸透を背景に、インターネット通販ビジネスへの関心が急速に高まってきている。野村総合研究所サイバービジネス・ケースバンクの調査によれば、97年１月に3,074件だった仮想店舗＝通販サイトの数は、98年１月には7,606件に、99年１月には12,441件という急拡大ぶりを見せている。扱い商品のカテゴリーも、衣料品から、コンサートチケットや航空券、雑貨、本、食料品など大幅に広がっている。郵政省は2005年にはインターネット通販市場が１兆円以上になると見ており、今後もまだまだ市場の拡大が続くことは間違いなさそうだ。 創業された経緯は…… 青山　秋田にはいい素材、おいしい食材がたくさんあるにもかかわらず、県外特に西日本へのアピールが不足しており、認知度も高くありません。埋もれている素材を全国にアピールし、売り込みたいという思いが高じたのがそもそものきっかけです。 設立されたのはいつ頃ですか……… 青山　まずは会社を設立するための勉強から始めました。設立趣意書、定款、登記書類なども自分で作成し、平成８年２月に会社を設立しました。全国各地に住む友人、知人のネットワークから始まり、定期的にＤＭ「食彩通信」を発行し、現在はインターネット上のホームページ「食彩通信Mall」で商品紹介と注文を受けています。 現在扱っている商品は……… 青山　さくらんぼ「丹精さくらんぼ佐藤錦」、りんご「林檎三部作」、新米「あきたこまち」、漬物「いふり雅香」など季節商品を中心に10数品目。秋田のお店では手に入らないイタリア産の高級オリーブオイルも扱っています。 食彩通信の特徴は…… 青山　ご注文いただいた商品を当社が契約をしている生産者からお客様に直接提供する産地直送システムです。「さくらんぼの生産をしていない西日本で皮をむいて食べた」という話を耳にし、商品の食べ方や生育状況などを商品に添えてきめ細かく提供しています。 丹精さくらんぼの注文サイト 相手の顔が見えない商取引だけに、信頼関係が大切だと思います…… 青山　リピート顧客の確保や新規顧客の開拓につなげるうえで、対面販売以上に販売後のフォローは非常に重要です。DMは顧客一人ひとりへのプライベートメールの形を取っているほか、商品に同封したアンケートはがきでお客さまの反応を知ることができます。品質の悪い商品が届いてしまうと、お客様との信頼関係は無くなってしまいます。生産者にはより良い品質のものを決して量にとらわれずに生産することに専念してもらい、生産物にその品質の優れた点や生産者の「心」をいろいろな形で加えた商品として消費者に届ける一方、消費者の味覚動向や注文を可能な限り入手し、生産者側へフｲードバックさせることを心がけています。 顧客の反応はどうですか…… 青山　幸いお客様に大変信頼をいただき、口コミなどもあって、ご注文は確実に増えております。DMによる顧客からの注文も、常に10％以上を確保しており、顧客は西日本方面を中心に数千人に広がりました。まとめ買いをされる方が多く、客単価が高いのが特徴です。お中元やお歳暮期に使ってくださる法人の顧客も増えています。 企業のホームページも制作されているようですが…… 青山　ホテルの空室情報や病院を英文で紹介するなど、法人、個人含めたホームページ作成の企画、制作を行っています。アウトソーシングで事業運営を図っていますが、専門知識を持つスタッフを多数揃えていますので、より高い質のコンテンツを提供できると思います。 今後の展開について…… 青山　県が昨年度から始めた「ベンチャービジネススタートアップ支援事業」を活用し、現在の事業の足固めを行いながら、さらに一歩前進させた新しい販売促進ツール「Multimedia　CDish」（マルチメディア・シーディッシュ）の導入を進めています。「Multimedia　CDish」は、CD：Compact　DiskとDish：皿、料理をかけた造語。例えばさくらんぼの生育状況や果樹園の様子や栽培の工夫、種類、食べ方といったものをテキスト、静止画、動画などを駆使したコンテンツを使って、これを商品に付属させる、あるいは単独の紹介CDとして希望者に販売し、付加価値を増すものです。現時点では同業他社には見られないサービスであり、当社の業務内容を見せることで生産者の掘り起こし、つまり供給元の増加にもつながると考えています。 「ダメでもともとという気持ちで始めた事業。“ヒューマンネットワーク”をベースに顧客も広がってきた」と話す青山さん。今後はマルチメディアを駆使して、海外をも視野に入れた展開を目指す。