堅実さの中の合理性・差別化戦略

株式会社ナイス  代表取締役社長

  齋藤 一郎 氏


 家計調査年報によれば、秋田市の月平均消費支出(世帯主の年齢51.0歳、世帯人員3.26人)は350,700円(前年321,831円)。費目別にみた場合、食料には78,683円(前年76,269円)の支出との調査結果が発表されている。ちなみにエンゲル係数は22.4%。前年度より1.3%低くなっているものの、家計消費支出に占める割合は依然高いことに変わりはない。生活するには欠かせない食料品。郊外に出店する大型店が多い中、秋田市を中心に店舗展開をし、近隣住民に食材を提供している総合スーパー(株)ナイス。今号では、その代表取締役社長である齋藤一郎氏に話を伺ってみました。



営業している店舗とその取り扱うアイテム数は……
齋藤
 秋田市には仁井田店、新屋店、外旭川店、割山店の4店舗、市外に追分店、大曲南店があり、また生鮮品を取り扱わないドラッグストアが1店舗あるので7店舗です。アイテム数については店舗の大きさによってばらつきはあります。割山店と外旭川店は約1,000坪あり大きな店舗ですが、大きい店だと約25,000アイテム、小さい店でも約12,000アイテムを販売しています。だいだい食品と雑貨は6対4の割合で取り扱っています。


2000年問題への対応は………
齋藤
 対応済みです。POSレジは、4年前に導入したものも含めて全部入れ替えを行いました。県内のスーパーでは一番新しいのではないですか。また、パソコンの性能も良くなっていますからオフコンで処理していた作業もパソコンサーバーで対応しています。データ加工、LAN等相互に補完ができますのでオフコンより扱いやすくなりました。


経営の面で考慮していることは………
齋藤
 社内の活性化や従業員一人当たりの生産性の向上などいろいろありすぎて、一言ではとても無理ですが、極論すれば合理的経営は必ず報われると言うことです。パソコンの導入などは合理的な面です。一方、差別化を図らなければならない部分もおろそかにできない訳で、この分野は非合理的要素が多い。合理的経営と差別化、相反し矛盾するようにみえるものをどう両立するかが今の課題です。


差別化を図らなければならない部分とは……
齋藤
 新鮮な商品を手頃な価格で販売するのは当然なことであって、加えてそれよりも、社員一人一人がお客様に感謝する気持ちを忘れずに心のこもったサービスを提供しなければなりません。商品を愛する心とお客様を愛する心が、商品の付加価値を高めます。レジでのあいさつ、買い物袋に商品を入れて差し上げるなど、接客のソフト面は非合理的なことのようにみえますが、人間でなければできないサービスの部分は差別化の一つです。また、店舗を建設する場合でも広い平面駐車場を充分設けることなども含まれるでしょう。社員はパート社員が約8割を占めていますが、社員には商人としての原点に戻って商人としての心の教育、精神の鍛錬をしてほしい。お客様第一主義を重んじ、プロとして生きてもらいたいと思っています。


関連会社が数社あるようですが……
齋藤
 (株)秋田フードセンターからみれば(株)ナイスは販売会社にあたります。(株)コンピュターシステムは仕入取引先へオンライン発注する会社です。また、(株)秋田物流センターは、ターミナルの役目を果たしています。


今後の事業展開は……
齋藤
 幸いにも11年2月期の決算ではナイス・グループ全体として、過去最高の利益計上ができました。店舗数と売上高の増加は、合理化できる絶好の機会となることから、今は来年の2店舗オープンの準備に追われています。また、あまりバックヤードを必要としないドラッグストアの出店も考えています。今後は、今まで以上に競争激化が予想されるため、低い粗利益率でも耐えられる企業体質にしていきたいと思っています。近い将来は、お客様へ産地直送の生鮮品を提供できるようになるでしょう。


ナイス割山店


「生活は残念ながら趣味を持つチャンスがなかったので、地味な方だと思います」と話す齋藤社長。会社の方針もベーシックな商品を取り扱っていて極めて堅実である。高齢化が進み、近隣にスーパーマーケットがあることは住民にとって非常に便利なことである。お客様第一主義の店づくり、合理性と差別化の両面を常に考え、強さと優しさを併せ持つ人柄に接することができた。今後、なお一層のご活躍を。

経歴:
横手高校を卒業。現在、(株)秋田フードセンター代表取締役、(株)コンピューターシステム代表取締役ほか。
昭和18年生。
秋田市 住
株式会社ナイス
  秋田市新屋豊町3-48
  電話:018-862-2611

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