住宅用構造集成材の総合提供メーカーを志向

相澤銘木株式会社  代表取締役

  網 幸太 氏


 集成材とは、製材・乾燥した板材や小角材から節や割れなどを取り除き、木材の繊維方向を加味しながら接着剤で集成した材料の事を言う。
 秋田県の資料によれば、集成材メーカーは平成9年には全国に290工場があり、生産数量で756千立方b、生産額で1,640億円を出荷している。このうち秋田県内には23工場(対全国比7.9%)があり、123千立方b(同16.3%)を生産している。この数値を平成4年と比較すると、工場は1工場増えただけだが、従業者数では1.2倍、出荷数量では2.3倍の増と大幅な伸びを見せている。
 そのような県内集成材業界の中で、常にリーダーとなり、新たな挑戦を続けているのが能代市の相澤銘木(株)だ。今号では、代表取締役の網幸太氏から話を伺った。



いつ頃から集成材の生産に……
 当社の設立は昭和39年ですが、それ以前から天然秋田杉を製材しておりました。
 その後、張り天井板やラミネート天井板、フローリング、造作用集材等の生産を手掛けて来ましたが、15年ほど前から大断面集成材の生産を始めました。造作用ばかりでなく体育館やプールなどの大型建築用材として使用される構造用の大断面集成材と、一般住宅向けの柱や梁・工台などの中・小断面集成材を生産しております。つまり、総合的建築資材メーカーを目指しています。


集成材業界の動向は………
 一口に言って、非常に厳しい状況にあります。国の経済振興策によって住宅産業はだいぶ回復してきたように見えますが、依然として受注単価は低下傾向を辿っており、忙しいけれども儲からない状況が続いています。
 また、ボーダーレス化の波は我々集成材業界にも押し寄せており、ここ1〜2年の間に北米やヨーロッパのメーカーの国内進出が相次いでいます。このまま国外メーカーの進出が続くと、国内メーカーの三分の二は陶汰されてしまうと言われております。


厳しい経営が続く木材業界ですが………
 当社は、これまで創業以来2度にわたりリストラを断行してきました。その一つが昨年実施したリストラです。少数精鋭の企業に変身するために、早期退職者を募集し、社員を114名から71名に削減しました。非常に厳しい決断でしたが、「これからのもの作りは、名人ばかりではやっていけない」との思いで決断しました。


集成材加工の難しいところは……
 集成材は一見すると同じ材料で作られているように見えますが、実はその用途や使用される場所に合わせて、板材の材料を変えたり、数種類の板材を組み合わせたりして作っているのです。そのため、材料手配と段取りをいかに効率的に行うかが、ポイントになります。
 また、材料を確保しておく事も大変です。突然の注文にも対応できる材料の確保と、乾燥などの前処理をしっかりと施しておくことも重要です。


今後の事業展開は……
 集成材を大きく分けると、造作用集成材と構造用集成材に大別されますが、現在当社は一般住宅用の構造用集成材を総合的に供給できるメーカーを志向しております。
 これまで当社は、梁や工台などを量産することによって、他社とあまり競争しない商品づくりを目指して来ましたので、管柱のように他社が量産しているものは敢えて取り扱おうとはしませんでした。しかし、お客様から「もし、値段が同じだったら相澤の柱を買うよ」とか「お宅一社で、総て揃えてもらうとありがたい」などというお声を頂き、これではいけないと気づいたのです。これからは、お客様が要望する総ての構造部材を提供できるメーカーになることが重要であると考えたのです。柱や梁を専門に生産して低価格な商品を提供する戦略もありますが、当社は、住宅一戸当たりの当社商品の総使用率を高める戦略に方向を転換したのです。
 オリンピックで言うならば、100メートルや200メートルの競技ではなく、近代5種のように色々な種目の総合でメダルが取れるメーカーになろうとしているのです。


相澤銘木株式会社(本社工場)



今取り組んでいる事は……
 構造用集成材を総合的に供給するには、多品種少量生産に対応できる情報システムの構築が不可欠です。そこでいま、新たな経営管理システムの開発を進めています。
 今年中にその一部が稼動する計画ですが、これが完成すれば、総合部材メーカーに一歩近づく事ができるものと期待しております。


にかく、網社長は生産現場が好きである。何時お邪魔しても作業服に身を固め、工場で指揮を取っている。「今はとにかく、マーケット・プライスに合わせることのできる経営を心がけています」と話す網社長。原価の低減と生産性のアップを掲げ、今日も陣頭指揮を取る。

経歴:
昭和53年 早稲田大学法学部を卒業。昭和25年 生まれ。
能代市住。
相澤銘木株式会社
  能代市河戸川字上長沼布33番地
  電話:0185-52-1361

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