県内産業活性化に向けた

新たな始点


TDK顧問、(財)秋田県中小企業振興公社

プロジェクトマネージャー 高橋 哲生


は4月よりスタートする「あきた産業振興機構(仮称)」の活動に参加のチャンスをいただき、新たな気持でその責任の重大さを痛感していると共に、製造業で培った40年のつたない経験が生かされればと思いもひとしおである。

 年度末の準備期間中、ここ数回産業振興プラザ(第2新庁舎)に出向き、関係者の皆様とは話し合いの機会がもたれたが、さすがに人材の宝庫とも言われる県庁関係者からは、非常に意欲的で新鮮さが感じられ、加えて新庁舎にふさわしい明るい雰囲気が印象的である。これまでの話し合いの中から二三の主なキーワードを拾い上げてみると、「民間企業感覚の導入」、「関連部署との緊密な連携」、「指導から支援体制への転換」などは、従来とは違った新たな視点に立っていることが良く理解できる。

 言うまでもなく、民間企業感覚とは成果、業績直結型のマネジメント力であり、費用対効果の効率的運用が実例として上げられよう。また関連部署との連携のベースは相乗効果を最大限に発揮すべく、連携や合従連衡などの行動を伴った、いわば梃子の原理の応用であり、指導から支援体制への軸足移動は、今までの前提条件を見直すことによって、従来型の課題とその解決策が1対1に対応した1問1答ではなく、相手、場所、時期などの状況に応じたタイムリーな最適解を、いろいろな視点からの複眼思考によって求めようとする私製である。いずれにしてもこれらは激変する競争社会での勝ち残りをかけた事業戦略や実践活動によって得られるものであり、一見結果重視のマネジメントのようであるが、明確な目的思考を始点とした科学的、実践的な思考プロセス重視型のマネジメントである。

つまり大きな成果、業績は明確な目的を果たすための目標値の設定、これを具現化するための方策とその成果の評価などの具体的な思考プロセスによって決まると言っても過言ではないと思う。

 今一例を挙げたように、われわれ関係者は表面的なキーワードの理解の範囲にとどめず、突っ込んだ話し合い、議論によって、共創の精神を醸成し、さらなる相互理解を深め、着実な実践によってその成果に結びつけなければならないと思う。禅問答ではないが主人公は誰であるかを意識した、県民の一人一人から見て、分かり易い形での価値評価が可能なバリューチェーン・シップが仕事をする上で是非とも必要であろう。

 私はいつも優勝チームの決まったプロ野球の消化試合的仕事だけはしたくないものと心に銘記しており、また県内産業の活性化による発展に少しでもお役に立つよう、評価を恐れず、成果を楽しむ仕事の充実感が得られる事を願って、皆様と共にご期待にそうよう情熱を仕事に注ぎたいと思っている。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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