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1.ロングテール(長い尻尾)とは?
 最近、「ロングテール」という言葉が注目を集めています。聞いたことがありますか?
ロングテール
 上の図は、ある書店が1年間に売った本の、種類別売上高のグラフだと考えてください。
 左から売上の多い順に本を並べてあるので、右に行くほど売上の少ない本ということになります。マスコミでも話題となるようなベストセラー本(売れ筋商品)は、少ない種類で多く売上高を稼ぎ、反対に売れ行きの悪い本は年に1冊から数冊しか売れません。
 グラフ左側の立ち上がったラインを恐竜の頭と見れば、右側に低く伸びるラインは長い尻尾(ロングテール)ということになるでしょう。つまり「ロングテール」とは売れ行きの悪い商品群、一言で言えば「死に筋」商品を意味します。
 当然のことながら、このロングテール(死に筋商品)を出来るだけ排除し売れ筋商品にマーケティング活動を集中することが効率のいい方法とされてきました。
2.ロングテールが売上を稼ぐ?!
 ところが、このロングテールで売上の半分以上を稼いでいるのではないかと推測される書店が現れました。ネット書店「アマゾン・ドット・コム」です。現実の店舗を構える書店では書棚も有限であり、売れ行きの悪い本の在庫を多く抱えることは経営効率を悪化させます。これに対し、ネット書店では売れ行きの悪い本でも極めて低コストで取り扱いリストに載せることができます。実際、アマゾンは230万点もの本を扱っていると言われます。したがって、「塵も積もれば山となる」の道理でロングテールで売上の大きな部分を稼ぐことができるのです。
3.ウェブ・マーケティングで開拓するニッチ・マーケット
 この例からも分かるように、ウェブ(インターネット)を活用したマーケティングにより、極めてニッチなマーケットを対象としたビジネスを成立させる可能性が生まれます。
 ここに1万人に1人の割合で購買意欲を持つ商品があるとします。秋田県全体では約100人しか顧客が見込めません。仮に、顧客1人がこの商品に使うお金は年間1万円だとすれば、この100人全員を自社の店舗につれてくることができても売上高は100万円にしかなりません。これではビジネスとして成立させることは難しいでしょう。
 ところが日本全体で考えると、この商品は1万人以上の潜在的な顧客を持ち、売上規模は1億円に拡大します。秋田市にある現実の店舗に日本全国からこの1万人をつれてくることは不可能でも、適切なウェブ・マーケティングを行うことにより、ネット店舗でこの1万人を相手にビジネスを成立させることは可能です。ウェブ上では現実の事業所がどこにあるかはそもそも問題にならないので、秋田県の企業であってもそれが出来るのです。
 今までは商売にならなかったニッチ商品、ニッチサービスをウェブで販売する、そんな新しいビジネスモデルを考えてみませんか?

【参考文献】
「ウェブ進化論」梅田望夫・著 ちくま新書
「グーグル」佐々木俊尚・著 文春新書
「ロングテールの法則」菅谷義博・著 東洋経済新報社

Amazon.com, Inc.(アマゾン・ドット・コム・インク)
Amazon.com, Inc.(アマゾン・ドット・コム・インク)は、アメリカワシントン州シアトルに本拠を構える世界最大のインターネット書店である。インターネット上の商取引の分野で初めて成功した企業の一つである。本以外にもDVDや電化製品など様々な商品を扱っている。日本では日本法人・アマゾンジャパン株式会社(東京都渋谷区)が日本版サイト『Amazon.co.jp』を運営。現在、アマゾンが進出している国はアメリカ・カナダ・イギリス・ドイツ・フランス・日本・中国(joyo.com)の7か国。インターネット草創期の1994年にジェフ・ベゾスによってCadabra.comとしてインターネット書店が開業され、のちに世界で最大規模の流域面積を持つアマゾン川にちなみAmazon.comと改名された。Amazon.comとしてのサービスは1995年7月より始まっている。

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