タイトル-ビジネスレーダー このコーナーでは、積極的な経営展開を図り市場から評価を得ている企業や、商業者の新たな取り組み、アントレプレナー(起業家)の挑戦などを紹介します。
有限会社ソル・カーサ
有限会社ソル・カーサ  屋根融雪装置といえば「冬だけ」というイメージがあるが、最近では、太陽熱でお湯を作るなど、夏でも活用できるタイプが出ている。しかし、「工事が大掛かりで設置費用が高く、ランニングコストもばかにならない」というイメージが強いためか、実際に設置している家庭はそれほど多くないようだ。
 暖房など住宅設備工事を手掛ける有限会社ソル・カーサは、新築・既築問わず工事期間わずか2〜3日で、施工費・ランニングコスト共に抑えた『屋根融雪システム』を発売した。このシステムは、屋根に設置した当社独自の融雪装置に、ボイラーで適温にした不凍液を流し融雪するもので、一日中稼動するボイラーが発する、“捨てるエネルギー”を回収して利用する優れものだ。オールシーズン使用可能で、夏はその装置でお湯を作り、生活用水として利用できる。
有限会社ソル・カーサ  この『屋根融雪システム』は、荻原社長が「工場の排熱をムダなく利用したい」と考え、試行錯誤して作ったシステムを応用し、開発したものだ。そのシステムとは、「屋根上に融雪装置を設置して不凍液を流し、太陽熱で温まった不凍液を熱交換器に通し、その熱交換器にもう1本通っている管を通る『水』を温め、お湯にする」というもの。できるお湯の温度が若干低いのを補うためボイラーを併用する。当社では、環境と地産地消を考えて、由利原高原産出の天然ガスを使用するガスボイラーをお勧めするが、もちろん顧客の要望次第で電気ボイラーでも対応可能だ。また、このシステムは水や空気に触れない完全密閉型なので、内部からの腐食がなくメンテナンスもほとんど要らない。現在特許申請準備中である。
 また、当社では、貯蔵した雨水を循環させるスプリンクラー式の『簡易融雪装置』も売り出している。雨水を使用するため水道代も0円で済み、雪のない時は洗車や庭の水撒き、トイレの水として使用することもできるため、非常に経済的で環境にもやさしい。
 ほかにも、前述のシステムを利用した『低温ロードヒーティングシステム』を開発している。基本的には『屋根融雪システム』と同じ原理だが、特長は、使用しているドイツ製の『特殊二層パイプ』が文字通り二層構造になっており、その中を流れる不凍液の温度がほとんど下がらないため、保温にかかる費用が少ないことだ。敷設面積により多少の違いはあるが、例えば、26m2では、深夜電力を使って電気代月額7,038円(24時間×30日運転、基本料含む月額料金+循環ポンプ電気代)。1日235円で済む。
 現在、当社では、長時間保温可能な高性能貯水タンクを開発中。今使用している日本製は保温効果が低く、保温性が高いヨーロッパ製は価格が高いからだ。荻原社長は「日本製はメーカーが関東や関西なので北国仕様になっていない。だから、北国に必要なものは北国から発信する。完成すれば輸入品の半分以下で販売できる」と自信たっぷり。環境にやさしく省エネにもなり、さらに経済的な融雪システムなら贅沢品とはいえない。冬に備えて、またわが家の家計や環境のためにも、早めの設置を検討してみてはどうだろう。

株式会社 グリーンケア虹“グリーンケアガーデン”  秋田市外旭川に、三菱商事の子会社で福祉用具レンタルサービス大手の日本ケアサプライが県内の介護事業者と共同で地域密着型の新しい介護施設“グリーンケアガーデン”を開設。平成18年7月1日に小規模多機能型居宅介護事業者の指定(秋田市では第1号)を受けて新たなサービスを開始した。
 小規模多機能型居宅介護事業とは、これまでサービスの種類により別れていた通所介護、訪問介護、宿泊サービスを同じ施設で一体的に提供するという、平成18年4月から始まった新しい介護事業の形態である。
株式会社 グリーンケア虹“グリーンケアガーデン”  従来のサービスでは、例えば通所介護利用者が家庭の事情などで宿泊が必要になると、利用者から依頼されたケアマネージャーが宿泊のできる施設を当たり、空きを確認して予約を入れる。この場合、いつも通いなれた同じ施設に泊まれるかは分からないため、利用者やその家族は不便や不安を感じることが多かったという。
 同施設の新しいサービスでは、利用者は先ず利用者登録(同社の場合定員は25名)を行う。登録者の利用料は、介護度別に1ヶ月の定額制になっており、利用者や家族の都合に合わせて介護保険の適用となるサービスを受けることができ、宿泊も同施設に予約するだけなので、いつも通いなれた施設で安心して泊まることができるというものである(宿泊費や食費など介護保険の適用とならないものは自己負担)。利用者や家族にとっては、家庭の都合を考えながら、日ごろ通っている施設のなじみのスタッフから色々なサービスを受けることができることは、安心感や日ごろの生活のストレス軽減にもつながる。
 同施設にはもうひとつの特徴がある。介護予防、自立支援という観点から、専任の作業療法士を配置しトレーニングマシンを充実させていることだ。高齢者が寝たきりになる要因で最も多く見受けられるのが転倒で、その原因は下肢筋力の低下にあるという。マシントレーニングにより筋力が鍛えられることで、転倒防止や階段の上り下り、歩行速度アップなど行動範囲の拡大が可能となり、より自立した生活につながるのだという。もちろんマシンの負荷に耐えられない利用者には、非マシンによるトレーニングも取り入れており、個人ごとのカルテを作成して対応している。
株式会社 グリーンケア虹“グリーンケアガーデン” このほか、同施設では、認知症予防ゲーム機や会話型介護ロボットの配置、利用者が自ら畑仕事ができる菜園療法の設置など、様々な施策の充実を図っている。
 管理者の田村さんは、「介護保険制度が改正され、今後同様の施設が増えてくると思うが、生活の基本として自宅があり、そのサポート役として小規模多機能ケアがある。利用者と家族の生活のリズムを大切にし、小規模多機能拠点が第2の我が家のような存在になれば、利用者だけでなく家族にも満足してもらえる介護サービスになる」と地域密着型サービスへの手応えと意欲を見せていた。