タイトル-ITコラム
業務改善と経営の成熟度

 企業がIT等を活用して業務の改善を進める際は、自社の経営レベル=経営の成熟度を考慮して取り組む必要があります。自社に小学生レベルの力しかないのに、高校生レベルの改善を行おうとしてもうまくいくわけはありません。

 経営の成熟度とは、「ルールがどれだけ関係者に認識され実施されているか」「そのルールが常に改善されているか」で判断されます。言葉を換えて言うならば、自社において計画(Plan)⇒実行(Do)⇒チェック(Check)⇒対策(Action)のPDCAサイクルがどれだけうまく運営されているかのレベルを示すものです。経営の成熟度は下表のような5段階(0を入れると6段階)のレベルで評価される場合が多いようです。

 この指標は、やみくもに改善を進めるのではなく、「理想的な姿」に到達するために段階的に目標を定めて改善を実行し、その進捗状況を確認しながら着実な業務改善を進める際に使用されます。

 御社の現在の経営の成熟度はどのレベルでしょうか? 下表で確認し、業務改善の参考としてください。

レベル 内 容
5 Optimized (最適化)
継続的な改善と他社の成熟度との比較により、手続きは最良のレベルとなっている。ITを業務の自動化、統合化の道具として使用し、品質と効率を向上するためのツールにしている。ITを有効に活用して、環境の変化に対応している。
4 Managed (管理されている)
手続きの遵守状況を測定することができ、手続きが有効に機能していない場合は、修正が行われている。手続きは継続的に改善され良い実践規範が提供されている。しかし、自動化やIT等のツールの利用は部分的で、統合されていない。
3 Defined (定義されている)
手続きは標準化され、文書化され、訓練により周知され、社内の規範になっている。しかし、個人への依存が高く、逸脱することがある。
2 Repeatable (繰り返し可能)
同じ業務を持つ異なる担当者が、標準的な手続きで対処している。しかし、標準的な手続きについての訓練や伝達は行われておらず、個人が責任を負っている状況にある。個人の知識への依存が高く、過ちが発生しがち。
1 Initial (初歩的)
問題が存在し、対応する必要があると認識されているが、標準化された手続きは存在しておらず、個人ごと、あるいはケースバイケースに思いつきで問題に対処している。
0 Non-Existent (存在しない)
実施すべき手続きが完全に欠落している。対応すべき問題が存在しているにも拘らず、対処していない。