タイトル-特集
地域に根ざし、地域に信頼される高専を目指して 秋田工業高等専門学校地域共同テクノセンター
1. ごあいさつ
 本校は昭和39年に、5年一貫教育と少人数教育を特徴とし、中堅技術者の人材育成を目的に、機械工学科、電気工学科、工業化学科の3学科の高専として発足しました。昭和44年に土木工学科が増設され、その後の社会要請の変化に伴う改組等や、平成6年には、より高度な工業に関する知識と技術を身につけ、独創性と開発力を備えた人材育成を目的に、2専攻からなる2年間の専攻科が設置され、現在の学科・学系になっております。
 本校では、創設の早い時期から産業界との連携を進め、平成4年には地元企業からなる「秋田高専産学協力会」が発足し、地域産業の振興に貢献してまいりました。平成13年4月には、高等教育機関として技術者教育を担って来た高専が、地域産業の技術開発にも寄与するために、地域共同テクノセンターが設置されました。同センターは、
(1) 民間機関等との共同研究、受託研究に関すること、
(2) 民間機関等に対する技術開発相談および学術情報の提供 に関すること、
(3) 民間機関等との技術協力に関すること、
(4) 民間機関等の技術者に対するリフレッシュ教育に関すること
等を主たる業務としております。
 秋田高専は平成16年4月に独立行政法人国立高等専門学校機構を構成する全国55高専の中の1高専となり、本校の教育研究活動、管理運営体制見直しの一環として、テクノセンター運営委員会に学外(大学、県、企業)から7名の有識者の方々に委員として加わっていただき、テクノセンター活動に有益な御意見をいただくことになりました。その上、テクノセンター産学連携相談室をテクノコミュニティ室に設けると同時に、本校と地場企業とのかけ橋、シーズとニーズのマッチングを目指して2名の産学連携コーディネーターを委嘱し、テクノセンターの活動の充実を図ることにいたしました。さらに、テクノセンターにおける活動を迅速かつ充実させるために、平成17年12月に副センター長を設け、今後特に重要性が増してくる知的財産権関連を中心に担当しております。
 本校では、平成4年に設置され、ここ10数年にわたり本校の産学連携をリードしてきました秋田高専産学協力会とテクノセンターとが車の両輪となって秋田高専産学連携を推進しており、シーズとニーズのマッチング、技術研究会や研修会の共同開催等実質的活動を行っています。
 今後、各界のご協力、ご支援をいただき、本校地域共同テクノセンターのアクティビティをより高めていき、地域に根ざし、地域に信頼される秋田高専地域共同テクノセンターでありたいと考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。
2. 主な活動記録
◆1 秋田高専地域共同テクノセンター技術研究会開催
開  催  日 概                     要
第1回
平成15年11月4日
○基調講演: ◆磁気ヘッド等の硬脆材部品を中心とした精密量産加工技術について 機械工学科 落合雄二氏
○専攻科特別研究の公開 於:秋田ビューホテル
第2回
平成16年2月2日
○研究公開: ◆金属チタン表面の極薄酸化に関する研究 物質工学科 石塚真治氏
◆層状構造銅酸化物高温超伝導の固体化学 自然科学系 中島理氏
第3回
平成16年9月22日
○基調講演: ◆ 超音波流量計の研究開発―企業における経験 機械工学科 茂木良平氏
○専攻科特別研究の公開 於:秋田ビューホテル
第4回
平成17年11月4日
○研究公開: ◆企業の開発現場におけるコンピューターの利用 電気情報工学科 山本昌志氏
◆企業の求める英語力 人文科学系 菅原隆行氏
○最新研究設備の見学会 於:秋田高専
第5回
平成17年9月29日
○基調講演: ◆次のステップに進む風力発電 電気情報工学科 高橋身佳氏
○専攻科特別研究の公開 & 共同研究・学科横断型プロジェクト研究の公開
於: 秋田ビューホテル
第6回
平成18年1月27日
○特別講演: ◆環境産業技術への新しいアプローチと材料技術への期待  戦略推進機構(JCII) 染宮昭義氏
○研究公開: ◆実験計画法を用いた意識調査分析法と交通行動モデル 環境都市工学科 日野智氏
◆ドイツ100年前の村づくり―近代プロイセン内地植民政策の思想― 人文科学系 長井栄二氏
○最新研究設備の見学会 於:秋田高専
◆2 『地域共同テクノセンター報』 『研究シーズ集』の発行
 1年間の活動状況をまとめた『地域共同テクノセンター報』を毎年発行し、研究室紹介や研究設備紹介をまとめた『研究シーズ集』を隔年発行(前回平成17年度に発行)しており、平成18年度は『地域共同テクノセンター第4号』を10月に発行いたしました。
◆3 最先端技術講演会の開催
 最先端技術講演会は、平成16年4月1日からスタートした「秋田高専中期目標・中期計画」に組み込まれた企画であり、学生が普段は触れることが少ない最先端技術について、企業の開発技術者から直に話を聞き、自分たちが現在勉強していることがどのように役立つかを理解してもらうことを目的として平成17年度からスタートし、毎年本校の大講義室で開催しております。本講演には、本科5年生と専攻科生のほか、本校教職員、産学協力会企業、秋田県公設研究機関の方々を始め、多方面から参加され、平成18年度は約250名が参加されました。
最先端技術講演会
開   催   日 演 題 お よ び 講 演 者
平成17年度 6月22日 『進化し続けるモノづくり技術』 (株)日立製作所生産技術研究所所長 工学博士 伊藤文和氏
平成18年度 7月12日 『内視鏡医学と最新技術』 オリンパスメディカルシステムズ(株)商品企画本部部長 小納良一氏
◆4 全国高専テクノフォーラムへの参画
 全国の国立・公立・私立の高専間における情報交換・交流の場として、各回検討テーマを設定して、平成15年より北から南へ当番校が替わって開催しております。(国立55高専を含め全国から60高専が参加)
全国高専テクノフォーラム
開   催   日  主管校    テ ー マ 名
第1回 平成15年8月25〜26日 釧路高専 『産学官協力に向け全国高専はいかに連携するか』
第2回 平成16年7月20〜21日 宮城高専 『産学官連携における高専間連携』
第3回 平成17年8月22〜23日 豊田高専 『Co-operative Education(共同教育)を見据えた産学官連携・地域連携』
第4回 平成18年7月20〜21日 長岡高専 『産学官連携・地域連携を通した共同教育』
◆5 知的財産教育講演会
 高学年(5年生、専攻科生)を対象とした知的財産権に関する弁理士による講演会を平成16年度より開催しています。高専OBの弁護士の方を中心にご講演いただいていており、2006年度は秋田高専OBの方にお願いしました。本講演会には本校学生のほか、本校教職員、産学協力会企業の方々や秋田県公設研究機関等、多方面から参加されて、平成18年度は約200名の参加を得て開催しました。
知的財産教育講演会
開   催   日 演 題 お よ び 講 演 者
平成16年 10月20日 『卒業研究から特許を生み出す』 創生国際特許事務所所長  弁理士 佐藤辰彦氏
平成17年 10月 5日 『高専学生への知的財産に関する期待』 牛久特許事務所所長  弁理士 牛久健司氏
平成18年 10月11日 『特許の基礎知識―企業開発者が知っておくべきこと―』 大塚国際特許事務所 弁理士 永川行光氏
3. 産学連携事業の推進
◆1  外部資金
 受け入れ実績一覧
◆2 共同研究及び受託研究
 共同研究は、秋田高専が研究者(教員)と研究施設を提供し、企業等から研究者と研究経費等を受け入れ、双方の研究者が協力して共通の課題を研究します。ま た、高専の研究者が企業に出向き、企業の研究施設を利用して行う場合もあります。
 受託研究は、秋田高専が、企業等からの委託を受けての特定の課題を研究します。なお、研究に要する経費は委託者の負担となります。
 奨学寄付金は、秋田高専が企業等から学術研究の奨励や教育の振興を目的に寄付金を受け入れる制度で、寄付者は研究目的や教員を指定できます。
4. 共同研究の事例紹介
〜 秋田高専地域共同テクノセンター 第7回技術研究会のご案内 〜
時 期:平成19年2月23日(金)13:30〜18:30   場 所:秋田高専 大講義室ほか
研究発表(15:00〜15:40、秋田高専大講義室)
 学科横断型プロジェクト研究中間報告
 (1): ナノテクノロジーを用いた次世代生産技術―界面構造制御による電子デバイスの高能率化―
秋田工業高等専門学校 電気情報工学科教授 浅野 清光
 (2): 局所構造制御による機能性材料の開発―置換型固溶体を主とする機能性材料の合成と特性評価―
秋田工業高等専門学校 自然科学系助教授 黒田 潔
特別講演(15:40〜17:30、秋田高専大講義室)
 演題(1): 秋田県の産学連携に関する取組と今後の展望
講師 秋田県産業経済労働部参事
(あきた企業活性化センター プロジェクトマネージャー)  吉田 徹 氏
 演題(2): 東北大学の産学連携及び地域連携に関する取組と今後の展望
講師 東北大学産学官連携推進本部研究推進部長
(特定領域研究推進支援センター プログラムオフィサー)  霜山 忠男 氏
ポスターセッション (展示時間:13:30〜18:30、秋田高専テクノコミュニティ)
秋田高専専攻科特別研究、共同研究、学科横断型プロジェクト研究等の展示

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