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秋田スギ製材品の乾燥技術向上をめざして 秋田スギ乾燥技術研究会

 これまでの木造住宅は、木が持つ性質を活かしながら伝統的な技術によって時間をかけて建てられてきました。しかし近年、木造住宅においては大工職人の減少、生産効率向上やコストダウンの観点などから、専用機械を使った工場生産ラインの中で十分に乾燥した木材をあらかじめ加工するプレカット加工が急速に普及し、特に大都市圏ではプレカット率が90%を占めると言われるまでになっています。このように、プレカット加工は従来の建築構法や木材の流通構造を大きく変える要因となっています。
 一方、住宅の品質・性能に対する消費者の関心の高まりや、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行されたこともあって、施工後の木材の寸法に狂いを生じさせない対策も極めて重要なものとなりました。
 このようなことから、住宅産業界では寸法精度、強度、含水率が明らかな乾燥材や集成材を求めるようになりました。しかし、スギ材は難乾燥性のため高度な乾燥技術が要求され、加えて生産体制が十分でないこともあって、木材生産量全体に占める乾燥材の生産割合が少ないのが現状です。
 このため、県内木材産業界と秋田県立大学木材高度加工研究所との連携によりスギ材の乾燥技術の課題に適切に対処するため、平成14年8月、「秋田スギ乾燥技術研究会」が設立されました。当初は平成17年度末までの時限研究会として、スギ材の乾燥技術に関する研修会の開催、情報の提供や調査研究などの活動を行い、その結果、会員企業の知識習得、乾燥技術力向上に一定の成果を収めることができました。
 しかし、木材乾燥技術に関する調査研究は全国各地で日進月歩の勢いで進展していることもあり、産地間競争に打ち勝つためにも研究会を存続させ、活動を積極的に展開し、会員企業の乾燥技術力向上に努めることが重要であるとの認識から、平成18年度からは期限を限定しない研究会として会員企業17社で再出発したところであります。
 また、今年度は文部科学省の「都市エリア産学官連携促進事業」の一般型に「秋田スギの利活用技術及び木質バイオマスの総合利用技術開発による“親環境”木材産業の形成」が採択され、平成20年度までの3ヶ年間、秋田スギをテーマとした6課題について木材高度加工研究所を核として調査研究を行うこととなっており、当研究会も6課題のうちの1つである「秋田スギ等地域材流通システムの構築」に参画し、秋田スギ乾燥材の安定供給システムの構築に向けて情報収集などの活動を行っているところであります。
 事業初年度となる今年度は、木材乾燥拠点施設「協同組合秋田スギ乾燥センター」(仙北市)において平角(梁、桁などの断面積の大きな住宅部材)の人工乾燥材生産の現地視察を実施し、高周波・蒸気複合乾燥機の乾燥コストや製品管理などについて情報収集を行いました。また、(有)イムノバックス・ジャパン代表取締役伊藤隼夫氏を講師に迎え、「木製乾燥機にみる新たな取り組み〜木材の不燃化に向けて〜」と題して講演会を開催。木材乾燥技術におけるこれまでの固定概念から脱却し、細胞生理学の水チャンネル理論を応用した木材の乾燥法について学びました。
秋田スギ乾燥技術研究会  会長(協同組合サンエース秋田小笠原 高志

秋田スギ乾燥技術研究会 会長
(協同組合サンエース秋田)

小笠原 高志
 県内のスギ乾燥材生産工場(58社)で生産するスギ乾燥材は年間約37千m3。これはスギ製材品生産量全体の約14%にすぎません(平成16年)。秋田スギの需要拡大を図るためには乾燥材の供給能力を高めることが重要です。
 当研究会は今後も引き続き、乾燥技術力の向上を図りつつ、企業間の連携を深め、秋田スギ乾燥材の安定供給体制の整備に取り組んでまいります。当研究会の活動について興味を持たれた方は、事務局までお気軽にお問い合わせください。

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