経営探訪 株式会社 坂本バイオ
「かもしれない」からのスタートで、機能性食品・機能性化粧品を創造。
株式会社 坂本バイオ
研究あっての起業
 株式会社坂本バイオの坂本賢二社長は、早稲田大学卒業後、大手製薬メーカーの筑波の研究所に所属し、群馬大学でも研究に従事し、医学博士号を与えられ、新薬の開発に邁進していた。平成7年、湯沢市皆瀬の秋田県地熱開発利用センター(当時)で地熱利用などの研究を行ったのをきっかけに個人事業として開業。その後現在地に移転し、平成12年に現在の社名に変更、株式会社化した。坂本社長は「好きな研究をしながら、憧れの田舎暮らしをしようと思って秋田に移り住んだら、縁あっていろいろなことをやることになって。あっという間に10年経ちました」と笑う。白衣を着た姿は博士そのもので一見講義でも始まるのかという雰囲気だが、話し始めるとビジネスマンとしての意識も非常に高い。これまでも、中小企業事業団からの委託研究、各団体からの奨励金や補助金を受けるなど、意欲的に技術の産業化に取り組み、その研究開発力が高く評価されている。
機能性食品の開発
 坂本バイオは、心と体、環境にいい天然素材を見出して、世の中に役立てたいという理念の基、美容と健康に有効な成分の研究、製品化・商品化に取り組んでいる。その素材の一つが鹿角霊芝(ろっかくれいし)である。霊芝(れいし)(マンネンタケ)というキノコの一種が、ある一定の環境下で鹿の角のような形に成長したものを鹿角霊芝と呼ぶ。「成分の約50%を占めるβ(ベータ)−グルカンは、抗腫瘍活性が確認されており、その他にも、血糖値低下作用、抗肝ガン作用、抗ヒスタミン放出活性、血圧低下作用、肝保護機能など多くの作用が確認されている物質が含まれている。鹿角霊芝は非常に多くの機能を持った素材で、古くから中国で健康維持に利用されてきた」そうだ。
 同社は、この栽培方法を研究し、機能性の高い鹿角霊芝を安定して栽培する技術を開発することに成功し、平成15年より中国の子会社において本格生産をスタートさせた。同社の鹿角霊芝「王角(おうかく)®」は、これまで民間治療薬として手に取られてきた鹿角霊芝の効用を実証したもので、多くの論文でその機能性を発表し評価を得ているという。現在は、一般向け小売製品として、粒状サプリメントとドリンク剤を販売、その一方で他メーカーへ原料・OEM製品を供給している。
株式会社 坂本バイオ
美白成分を活かした機能性化粧品
 「王角®」の実証を進める中、坂本社長らは、モニターや愛用者の「肌が白くなった」という想定外の反応に着目。「なにかあるかもしれない」と実証に着手した同社に、ここで頼もしいパートナーが登場する。秋田県農林水産技術センター総合食品研究所である。鹿角霊芝のメラニン産生抑制の研究は、研究所との共同研究として進められ、研究所が有する高度な設備を活用した実験が可能になったほか、公設試験研究機関との共同研究を対象とした、(財)あきた企業活性化センターの「テクノ共同研究開発助成金」を得、秋田県学術国際部「戦略的共同研究プロジェクト」に採択された。
 メラニンを生成する皮膚色素細胞に「王角®」のエキスを与え3日間培養後観察すると、見事、黒かった細胞が無色透明になった。研究所と、構造解析など更に実験を繰り返した結果、エルゴステロールペルオキシドという成分がメラニン生成を抑制することが分かり、「鹿角霊芝に美白効果がある」ことが実証された。、そこで同社と研究所は鹿角霊芝の化粧品原料製品を開発し、認定・管理の国際機関であるCTFA(Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Assosiation)より、新規化粧品原料として認められ、「ガノデルマアンボイネンセエキス」(ガノデルマアンボイネンセは鹿角霊芝の学名)の表示許可を取得、平成17年12月より営業を開始した。
 すでに化粧品メーカー数社に販売し、「ガノデルマアンボイネンセエキスと成分表示された商品が一般に販売されている。「秋田って秋田美人のイメージが強いですよね。やっぱり秋田の企業が化粧品を作らないと。秋田美人の知名度を利用して、将来的には自社ブランドの美白化粧品を売り出すことができれば」と話す坂本社長。
研究者と会社の未来
アルコ・インターロック・プロ 「風邪を引いたらこれを飲むといい」、「切り傷にはこの草がいい」。そんな言い伝えのようなものに「なにか真実があるかもしれない」と調べると、意外と科学的な事実が発見できるんです」。そうして、自然素材を産業化していく研究が、坂本社長のライフワークになっているように感じられる。
 現在、鹿角霊芝の他、シベリアで暮らす人々の血管・血流を安定させていた事が分かったというシベリアカラマツ、中国の陸上選手が服用し、脂質などの代謝改善が期待できる事が判明したというヤマブシタケなど、「うちは本当にいろんなものをやっている」という言葉通り、世界中の素材を発掘、製品開発、販売している。若手研究員とともに、試験研究に邁進する坂本社長。秋田から世界へ、人と環境に「効き目」のある製品を送り出してくれることを期待したい。
CORPORATION DATA
株式会社坂本バイオ
(本 社)
〒010-1233 秋田市雄和女米木字高麓沢25
TEL.018-886-3001 FAX.018-886-3062
(営業所)
〒113-8551 東京都文京区湯島二丁目18-6
TEL.03-5802-8088 FAX.050-7544-2740

URL http://www.sakamotobio.com/