タイトル-ITコラム
「2.0」 Profile: ソフトアドバンス株式会社 代表取締役 ITコーディネータ 菅原 亘
2・0

 最近、あちこちで「なんとか2.0」という言葉を耳にしていることと思います。この、何か新しい展開が始まるような雰囲気を持つ言葉の語源が、次世代インターネットを象徴する「Web2.0」というキーワードであることをご存じでしょうか?
 この言葉は、ティム・オライリーという方が2005年に発表した論文によって、広く世界中に知られるようになりました。誰もが感じていた、最近のインターネットとWebの変化を象徴的に表した言葉として、IT関係者やメディアに広く浸透しています。
 「Web2.0」は、製品や概念を具体的に表した名前ではなく、最近のWebをめぐる様々な技術革新と、概念や使い方の変貌を、1つのムーブメントとしてとらえて名付けられたものです。「Web2.0」をインターネットで検索すると、たくさんの情報が出てきますので、今回は「Web2.0」そのものの紹介は割愛し、「2.0」という語感について思うことを書いてみようと思います。


 もともと、「なんとか2.0」というのは、ソフトウエア(とは限りませんが)の製品名と、そのバージョンを表した呼び方で、有名な製品としては「Windows3.1」などがありました。
 慣用的に、整数部はメジャーバージョン、小数点以下がマイナーバージョンを表します。

 初めて製品をリリースしたときは、「1.0」となり、その後、細かな要望やバグ修正に対応するたびに、少数部の数字が「1.1」「1.2」「1.21」等のように、少しずつ大きくなっていきます。整数部は、「1.6」→「2.0」のように変化し、同じ種類の製品であっても、コンセプトから考え直して、まったく別に設計・開発して生まれ変わったときに加算されます。クルマの新型と同じように、同じ名前が製品ラインを継承することを表しますが、中身は別のものになっています。

 さて、「2.0」という語感は、新しいことにようやく慣れ親しんだその先に、様々な夢や希望が現れてきて、その実現を目指して大きく羽ばたいて行くような感じがします。これが「1.5」では今までと大きく変わらない感じですし、「3.0」や「4.0」だと、コンセプトの熟成感のほうが先に立ちます。小数点以下が0というのも大事です。何度も修正を繰り返して使い慣れた「1.x」を捨てるわけですから、そこにはリスクを恐れずに新しいことに挑戦する姿がイメージされます。

 また、「2.0」によってイメージされる別の側面は、「1.0」によって変化が起こった世の中に改めて対応し、新しい変化を引き起こそうという、自己のリフレッシュという面です。技術、ビジネスモデル、業界再編、ユーザの嗜好、リソース調達方法、経済状況などが常に変化しているなかで、時代のトレンドを大きく捉えて対応し、新しい価値を生み出していくことが、何かを「2.0」にバージョンアップする意義であろうと思いますし、変化に対応するという意味では必然でもあります。

 オライリーは、その論文「What Is Web 2.0」のなかで、「Web2.0」を7つの項目にまとめて我々に提示しました。
 この7項目は、現在進行形であるWebの進化を、改めて明確に表現した以上に、次世代のWebがどのようなビジョンを示しているかを表現しています。実際に具体的な製品のバージョンアップでもないのに、これほど広く受け入れられたのは、この言葉がWebの新しい世代を予感している人々にとって、明確にその未来ビジョンが表されていたからだといえます。

 ここで提案です。会社の「2.0」を考えてみてはいかがでしょうか。

 現状を「1.0」として、「1.1」はどの段階、「1.2」はどの段階、そして、「2.0」はどんな姿なのかを考えてみてください。「2.0」は「1.x」よりも、ずっと魅力があるはずですし、現状にとらわれずに未来を描くことができます。

 「2.0」へのバージョンアップは、新しい価値をもったビジョンと、それを支える技術・仕組の両方が必要になります。様々な経営リソースを改めて見直して、「2.0」に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 ITシステムが経営のマストアイテムになっている現在、ITコーディネータがお手伝いできることはますます増えています。経験を積んだITコーディネータが集まっているITC秋田に、ぜひお気軽にお声掛けください。

(2007年7月 vol.312)