タイトル-経営さぷりメント



CTPTマーケティングの実践価値



秋田中央税理士法人 代表社員 杉山 隆

 
なぜ増販増客が実現する?
 大企業の増収増益の話しやIT系企業の派手な話しを、昨今よく新聞やニュースで目にし、耳にするようになりました。しかし皆さんのお仕事においては、景気回復の実感がございますか?大半の方は、今ひとつ回復実感に乏しいのではないでしょうか。中小企業や商店の経営者の方々からは、まだまだ、「売上が減少している」「お客様が減った」「資金繰りが厳しい」などのお話しをいただきます。
 そんな中、実はとてもうまくいっている中小企業や商店が存在します。「毎年20%〜30%の割合で売上が増加している」「催事販売会で前年の120%、その後の売上を合わせると300%を達成した」など、少し聞くと信じられないような成果をあげています。
 それでは、なぜこのようなことが起きているのでしょうか。その秘密が、「CTPTマーケティング」にあります。CTPTマーケティングは、近年非常に高い確率で成果が出る方法論として実証・注目されているマーケティング理論で、これら成功事例はすべてその手法に基づくものなのです。

攻めのノウハウ
 中小企業や商店の皆さんには、コンサルタントや「売上を上げる」という話に対して非常に厳しい拒否反応があります。よく聞いてみると、実情に合わない提案やアイデアレベルの対応で、成果が出なかったとのことでした。私はそれを聞いたとき、「私達会計人の出番だ!」と確信いたしました。
 なぜ会計人が、と思われる方も多いことでしょう。私達会計人は、本来税務会計をはじめとしたマネジメントを主業務としていますし、今もそれは変わりません。マネジメントとは「守り」です。しかし企業経営は、「守り」だけでなく、マーケティングという「攻め」、増販増客のノウハウも必要とするのです。
 キャッシュフローの重要性は企業経営の中でもよく出てくる話題ですが、「財務・投資・営業」がその三大要素といわれています。しかしビジネスをやる以上、一番重要なのは営業キャッシュフローです。借入や補助金も大切ではありますが、増販増客を果たしての収益確保、これこそが中小企業や商店のおかれた実践課題です。
 私達はある時それに気付き、日本マーケティング・マネジメント研究機構(JMMO)の実践研究活動を通じてそのノウハウを学び、活用・応用してまいりました。「守り」を知っている私達が「攻め」のノウハウを身に付けることができたのです。

あなたにもできる
 私が税理士になってからもう28年目に入り、年々顧問先の皆さんの申告状況が思わしくなくなる状況に直面してまいりました。しかしCTPTマーケティングのもと、「待ち」の商売から「攻め」の商売に移行されてきた顧問先様は、ここ数年ほど前から着実に売上高を伸ばし始めています。あなたにも、成功事例を創出できる可能性が十分にあるということをご理解いただけることと思います。

CTPTマーケティング
 CTPTマーケティングのCTPTとは、以下の4つの頭文字をとったものです。
C…コンセプトどんな事業、商品、サービスを提供するのか。
T…ターゲットどんな顧客に、見込客に、市場に提供するのか。
P…プロセスターゲットに知ってもらうところから購入に至るまで、さらには継続する関係を築くまでに、どのような道筋を描くか。
T…ツール各種の関係づくりのプロセスの中で、どのようなアイテムを利用するのか。
 まず、ターゲット(T)となるお客様が本当に求めているコンセプト(C)かどうか、整合性を検証してください。その上で、いかに購入や継続までの段階を上ってもらうかのプロセス(P)を考えながら、最適なツール(T)を投入していくのです。そして、最終的には、F(ファン化、頻客化)。ターゲットに商品やサービスはもちろん、自社や自店のファンになっていただくのです。


売上増の方程式
 売上を考えるとき、売上=客数×客単価だけで考えてはいけません。大半の企業も店舗も、目標とする売上高が達成できない問題を抱えております。しかし、方程式を持つと変わります。
 店舗販売では、目標額を達成できないとき、販売会売上の方程式に基づいて実施すれば、通常売上に販売会の売上高が加算されます。
(例)販売会売上=DM配布枚数×回収率×来場率×購入率×客単価
 営業活動においては、業種によって異なるものの、とくに新規顧客獲得の方程式を持っている企業は確実に売上を伸ばしていきます。
 また、記念日売上の方程式は飲食店の定番です。一定の割合で予約を確保できれば、通常売上に加算されます。
(例)記念日売上=DM発送数×反応率×来店率×客単価
 住宅会社では、身内・近隣受注額の方程式があります。建築して頂いたお宅に対して、小まめに点検したり身内としてのコミュニケーションを怠らず行うと、紹介需要が派生します。
(例)身内・近隣受注額=名簿数×見込客率×問合せ・紹介率×契約率×客単価
 商圏内のお宅に出入りしてご家庭の家電製品の実態を掌握している家電店には、訪問販売の方程式が当てはまります。買替周期のタイミングに小まめなコミュニケーションと訪問販売で、個客が大手量販店に流れず、需要に繋がっていきます。
 その他多様な方程式があり、他業種に利用できることも多々あります。方程式ができると次回実施時に改善の指標ができ、計算づくで売上倍増、ヒトケタ増が可能となるのです。

成功が増殖していく
 大仙市の(有)高橋ふとん店は、商売最悪期の2月と8月にプロセス(P)とツール(T)を事前に詳細設計した上、販売会を開催し大きな成功を収めました。全国的に注目され、2004年の増販増客コンファレンスで発表、「勝利の方程式」を構築したとして絶賛されました。同社は、前後5回の販売会を開催し、方程式化したノウハウを増殖させ自社内で浸透を深めております。いったん勝ちパターンができれば、プロジェクトの進行において共通語ができます。人材が育成され、さらに成功が増殖していくのです。
 秋田市のホームテック株式会社は、CTPTマーケティングの手法を学ぶ中で同社独自の「ファイル営業」を作り上げました。そして、催事販売で来場意欲に結実させ1回5,000万円受注体制を築きました。そうして「待ち」の通常販売に「攻め」の催事販売を相乗させる方式を1サイクル回転させ、通常販売をも「攻め」に進化させました。

PTモデルの再現性
 2社の経験が示すように、PTを細やかに設計・実践することで売上が劇的に変わります。そして、同じ方法を他で使えるか実験・検証し、PT仮説を完成させるわけです。PTモデルでの再現性は高く、あとは細部の課題を詰めていけばいいのです。すると、さらに売上は上昇します。単に上昇するだけではなく、計算づくで売上を立てられるのです。
 このPTモデルの水平展開を次々に増殖させ加速させることが、ビジネスの勝ち組への道です。

地域企業の活性化
 以上、CTPTマーケティングの実践価値をご説明いたしましたが、皆さんがこの方法論に興味を持たれ、ひいては増販増客に関する悩みを解消し元気に生きていく糧に、さらには地域企業の活性化にお役に立てれば幸いです。自然から求められる企業への進展を祈念します。
(2007年8月 vol.313)