タイトル-ITコラム
緊急地震速報の活用例 Profile: ADK富士システム(株) ITコーディネータ 近藤恒一緊急地震速報の活用例

 9月1日は「防災の日」ですが、関東大震災と台風襲来時期の意味合いで制定されたそうです。今回は防災の取組の一環としてマスコミ、各種メディアでも最近よく取り上げられ広報されている「緊急地震速報」の活用についてご紹介いたします。

 火山の上に有るといっても過言ではない我が国は、地震そのものを避けることはできません。しかし、事前に地震が来ることが分かれば、被害を低減する為に色々な対策、準備ができると考えている方は多いでしょう。また、生産設備の保護、製品の損失の観点から、自社の敷地内に独自に地震計を設置し、活用している事業者の方もいらっしゃいます。

 気象庁の5月末のアンケート調査(インターネット)では、名前を知っている人は35%、概ね聞いたことがある人を合わせると84%で、知っている及び聞いたことがあると答えた人の内、内容を正確に理解している人は39%(回答者全体の33%)だったそうです。まだまだ認知度が低い状況です。今号の発行時には次回の調査結果が発表(9月予定)されているかもしれませんが、どの位まで正しい認知度が上がっているでしょうか。このコラムが広報の一助になれば幸いです。

 さて、緊急地震速報とは一体どういうものでしょうか。気象庁が2007年10月1日から国内一般向けに配信を開始すると発表しており、また、これに合わせてNHKがテレビとラジオで10月1日から緊急地震速報を放送すると発表しています。

緊急地震速報とは

 全国に設置している地震計、全国約1,000箇所(気象庁200、防災科学研究所800)での観測データが元になっています。
 地震の揺れは、小さな縦揺れ(P波)が来てから、大きな横揺れ(S波)が来ます。この2つの波の伝播速度の違いを利用し、P波を観測した時点でS波の到達場所、到達時間、予測震度などを自動計算し速報するものです。

・P波(プライマリ波:初期微動)揺れは小さいが伝播速度が速い縦波(秒速5〜7km)
・S波(セカンダリ波:主要動)大きな揺れの横波(秒速3〜4km)

 速報の仕組みは、地震発生→震源の近くの地震計でS波を観測→気象庁へデータ伝送:想定震度を自動計算→(財)気象業務支援センター経由→一次配信(報道機関・防災機関・申請事業者など):主要動が始まる数秒〜数十秒前に伝達→二次配信(市民、契約事業者など)という具合です。
 例えば、A地点への予測到達時間、予測震度、B地点への予測到達時間、予測震度が一次配信されます。

地震検出・速報の弱点

・直下型は速報が間に合わない。(S波、P波の間隔が無いため)
・誤報が有る。(落雷など)
・予測震度に誤差が有る。

 一方、経営においても情報化により企業活動全体を見えるようにし、大きな打撃を受ける前に予知し、対策を打つことが大事です。問題点を小さいうちに検出する、対策を打つ、大きな打撃を回避する、この手段としてもITは非常に有効です。
 ITCは経営情報から、現場システムの構築まで幅広くご支援いたします。どうぞ、お気軽にご相談ください。

■ご参考
 気象庁の緊急地震速報のホームページ
 http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/
kaisetsu/Whats_EEW.html

■情報伝達の形態例

■活用例
生産ライン
:安全確保、作業者・防災担当者への通報
:被害低減、早期復旧、生産設備・情報システムのバックアップ
住   宅
:自動的に火を消したり、避難路を確保するなどの自動防災システム
建設現場
:作業の中断、工作機械の停止、安全な場所への移動
病   院
:医療行為者への通知、器具の飛散防止

■活用構成例
(MJ@lertは三菱スペースソフトの商標 画像はJFEシステムズ資料から引用)
※緊急箱(受信装置)の接点出力を利用し現場のシステム動作の制御が可能です。

  
(2007年10月 vol.315)