タイトル-特集2
「元気出せ!秋田の企業 第4回成功事例発表会」秋田県の元気の源は、中小企業の成長・元気にあり
山田理事長
根津谷理事長
 財団法人あきた企業活性化センターは、NPO法人元気企業創造機構(ECCO)と共催で、平成19年11月20日(火)、秋田市において「元気出せ!秋田の企業 第4回成功事例発表会」を開催いたしました。第4回となった今回は、顧客の見極め、商品開発コンセプト、事業展開の立案などに共通の鍵をお持ちの3名の経営者から、講演・事例発表をいただきました。その概要をご紹介いたします。
 
基調講演要旨
「全ての事は、人次第」イオン株式会社 専務執行役 西谷義晴 氏
 私と東北地方との関わりは、平成6年5月から3年半の間、イオンの東北支社長として東北六県の事業開発を担当したのが始まりで、その後、グループ会社等を経て、今年の5月に専務執行役に就任いたしました。
 私は、いろんなチャンスを与えてくれる企業であり、学歴、年齢、男女、中途採用者の差別なく、人事は公平を原則とし、チャンスは平等で、判定が公平である、こんなイオンの姿に喜びと感心をもって勤めております。そんな環境の中で私は、常にハングリーで、常に問題意識を持ち、運命に逆らわないで、何よりも人との交わりあいを大切にすることとしております。
 現在、イオンの利益の半分以上は、飲食サービス、金融、ディベロッパー事業等の非物販事業が占めています。ショッピングセンターに来店されるお客様のニーズは、どんどん高度化、多様化しています。これらの期待に応え続けなければ、すぐお客様から見放されてしまいます。この危機感が、私達のこれまでの歴史、そして時代変化への対応をささえ続けてきた源となってきました。
 イオンが創業以来育ててきた企業文化に2つの要素があります
@お客様視点の愚直な追及
 これは、何がお客様の豊かさ、便利さに通じているかを考え続けています。
A失敗には、寛の精神
 失敗に寛容になることでグループ内のチャレンジ精神を育ててまいりました。その結果、大胆にリスクを取って新たな市場を創造する数々の事業が生まれ、その一部は大きく成長しました。
 「経営とは、人を通じて事を成すことだ」と思っています。私達の店舗の売場は、従業員を含め地域の人々によって支えられており、仮に経営者がどんなに優れていたとしても、それを実行する現場の人々の士気が上がらなければ、真剣に取り組んでもらわなければ、良い結果はでない。自分の考えと同じように出来るはずだと思い込むことや、経営の全ては人次第であることを、つい忘れてしまうようでは、企業に携わる人々からの理解は生まれてこないと思われます。
 常に、その人の心を燃え立たせることが必要だと考えます。一つの提案として、いかに早くから、次世代の経営候補者がこういった課題への意識、対応力を養っていくかということが大事になってきます。
 最後に、社会の外部環境は、めまぐるしく変化しています。そのような状況下において私達は、イオンの基本理念である「お客様第一」を中心に事業の繁栄を通じて、平和、人間、地域を尊重してまいります。どのような環境変化がおとずれたとしても、この理念だけは、不変です。そして、この理念を通じ、単に商品を売るのではなく理念に基づく新たな事業展開や社会貢献等さまざまな活動を、この秋田の皆様と共にしていければと切に願っています。
成功事例発表要旨
「無店舗販売で健康なお年寄りに寄与する若返りまんじゅう」有限会社泉栄堂 代表取締社長 泉 寛 氏
 現在の菓子業界は、年間3兆2千億円の売上げで、その中で和菓子業界が4千9百億円を占めています。店舗規模からいうと4人未満の店舗が68%という業界です。私が3代目として泉栄堂を親より引き継いだ時、売上げを上げるためスーパー等に品物を置いてもらうべく営業活動をしました。結果、売上げは伸びましたが、忙しいだけで利益が出ない、この状態を打開するには、自ら外に出て販売しなければならないと考え、首都圏で販売するようになりました。現在の出張販売のきっかけとなったのは、東急東横店の地下鉄の出入り口に店を出したことです。通常の倍の売上げ出て、これをきっかけに、大勢の人達が出入りする場所で販売するという泉栄堂の販売手法ができました。
 泉栄堂の「若返りまんじゅう」は、昨年120万個を売上げ、今年は1.5倍の180万個の売上げを目標としています。なぜ「若返りまんじゅう」が売れるのか?「若返り」という言葉に顧客が反応してくれることもありますが、徹底した対面販売にこだわったことで、お客様からのお問い合わせ、テレビ、新聞等の取材につながり、知名度アップしたことが大きいと考えています。
 その他、売上げが上がる方法として、売れている店の調査をする、商品の大きさ、価格、従業員の頭の良さ、笑顔、包装、商品説明力、清潔さ、立地条件などがポイントとして挙げられます。また、一つのアイテムで風を吹かせる、一番売れている商品を集中して売っていくといった戦略も有効です。
 また、売上げが上がらない理由として、戦略的に問題がある、実行する人がいないなどが挙げられます。これらのポイントを考えたとき、おかげさまで私は家族、従業員に恵まれました。やはり企業は人だなと、とても感謝しています。
 今後は、お客様に喜んでもらえる商品を開発して、今までの顧客名簿5万件を有効利用して新商品を紹介していきたいと考えています。
「道の駅ねむの丘の経営戦略」(財)にかほ市開発会社 道の駅象潟「ねむの丘」 支配人 山田勝四郎 氏
 道の駅象潟「ねむの丘」は、秋田県で11番目の道の駅として平成10年3月にオープンしました。
オープンにあたり話題づくりとして、秋田県に関わりある、作詞家、作曲家、歌手に依頼し「ねむの丘」のテーマソングを制作し、テレビ等で放送したことより、地元の皆さんとの連帯を深めることができました。
 道の駅にお客様が何を期待しているのか、それは、
  @情報発信機能
  Aドライバーの休憩機能
  B地域との連帯機能
の三つが考えられます。地域には文化があり、食があり、景観がある。お客様がそれらを知りたいと思うのは当然のことです。
 「ねむの丘」は、お客様の要望に応えるべく、日本海と鳥海山の恵みを売るということを心がけ、地場商品開発(特産品)を積極的に行い、ローヤルゼリー・はちみつ入り特製ポン酢「ゆずぽん」等のヒット商品が生まれました。
 その後、道の駅象潟「ねむの丘」ができたおかげで、にかほ市は観光人口が約60万人増加しました。関東、東北地区の観光会社への積極的なセールスを行い、年間に観光バス800台に立ち寄っていただき、弁当に三つ折のパンフレットを置いて自宅に持ち帰り宣伝してもらう、というような地道な活動の成果が出たと思われます。
その他、従業員の教育にも力を注いできました。従業員を採用する時は、道の駅を笑顔の発信基地とする、地元のために頑張れる人材か、といった点をポイントにし、おもてなしの3配り(@目配り A気配り B心配り)と、サービスの3大ポイント(@健康な笑顔 A親切な言葉 B迅速な動作)を押さえ、きちんと礼儀を教育しています。
 最後に、今はどこの企業も大変だと思いますが、常に「情熱」を忘れず頑張ってほしいと思います。

 この後、西谷氏、泉氏、山田氏を交え、パネルディスカッションが行われ、活発な意見交換がなされました。

お問い合わせ先
財団法人あきた企業活性化センター 営業統括グループ
TEL.018-860-5610 FAX.018-860-5704
NPO法人元気企業創造機構(ECCO)についてはホームページをご覧ください。
http://www.npoecco.org/

経営改革総合支援事業による実施例
 経営改革総合支援事業による支援企業をご紹介します。財団法人あきた企業活性化センターは県内企業の経営革新・経営改革のための取組を応援しています。

東北物産株式会社
代表取締役 深澤 功
秋田市広面字碇88-1
TEL 018-825-0030
FAX 018-825-0032
URL http://www.tbcompany.co.jp/
担当の樋田さん
 近年、オフィスや設備関係の急速なIT化が進み、電気・電子設備機器の情報ネットワークが普及・発展してきた。現代社会は、必要な情報を必要な時に容易に手に入れることができる情報ネットワーク社会であるが、電気・電子設備機器が損壊するなどで情報通信が途絶えると、最悪の場合には社会が混乱し多大な損害を被ることもあるなど、いわば情報の安定供給を前提として成り立っている社会である。そのため、高度情報化社会の進展に伴い、ますます電気・電子設備機器の運用に対する高い信頼性の確保が重要であり、中でも、機器が最も影響を受けやすい雷への対策が身近な課題となっている。
 東北物産株式会社は、主に消防設備の保守点検や火災報知設備、消火設備等の請負工事を行っているが、取り扱っている消防設備の多くが雷の被害を受けやすい電気設備であることから、いかにして雷の影響を受けずに安定した設備の供給を進めていくべきかが重要な課題であった。
 落雷には建造物や設備等へ直接落雷する「直撃雷」と、近くに落雷したときに雷の放電路を流れる電流により電磁界の急変で生じる過電流・過電圧の「誘導雷」があり、雷による電気・電子設備機器の被害のほとんどが誘導雷によるものである。雷対策でよく知られているのは避雷針などの外部雷対策だが、避雷針は直撃雷対策用の設備のため誘導雷対策には無効である。
 近年、こうした誘導雷の保護対策の重要性が認識され、平成15年にJIS規格の改正により、これまでの避雷針周り(外部雷保護)に関する規格に加え、内部雷保護(落雷で発生する過電圧による建物内部の火災・爆発・感電の危険にさらされるのを防ぐ安全システム)や電子システムの保護を目的とした規格が定められた。
 これを契機に同社では、顧客への安定した消防設備の提供を行うため、雷から電気・電子設備機器を保護する内部雷保護システムを開発し、これまでの消防設備工事や点検保守業務と連動を図りながら販売していくこととした。そのため、平成17年度から経営改革支援事業を活用し、雷保護に関する従業員の人材育成や雷保護技術の検証及び展示会等での販路開拓を進めている。
 現在、世界各国で実績のあるトーマスアンドベッツ社製の雷保護の各種パーツをシステムに組込み、各種試験・実験を実施しながら日本仕様の新システムとして様々なオフィス等に対応できる多様な内部雷保護システムの開発を進めているが、それと並行して、消防設備の導入に絡めた営業展開を図っている。これまで、当システムの納入実績は年々増加傾向であり、県外企業や官公庁からの問い合わせも増えている。
 今後は全国への販路開拓を更に推進するため、販売代理店の獲得や工事現場への営業展開を図っていきたいとのことであり、今後の展開が注目される。

お問い合わせ先
財団法人あきた企業活性化センター 〒010-8572 秋田市山王3丁目1-1 県庁第2庁舎2階
営業統括グループ TEL.018-860-5610 FAX.018-860-5704
事業推進グループ 創業・経営革新推進担当 TEL.018-860-5701 FAX.018-863-2390
(2008年1月 vol.318)

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