経営探訪
“人”こそ財産、だから人財育成に一生懸命!
東電化工業株式会社 代表取締役社長 若泉孝治

社名:東電化工業株式会社
本社:秋田県大仙市協和船岡字善知鳥14番地1
TEL.018-892-3411(代)
FAX.018-892-3413
HP URL:
http://www.azumadenka.co.jp
資本金:94,000,000円
従業員数:73名(男子52名 女子21名)
平成19年11月現在
業務内容:各種表面処理
沿革
昭和57年3月
秋田県仙北郡協和町に「東北東協業組合」を他4社と協同で設立
代表理事に若泉徳治就任
昭和58年6月
秋田県唯一の電子部品表面処理業として本格操業開始
平成2年1月
東北東協業組合を「株式会社エレックアズマ」に社名及び組織変更
代表取締役に若泉孝治就任
平成11年7月
「東電化工業株式会社」に社名及び組織変更
平成15年8月
ISO9001 2000年度版の認証を取得
平成18年5月
ISO14001 2004年度版の認証を取得

 ものづくり産業を支えるめっきのスペシャリストとして、日々、技術革新と経営革新に取り組むほか、主に技能工を育てることを目的として設立されている秋田県表面処理技術研究会会長も努める東電化工業株式会社 若泉孝治 代表取締役社長に同社の取組や経営戦略などについてお話を伺った。

 当社は、1982年(昭和57年)3月に「東北東協業組合」として県の誘致によって秋田に来て以来25年になりました。この間、多くの方々に支えていただき感謝の気持ちでいっぱいです。

表面処理なら何でもやる。めっきの分野を広げる
 当社は、産業機械製品からIT製品まで幅広い分野に対応しています。最近では、(財)あきた企業活性化センターの技術的支援と製造メーカーの紹介のお陰で、仏壇部品である木材への金めっき工程技術を開発することもできました。
 ものづくりにおいてめっきは無くてはならないものでして、より良い製品を提供することに専念しています。御支援を活用しながら自社の強みを生かした戦略を展開し、特に、生産面ではLED関連、水晶振動子関連、チップ部品関連の柱を増強していきたいです。このためにも独自技術を基礎にして「新規事業の取り込み」、「技術開発力の強化」、「営業力の強化」などに取り組んでいるところです。
 技術面のことをお話ししますと、当社は「自家建液」という自社でめっき液を調合して使うことが可能です。これができる同業者は多くはないと思います。他社が真似できない技術で、顧客の様々なニーズに柔軟に対応でき、コストダウンにもつながっています。
 今、めっき業界含め中小規模の製造業には、発注元企業が生産や調達を海外にシフトしていることなどで受注が不安定に陥り易いという課題があります。安定的な受注の確保を図るため、国内市場での営業力を強化し、4年ほど前からは関東、大阪、九州地区に営業専門スタッフを置いています。秋田は遠いというイメージを払拭し、専門スタッフによる定期的な顧客訪問とそれによる一早い顧客ニーズの把握によって、当社の技術革新とお客様の新製品開発につなげるため、足と人脈を大いに使って動いています。
 ものづくり企業は現在大変厳しい状況下に置かれていますが、当社では、社員数73名のうち16名の係長以上の幹部社員に経営内容を開示する経営会議を月毎に行い、その会議内容を一般社員に伝えてよいと話しています。また、経営計画としては、単年度計画、3年単位の短期計画、そして中長期計画を持っているのですが、これらも全社員に開示しています。会社全体で経営情報を共有することによってこそ、計画の達成が望めるものになると確信しているからです。


人財育成に一生懸命
 更に、それらに通じる経営管理面の強化にも取り組んでいます。確かな生産品質を持ち、それを革新していくためには、人づくりこそが重要になってくるのではないでしょうか。人財育成に一生懸命になっていまして、特に若手の社員には失敗覚悟の経験を踏ませる機会を与えるようにしています。社員の来客者への適切な接遇も不可欠と考え、3年ほど前から「いらっしゃいませ、こんにちは」の挨拶を励行するように指導しています。社員ひとりひとりが人としてのマナーができていないと、良いものづくりとその革新に繋がらないという信念からです。
 ものづくりの基本として、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)がよく挙げられますが、当社ではこれに「指導」と「節約」の2Sをプラスした7Sを実行し、人財育成にも効果を上げています。特に、「指導」は上の者がリーダーシップを持って一緒にやってみせることにしていて、私も月に1度は現場のパトロールを実施しています。

独自技術を基礎に海外も視野に
 これからのものづくりは、常に海外の動向を頭に入れて行動しなくてはいけないですね。今後は日系企業を相手にした展開を図りたいと思っています。国内だけの展開では限度があるのはもちろんのことですが、人財育成の面からも海外との取引が必要だと考えます。経営者だけが海外の動向を知っていても企業としての大きな発展は望めません。社員にもその情報や感覚が必要なのです。外(おもて)を知ることによって自社の内(うち)が見えてくる。そこから得るものは大きいと思います。労働力確保という面でも、海外を視野に入れた経営を進めなければいけないと考えています。
 最後に、センターには「秋田シナジレカンパニープロジェクト」にもエントリーさせていただき総合的な支援をいただいておりますので、今後も継続して御支援をお願いしたいと思います。
(2008年3月 vol.320)