秋木製鋼株式会社
 産業用大型鋳造製品の一貫生産を行い、高度な技術力でユーザーからの高い信頼を受ける国内有数の鋳鋼製造企業、秋木製鋼株式会社 代表取締役社長 佐藤繁夫 氏にお話を伺った。
秋木製鋼株式会社

 品質を第一に、
 『信頼される製品づくり』

工房こすもすの職員

  秋木製鋼で生産される製品は、その6割を火力や原子力といった発電プラント向けの大型鋳造製品が占めている。タービンケーシングや主蒸気バルブといった重電機器製品は、高温高圧に耐えられるものでなければならず、鋳造品の中でも非常に高度な品質と製造技術が要求される分野である。同社は鋳造品の製造のみならず、鋳鋼素材の生産から機械加工、製品組立までを一貫して行うことができ、その高い品質から顧客との信頼関係を構築してきた。
 「大手企業からの信頼を得て、パートナーとしてお付き合いしていくためには、大手企業と同等以上の技術管理をしていかなければなりません。私どもは1996年にISO9002を取得(2001年にISO9001−2000年版に更新)し、品質管理体制の強化を図ってきました。また、月に一度、大手取引企業との連絡会議を開催し、お互いの抱える課題やニーズを深く理解することで、信頼関係をより一層強固なものとしております。

 さらに、ヨーロッパ企業との相互視察による技術交流や、中国企業への技術指導を目的とした従業員の派遣を通じて、海外企業との信頼関係の構築にも努めております。
 今回、3年前からの技術指導を通じて、中国からの研修生の受け入れが決定いたしました。将来的には、彼らが製造した製品を、弊社が検査・品質保証するといった棲み分けを行うことでのグローバルな展開も考えております。」

 環境に配慮した製品開発

 「地球温暖化問題への取組が求められるなか、ユーザーからは、発電効率の向上などによりCO2の発生を抑制するため、高効率の重電機器製品へのニーズが高くなっております。CO2排出量を抑えるには、形状の改良や材質の高級化を図ることで、より燃焼効率の高い製品を製造していかなければなりません。私どもは将来を見据え、現在、700〜800℃といった超々臨界の温度にも耐えられる製品の開発に取り組んでおり、向こう5年以内での完成を目標としております。
 このほかにも、企業としての環境に対する取組は当然の責務と考え、端材の再利用に取り組んだ結果、スラグを除く端材全ての再利用を可能にし、2008年3月にはISO14001を取得しました。」

 従業員は貴重な経営資源

 「結局、モノをつくるのは人ですから、人材教育を今後の生き残りのファクターと捉え、弊社独自の人材教育プランを策定するなど、力を入れてまいりました。社内や工場内には、資格・技術者一覧表を掲示して、溶接や超音波、エックス線など、それぞれの資格を取得した技術者たちの氏名を公表しております。技術資格の取得は、給与評価にも反映されますので、従業員のモチベーションも上がりますし、社内全体の活性化にも繋がり、貴重な経営資源となって弊社を支えているわけです。
 ただし、全ての分野の人材を揃えるのは難しいことで、第三者的な社外からのアドバイスも必要だと考えます。幸いにも弊社は、そのようなパートナーにも恵まれ、様々な助言や指導をいただくことが出来ております。
 また、弊社では、従業員による持株会が結成されており、従業員は株主でもあります。これは、従業員が経営者側の視点で物事を捕らえ、自らの仕事に取り組むという点でメリットのあることだと思います。」

 がんばろう!秋田の企業

 高速道路等の整備が進むなか、こうした交通網を活かして県内企業はもっと県外に活動の場を広げていくべきだと佐藤社長は話す。
 「航空機を利用すれば、東京や大阪は2〜3時間の範囲になりました。これまでとは違い、秋田県内からでも首都圏で営業活動が出来るのです。しっかりした経営戦略を立てて、感度を良くしていればチャンスはきっとあると思います。秋田には豊富な人材もいるわけですから、県内企業がお互いにがんばって、秋田の産業を一緒に盛り上げていきたいですね。」

 信頼される製品づくりを実践し、国際競争も視野に入れながら、従業員が一丸となって新しいものに挑戦し続ける、秋木製鋼株式会社の益々の活躍に期待したい。

 

CORPORATION DATA

●秋木製鋼株式会社
〒016-0814能代市中川原26
TEL.0185-52-6311 FAX.0185-52-6314
http:// www.akimoku.co.jp/
E-mail:info@akimoku.co.jp


(2008年7月 vol.324)
 
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