ビジネスレーダー

グルメペンションお山の大将

 地元で採れた新鮮なトマト丸ごと1個を自家製キムチだれに漬け込んだトマトのキムチが、味は勿論、その珍しさから県内スーパーのほか、東京や神奈川などでもスポット的に販売され知名度を上げている。
 この商品を製造しているのは、仙人の郷として知られる東成瀬村で「グルメペンションお山の大将」を経営する高谷聡子さん。焼肉店に勤務していた経験を活かし、ペンションのもてなし料理のひとつとして宿泊客に提供していた白菜キムチの評判が口コミで広がったことをきっかけに、平成18年2月に『仙人キムチ』を販売した。その後、地元のものを使用して新しい商品を作れないかと考え、村の特産品である桃太郎トマトのキムチを思いついた。もともと水分の多いトマトをキムチ漬けするためには、塩漬けにより水分を抜かなければならないが、抜きすぎてもいけないため調整に時間を要した。試行錯誤の結果、平成19年4月に『仙人とまとキムチ』として商品化し、辛みの中にトマトの甘さや酸味も感じられる味と好評で、平成19年の秋田県特産品開発コンクールにおいて奨励賞を受賞している。
 「『仙人とまとキムチ』は珍しさばかりでなく、ジューシーでトマトの甘さが引き立っているところが魅力です。そのまま食べても美味しいですし、サラダやパスタと和えて食べるのもおすすめです。現在は、本業のペンション経営の合間を縫って、二人の従業員と1日に500個を製造するのが限度ですが、今後は量産体制の整備も図りたいと思っております。」
 また、「お山の大将」ではキムチ以外にもマタギ料理を目玉としており、宿泊客には熊鍋か熊刺しのどちらかが提供されるほか、山菜や岩魚といった地元食材の料理が堪能できる。
 東成瀬村を含む湯沢雄勝地域は、岩手・宮城内陸地震により大きな被害を受けた。高谷さんも今回の地震により、建物の基礎部分に亀裂が入ったり、食器類が割れるなどの被害を受け、2週間の休業を余儀なくされた。
 「地震以降、観光客がゼロになったことは、私たちにとって本当に大きな痛手です。地元のものを活かした商品開発等で村を元気にして、以前のように多くのお客様に訪れていただけるように頑張っていきたい」と力強く話す高谷さん。
 例年であれば、栗駒山周辺は9月下旬から紅葉が見頃を迎える。関係機関の努力によって栗駒地区の主要道路は、一部で片側交互通行や通行時間に制限があるものの、秋田県内の通行は全面可能となっている。地震被害に負けず、元気に頑張っている栗駒周辺に観光客が戻ることを切に願う。

 CORPORATION DATA

グルメペンションお山の大将
〒019-0802雄勝郡東成瀬村岩井川字沼又59-40
TEL.0182-47-3715 FAX.0182-47-3716
http://www.higashinaruse.com/
  kanko_shisetu/oyama_no_taisyo/index.html
E-Mail oyamanotaisho@rhythm.ocn.ne.jp


(2008年10月 vol.327)


株式会社ポチみや

 充実した人生のために、愛犬や愛猫などのペットを、パートナーと考えている方が急増している。国内の犬の飼育頭数は約1万2500頭を超え、ペット関連産業は急成長を続けている。
 秋田市に生産の拠点を構える「株式会社ポチみや」は、“愛犬にお土産を”というコンセプトの商品展開で、大きな成長を遂げているペットフードの製造・販売会社だ。社長の高橋政義さんは、ご自身が犬を飼い始めたことを契機に、それまで携わっていたIT関連とは全く異なるペットフード事業に着手した。
 「遠出した時、家で待つ犬にお土産を買って帰ろうと思ったんです。当然あるものと思ったけれど、どこにも置いていなかったんですよ。これは新しい需要を取り込めるのではないかと、秋田在住の知人と共に、犬へのお土産の商品化を始めたんですよ」。
 同社は、常食用のペットフードではなく、おやつになるお土産としての商品を開発し、全く新しい市場を開拓した。
 主力商品のクッキーは、キャロブ・ごま・卵殻などを主原料に、20種類以上の豊富なバリエーションで、犬の好む匂いと食感を追求し、オーブンで3〜4時間かけて焼き上げる。十分に水分を飛ばしたクッキーは、心地よい噛みごたえで犬も大満足だという。他にも、おかきや煎餅、鶏ささみジャーキーなど、同社の製品はいずれも無添加・無着色、人間にも使える安全で安心な素材を厳選し手作りしたもの。「おいしいですよ」と言って、高橋さんは出来上がったばかりの青海苔あられを、パクッと口に放り込んだ。
 新しいヒット商品は、平成19年10月から販売しているスープなど数種類の食材を詰め合わせたドライブ用弁当 “どら弁”だ。このどら弁、床に置いた容器が滑って犬が食べづらいのが難点であったが、今では固定用の両面テープを装着したスグレ者に変身、ますます人気上昇中。
 現在、同社の販路は日本全国に広がり、高速道路のサービスエリアを始め、鉄道の駅や空港などの交通ポイントでの取扱いが多いのが特徴だ。「足を使って地道な営業活動を続けました。当社の商品は、既存商品との競合が発生しないため、販売店さんが気軽に反応してくれることが多いですね。飼い主様からも喜んで食べてくれたという声をたくさんいただいています」。家で帰りを待っている愛犬や、一緒に旅をする愛犬に、何かご褒美をあげたくなる飼い主の心を見事につかんでいる。
 更に、クッキーを販売地域の名物や特産品の形にしたり、地域産の素材を使用して地域性を持たせたりして、よりおみやげ感をアップさせている。
「お陰さまで注文にお応えするのがやっとの状態です。多くのお客様により良い商品をお届けするためにも、機械化を進めたいですね。それから、地域の素材や、犬の健康を助ける素材を活用した商品開発に、もっともっと力を入れたい・・・」と抱負を語る高橋さん。
 同社はインターネット販売も行い、全国に多くのファンを抱えている。顧客第一主義に徹し、モニター制度を設けて新商品の試食調査を行うなど、「ポチみや」ファンが同社の商品開発を通して、情報交換や交流を行うことができるコミュニティの動きも活発だ。
 愛犬家の潜在的なニーズにうまくアプローチし続けるポチみやに注目。

 CORPORATION DATA

株式会社ポチみや 
〒157-0066東京都世田谷区成城2-3-12

■オペレーションセンター 
〒156-0052東京都世田谷区経堂5-32-8 マーベラス経堂ビル2階 
TEL.03-5451-8566 FAX.03-3428-1999

■生産 
〒010-1431秋田市仁井田二ツ屋1-11-44
■お客様センター 
TEL0120-711-389 FAX0120-401-138 
Eメール inquiry1@pochimiya.com 
ホームページ http://www.pochimiya.com/


(2008年10月 vol.327)

 
TOPに戻る
 
財団法人秋田企業活性化センター