特集1

秋田県内中小企業の事業承継に関する実態調査結果


●調査対象事業所数:3,000社
●調査期間:平成20年8月1日(金)〜29日(金)
●調査方法:調査票の郵送による、書面でのアンケート方式
●調査回収数:1,082社(36.1%)

1.業種
2.資本金
3.年間売上高
4.従業員数


●県内中小企業経営者の約85%が「事業を承継したい」と考えている。


●「候補者が決まっている」あるいは「親族の内・外に候補 者がいる」と回答した経営者は、71%を占めている。



 

●「後継者は決まっている」経営者の約90%は、自身の子供などの親族に事業を引き継いでもらいたいと願っている。  
●「後継者を決めていない」あるいは「後継者がいない」経営者は、「できれば親族内で承継したい」と「役員や従業員を考 えている」の割合が拮抗している。   


   

●事業を承継するに当たって大きな障害となっているのは、会社自体の「業績不振」や個人としての「債務保証」、会社とし ての「債務超過」に加え、経営者としての「後継者の育成」問題があげられている。    
●特に親族外承継において、役員・従業員へ事業を引き継ぐことの障害としては、「後継者の育成」と「資金面(株式買収、債務の個人保証等)」が、いずれも32%を占めている。


   

●譲渡・売却について「関心がある」「やや関心がある」経営者は43%を占めているが、具体的に「企業譲渡について検討を したことがある」経営者は全体の20%にとどまっている。
●企業の譲渡・売却に関しては、68%の経営者が「有効な手段である」と捉えているものの、「身売りのイメージがある」 
(63%)、「情報漏洩や信用力低下などが心配」(54%)、「仲間や世間の風評が気になる」(51%)といった印象を抱いている。                
●譲渡・売却を考えようにも「手段や手続の理解や知識が乏しい」(80%)、「信頼できる相談相手がいない」(69%)といった具体的に検討するための情報が不足していると考える経営者が多い。


   

   

●仮に企業の譲渡・売却をするとした場合に、「役員・従業員の雇用確保や処遇」を望む経営者が31%と最も多くなっている。また障害として「従業員の雇用・待遇問題」を気にする経営者が21%と最も多く、このことが譲渡・売却の進まない大きな障害になっていると思われる。


   

●後継者の教育を支援して欲しい(製造業・サービス業)。
●後継者がいても安定した経営状況になければ事業の承継は難しい(運送業)。
●債務超過のため、承継も廃業も出来ない(建設業)。
●事業承継の税制面での優遇が分かりづらい(業種不明)。
●税金や自社株評価等の問題で、承継は非常に困難である(小売業)。

●事業承継について具体的に相談したいと回答した企業が72社あった。

 「事業承継最適モデル」の提案

 アンケート結果や、相談を希望する企業への訪問結果などから、事業承継の悩みの実態をより深く掘り下げ、悩み解消に向けた適切なアドバイスや効果的な支援を行います。
 こうした事例を積み重ね、その解決方策について多角的な分析・整理を行い、親族内承継や従業員等への親族外承継、及び他企業への譲渡・売却など、各パターンに応じた最適モデルを提案していきます。

 関係機関との連携

 事業承継に悩む経営者への支援に当たっては、事業承継支援センター(秋田商工会議所、秋田県商工会連合会)との連携を密にすると共に、地域力連携拠点事業パートナーである秋田銀行の協力を得ながら、それぞれの持ち味を活かした支援・助言を強化していきます。

 アンケート結果から導き出された親族内承継、従業員等への承継、企業譲渡・売却(M&A)のそれぞれの課題に対する具体的な相談に応じ、適切なアドバイスや専門家の派遣を行います。

 事業評価支援

●資産の額及び負債の状況、保有自社株式等経営者自身の状況等を把握し、中小企業基盤整備機構が運用している経 営自己診断システムを活用して、承継の可能性について分析します。
●事業の抜本的な見直しによる経営革新への取り組みを支援します。

 事業承継に係る最適納税対策

●相続財産の把握や自社株式評価額の算定により、税負担額を試算し、最適納税に関して助言します。
●個別具体的な相談には、必要に応じて専門家(弁護士、税理士、公認会計士、中小企業診断士等)を派遣し、対応します。

 後継者の育成支援

●社外での教育としては、経営者に必要とされる財務・法務を含めた知識全般の習得と幅広い視野の育成を目指す研修 会を開催します。
●社内での教育に対しては、経営推進上重要な生産・製造、営業・販売及び財務に関連する各分野の専門家を派遣し、 知識の習得を支援します。

 事業承継に要する資金確保

●事業承継に関する資金借入の新たな信用保証枠を活用するため、経営者の皆様に対し経営承継円滑化法の認定に向 けた助言をします。

 譲渡・売却に関する情報の提供

●税制や自社株の評価、譲渡方法などについてセミナーや勉強会を開催し、必要に応じて、地域力連携拠点事業で新た に配置した「応援コーディネーター」や各分野の専門家(弁護士、税理士、公認会計士、中小企業診断士等)を派遣し、 個別課題の解決を図ります。

 親族内承継の場合

●資金調達への助言
 後継者が自社株式や事業用資産を集中的に取得する方策を助言します。
●最適納税方法の助言
 資産を承継する場合の贈与税及び相続税の最適納税方法についての知識習得の場を提供するとともに、助言をします。

 親族外(役員・従業員等)承継の場合

●資金調達への助言
 経営者やその親族が保有している自社株式買取りの資金確保について助言します。
●個人保証債務への助言
 個人保証債務の圧縮・軽減に向けた承継策を助言します。

 企業譲渡・売却(M&A)の場合

●譲渡価格把握への助言
 会社売却価格の算定について助言します。
●情報発信の仕組みづくり
 希望の条件(従業員の雇用、価格)を満たす買い手を見つけるため、売り手・買い手の情報を匿名でホームページに掲 載するなどの情報発信の仕組みをつくります。

実態把握と解決方策の検討

●アンケート調査で事業承継の具体的な相談を希望する経営者や、日常業務を通じ相談のあった経営者の皆様に対し、 応援コーディネーターが訪問し、現状把握や課題の洗い出しと整理を行い、課題解決に向け助言を行います。

最適モデルの構築

●事業承継の様々なパターンの課題や障害を分析・整理し、これをもとに個々のパターンに適した最適モデルを構築します。
●これら構築については、パートナー機関の秋田銀行とプロジェクトチームを編成し実施します。

 ●詳細・お問い合わせ先

財団法人あきた企業活性化センター 総合相談グループ相談窓口担当
〒010-8572秋田市山王3-1-1 秋田県庁第二庁舎2階
TEL.018-860-5610 FAX.018-860-5704

(財)あきた企業活性化センターでは、「中小企業経営者のための事業承継セミナー」を
開催いたします。詳しくは、プラザ通信の参加募集をご覧ください。

 

(2008年11月 vol.328)

 
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