経営さぷりメント

 (株)アンドー(旧安藤砂利採石店)は湯沢市(旧雄勝町)にある関連会社4社のグループ企業です。国道108号は冬期間も通行可能になり、高速道路も雄勝こまちICまで開通しました。山形との県境に位置し、仙台、山形、盛岡、秋田とどこに行くにも便利になり、当社は、東北地方の中心に位置すると考えています。この地の利を生かし、県外に目を向け、あるいはお迎えすることにこれからの活路があると考えています。
 まだまだ発展途上の企業グループですが、11月に開催されたガンバルあきた成功事例発表会((財)あきた企業活性化センター主催)において、『経営革新活用戦略』を発表させていただきました。当社の経営革新の背後にある考え方を紹介します。

理念経営(理念なくして成功なし)

 『企業とは、社長の志、ビジョンを、社員みんなの協力を得て実現するところ』だそうです。経営者が本気でどうしても達成したい目標をわかりやすく示す必要があると思います。自社が何の為に存在するのか、行動指針になる理念を掲げ熱く社員に語らなくてはいけません。良い夢の描けないところに良い結果は生じません。企業理念はありますか?あったとしてもお題目やお飾り的になっていませんか?最近のさまざまな企業の不祥事を見ているとつくづく感じされられます。

 アンドーグループの企業理念は、第一に、「地域になくてはならない企業」と掲げています。具体的には、地域貢献、そして最大の地域貢献は盛んに問題になっている“雇用の確保”ではないかと考えています。現在、グループ全体で200人を超える従業員が働いています。その中には、砂利店時代を含めて親子二代で働いている人や、夫婦で勤務している社員もいます。そういう意味では家族経営かもしれません。
 第二に、「中央に発信し続ける企業」とは、“市場は県外にあり”ということです。介護事業は地元密着でなければいけませんが、焼却、プラスチックリサイクル、旅館業は県外に目を向け魅力ある企業づくりをしていかなければならないと思っています。
 第三の、「社員一人一人が成長し続ける企業」とは、人間尊重のもと潜在能力を高めていってほしいという願いが込められています。顧客の大半が県外企業であるということは、より高い品質かつ適正な価格の製品が求められます。その為に、社員一人一人のレベルアップが必要不可欠です。当社の社長、安藤誠一郎は、自ら毎日工場に顔を出し指示したり打合せをしたりしています。また、社員研修の講師になり自らの思いを語っております。このような取組の結果、経営理念が社員一人一人に浸透しつつあるのかなと思っています。

革新経営(改革なくして成長なし)

 戦略とは、理念目標を達成するための要諦と定義されます(オセロゲームにたとえれば勝つためには四隅を取ること)。当社社長の口癖は、『強いもの、大きいもの、頭のいいものが生き残るのではない。環境の変化に対応できるものだけが生き残る』です。
 「不易流行」とは、理念・戦略は不変で、環境の変化には敏感にということです。戦略(要諦)は、まず企業の棚卸、自社の強み、弱み、置かれている環境を分析し自己客観化することです。そのうえで、取り巻く法律の制定、改正に注目してください。法律の立法趣旨を考えると、自然に先が見えてきます。その流れに対し自社は何が出来るかを考えてください。
 当社の事業、介護と旅館業の基本は『おもてなし』です。ホスピタリティでは同じです。砂利とプラスチックは粉砕、洗浄し製品化する工程です。長年砂利屋で培ったプラント維持管理のノウハウは、どこにも負けない『We can do it』の精神です。
 また、税法もヒントになります。このデフレ時代、研究開発、人材育成、IT投資に取り組み、差別化していかなければ生き残れないよと教えてくれているように見えます。企業再編、事業承継税制もこれからの重要なテーマだと思います。

キャッシュフロー経営(損益中心主義からキャッシュフロー重視へ)

 戦術とは、「どういう武器(ツール)を使ってどう行動するのか」と定義されます。戦術の具体例は、人海戦術、ダイレクトメール、チラシなどです。
 私は財務担当なので、経営計画、キャッシュフロー経営の話をしたいと思います。最近、大企業であっても、黒字決算なのに倒産する企業が増加しております。粉飾決算は問題外ですが(キャッシュフローを追えば粉飾は分かります)、いずれにしろ、キャッシュフローを無視した経営は出来ないということだということだと思います。
 当社では、3年前より公認会計士の天野隆氏の開発した『決算すっきりシート®』をツールとしてキャッシュフロー経営を行っています。
 この決算書翻訳ソフトは、A4サイズ1枚の表の中で貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)を三位一体で長期的(6期分)に読むことが出来るツールです。中期経営計画も、予想数値の19項目を入力すれば五年後の現預金残高まで分かる優れモノです。これまで時間のかかっていた経営計画の作成も簡単に出来ますし、条件を変えて何回でもシミュレーション出来ます。経営者にとって、決算書が読めるということは的確な対策が打てるということです。
 決して全ての項目を理解しなければいけないわけではありません。

 経営者は、以上の3つの数字を把握すれば充分ということになります。後は理念経営に徹すれば良いのです。
 以上、実際にアンドーグループで日々実践している理念、戦略、戦術を紹介いたしました。皆様の経営に少しでも参考になれば幸いです。

参考文献(1)長谷部光重「社長狙っているお客さん違っていませんか」三笠書房
    (2)田村繁和、小長谷敦子「京セラに学ぶ新・会計経営のすべて」実業之日本社
    (3)杉井保之「200人に1人の成功する経営者7つの条件」(株)レガシー
    (4)天野 隆「決算書の読み方、使い方入門キット」(株)レガシー

※決算すっきりシート®及び自由資金比率©は、「日本決算書すっきりアドバイザー協会」の 著作物であり、登録商標です。


(2009年2月 vol.331)

 
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財団法人秋田企業活性化センター